ロッド・スチュワートは、スコットランド系のイギリス人で、第二次世界大戦の終戦の年である1945年1月にロンドン北部で生まれました。ロッドが生まれた数週間後に、家の向かいの警察署に、ドイツ軍のV2ロケットが命中したというエピソードがあります。イーグルスのドン・ヘンリーの2年先輩、チューリップの財津和夫さんの3年先輩にあたります。

中学卒業後、サッカー・プロチームの見習い、印刷工、電気工などの職を転々としていたロッドが、音楽を志すようになったきっかけは、1962年、17歳の時に聴いた一枚のレコードでした。それは、ボブ・ディランのデビューアルバムだったのです。

そして、1963年、18歳の頃から、ロッドは、いくつかのグループを渡り歩き、ボーカリストとしての名声を徐々に獲得していきました。

同時に、1964年、19歳の時に、ソロの歌い手として、初のシングルもリリースしました。

さらに、1969年、24歳の時には、ジェフ・ベック・グループを離れて、新生「フェイセズ」の結成メンバーとなり、ロッドは、ソロとフェイセズの活動を並行して行うようになりました。

アメリカでイーグルスが結成され、ビリー・ジョエルがデビューした1971年、26歳の時には、3rdソロ・アルバムが、米英で1位となり、アルバム収録曲「マギー・メイ」も全英1位となりました。ソロとして初の大ヒットでした。

フェイセズが解散した1975年、30歳の時には、名盤「アトランティック・クロッシング」をリリースして、活動の拠点をアメリカへと移しました。

その後、1990年代まで、ヒット曲を出し続け、さらに、2000年代には、スタンダード・カバー・アルバムを大ヒットさせ、現在もまだ、現役で活躍を続ける偉大なヴォーカリストです。

ビリー・ジョエル、ドン・ヘンリー、スティングは、素晴らしい歌い手であるのと同時に、偉大なソングライターでした。一方で、ロッド・スチュワートは、圧倒的に、ヴォーカリストとしての比重が大きいです。そのため、代表曲にも、オリジナルではないカヴァー曲が、いくつもあります。

ここでは、1971〜1996年までの発表曲から、独断と偏見に基づき、全15曲を選びました。この内、カヴァー曲は8曲(②③④⑦⑨⑩⑪⑫)あり、オリジナルと言ってよい曲は7曲です。また、このオリジナル曲7曲の中で、ロッド・スチュワート本人が、制作に関わっているのは4曲(①⑥⑧⑬)です。

曲順は、発表年時順になります。

 

 

①マギー・メイ(Maggy May)

作詞作曲 ロッド・スチュワート/マーティン・クイッテントン

◯アルバム「エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー(1971年/3rd/全英1位・全米1位)」初収録。

◯シングル(1971年/3rd/全英1位・全米1位)

当時、まだフェイセズでのバンド活動を続けていたロッド・スチュワート(当時26歳)の初の本格的なソロ・ヒット作品。

ロッド自身の経験が、歌詞に反映されていると言われます。高校生の可愛い男子と年上の女性との付き合いについて、男の子の立場から歌っています。

当時の演奏を視聴すると、すでに、良くも悪くも、声と歌は、ロッド・スチュワートそのものです。

「起きてよ、マギー・メイ。話したいことがあるんだ。もう9月の終わりだよ。本当に学校に戻らなきゃいけないんだ。僕は、君を楽しませてきたよね。でも、僕は利用されていたんだ。マギー、これ以上は、続けられないよ。君は、自分がひとりぼっちでいたくないから、僕を、家から引き離したんだ。君は、僕の心を奪ったんだ。本当に傷ついたよ。」

Wake up, Maggie, I think I got something to say to you.
It's late September and I really should be back at school.
I know I keep you amused, but I feel I'm being used.
Oh, Maggie, I couldn't have tried any more.
You led me away from home, just to save you from being alone.
You stole my heart, and that's what really hurts.

 

②セイリング(Sailing)

作詞作曲 ギャヴィン・サザーランド

◯アルバム「アトランティック・クロッシング(1975年/6th/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1975年/16th/全英1位・全米58位)

代表曲のひとつ。当時、まだ30歳なんですよね。

1972年に、スコットランド出身のフォーク・ロック・デュオ「サザーランド・ブラザーズ」がシングルとしてリリースした曲のカヴァーです。けれども、世間では、明らかに、アルバム「アトランティック・クロッシング」収録のロッドのバージョンが、オリジナル扱いされています。

「海を越えて、もう一度、故郷へと、僕は、船に帆を掲げて旅をしている。逆巻く波を越えて、自由になるため、あなたのそばへと、僕は、航海している。鳥のように、空を渡って、僕は、翼を広げて飛んでいる。高い雲を越えて、自由になるために、あなたのもとへと、僕は、飛翔している。遠く闇夜を抜けてゆく、僕の声が聴こえますか。あなたとともにあろうとして、誰にも知られず、瀕死の状態で、永遠に泣いているのです。」

I am sailing, I am sailing, home again ‘cross the sea.
I am sailing, stormy waters, to be near you, to be free.

I am flying, I am flying, like a bird ‘cross the sky.
I am flying, passing high clouds, to be with you, to be free.

Can you hear me, can you hear me thro’ the dark night, far away,
I am dying, forever crying, to be with you, who can say.

 

③ディス・オールド・ハート・オブ・マイン(This Old Heart of Mine)

作詞作曲 ホーランド=ドジャー=ホーランド/シルヴィア・モイ

◯アルバム「アトランティック・クロッシング(1975年/6th/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1975年/17th/全英4位・全米83位)

◯シングル(1989年/60th/全英51位・全米10位)※本家ロナルド・アイズレーとのデュエットで再録音

これも、1966年に、アメリカの黒人ヴォーカル・グループであるアイズレー・ブラザーズがリリースしたシングル曲(全米12位・全英3位)のカヴァー。とは言え、2度も録音していることもあり、ロッドの持ち歌というイメージが強いです。

アルバム「アトランティック・クロッシング」B面では、一番リズム感のある曲。

「俺のこの老いぼれたハートは、数えきれないほど失恋に破れてきた。君にフラれるたびに、君はもう戻ってこないと思った。ひとりぼっちの夜がやってきて、思い出は消えていく。君が戻ってくるたびに、俺の心はさらに傷つくことになる。俺が心の内に感じている、この君への愛を、おもてに見せたのが、きっと、間違いだったんだ。君の虜になってしまって、日々、進めばいいのか、戻ればいいのか、俺には決してわからないんだ。でも、愛している。そうさ、この老いぼれたハートは、君のために泣いているのさ。」

This old heart of mine been broke a thousand times.
Each time you break away, feel  you've gone to stay.
Lonely nights that come, memories that go, 

Bringing you back again, hurting me more and more.
Maybe it's my mistake to show this love I feel inside.
'Cause each day that passes by,

You got me never knowing if I'm coming or going.

But I, I love you. Yes, I do.
This old heart weeps  for you.

 

④もう話したくない(I Don't Want to Talk About It)

作詞作曲 ダニー・ウイッテン

◯アルバム「アトランティック・クロッシング(1975年/6th/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1977年/22th/全英1位・全米46位)

◯シングル(1990年/63rd)※再録音

1971年に、アメリカのロック・バンドで、ニール・ヤングのバックバンドだった「クレイジー・ホース」がリリースしたアルバムに収録されていた曲のカヴァーです。

クレイジー・ホースのメンバーで、作者のダニー・ウイッテンは、翌1972年に29歳にの若さで、ヘロイン中毒で亡くなっています。

また、この曲は、1988年に、Everything but the girl のカヴァーが全英1位を記録しています。ただし、多くの人にとって、本家は、ロッド・スチュワートの「アトランティック・クロッシング」版だと思います。

さらに、2004年のロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートでは、スコットランド出身の若手のシンガーソングライター(1981年生/当時22歳)エイミー・ベルとのデュエットが話題になりました。

「君が、これまでずっと泣いてきたんだってことは、君の瞳を見ればわかるよ。空の星々も、君にとってはなんの意味もない。君の二つの目は一枚の鏡なんだ。君がどんなふうに、俺のハートを粉々にしたのか、なんて、そんなことは、話したくない。でも、もうほんの少しだけ、俺がここに居ていいなら、俺の気持ちを聴いてくれないか? もし、俺がひとりぼっちでいられるのなら、俺の影が、この心の色を隠してくれるだろうか? 涙の青と夜の不安の黒を。夜空の星は、君にはなんの意味もない。君の目は鏡に過ぎない。俺の胸を、君がどんなふうに引き裂いたのか、なんて、俺は話したくない。でも、もし、もう少し、ここに居ていいなら、俺のこの老いぼれたハートの声に耳を傾けてくれないか。」

I can tell by your eyes that you've probably been cryin' forever,
And the stars in the sky don't mean nothin' to you, they're a mirror.
I don't want to talk about it, how you broke my heart.
But if I stay here just a little bit longer,
If I stay here, won't you listen to my heart, whoa, my heart?

If I stand all alone, will the shadow hide the colors of my heart;
Blue for the tears, black for the night's fears.
The star in the sky don't mean nothin' to you, they're a mirror.
I don't wanna talk about it, how you broke my heart.
But if I stay here just a little bit longer,
If I stay here, won't you listen to my heart, whoa, my heart?
My heart, whoa my heart, this old heart.
 

⑤イッツ・ノット・ザ・スポットライト(It's Not the Spotlight)

作詞作曲 バリー・ゴールドバーグ/ジェリー・ゴフィン

◯アルバム「アトランティック・クロッシング(1975年/6th/全英1位・全米9位)」初収録。

キャロル・キングの最初の伴侶だったジェリー・ゴフィンとバリー・ゴールドバーグの共作。このアルバムのバージョンがオリジナルと言っていいでしょう。

「もしも、俺に降り注ぐ、その光を、もう一度、感じられたなら、その光を、どれほど待ちわびているかを、君に伝える必要もない。以前は、その光を感じられたのに、うっかり逃して、失ってしまったんだ。でも、俺は、いつか、その光を、取り戻せると、いまだに信じているんだ。その光は、華やかなスポットライトじゃない。カメラのフラッシュライトでもない。夢の中の古い大通りの街の灯りでもないんだ。月の光じゃないし、陽の光でもない。でも、俺は、君の瞳の中に、その光が輝くのを、ずっと見てきたんだ。言っていること、わかるかな。」

If I ever feel the light again shining down on me,
I don't have to tell you  what a welcome it will be.
I felt the light before but I let it slip away.
But I still keep on believing that it'll come back some day.

It's not the spotlight. It's not the camera light.
It's not the street lights of some old street of dreams.
It ain't the moonlight, not even the sunlight.
But I've seen it shining in your eyes and you know what I mean.

 

⑥スティル・ラヴ・ユー(Still Love You)

作詞作曲 ロッド・スチュワート

◯アルバム「アトランティック・クロッシング(1975年/6th/全英1位・全米9位)」初収録。

このアルバムは、B面のバラード5曲に捨て曲がありません。全曲名曲揃いと言っていいでしょう。B面4曲目のこの曲は、シングルカットはされていませんが、とても美しい曲です。

「友だちに言われたよ。君に近づいちゃいけない。どうせ、高嶺の花だと。でも、君に初めて会った時、僕は、君のドレスに、チェリーライムをこぼしてしまった。君は『気にしないで、これは、一番いいものじゃないから』と言った。最初の出会いが、最高だなんてことは、滅多にないことさ。でも、僕は、たとえ、もう一度、すべてをやり直せるとしても、何一つ、変えたいとは思わない。不器用な物言いしかできないけど、僕が言いたいことのすべては『まだ、君を、愛している』ということなんだ。」

I was told by a good friend.

You were untouchable, out of my reach.

But the first time ever I saw you,

I spilled my cherry lime over your dress.

You said, "Don′t you worry, it's not my best one."

First encounter, hardly the best.

But I would not change a thing If I could do it all over again.

All I′m trying to say in my awkward way is "I still love you."

 

⑦ピープル・ゲット・レディ(People Get Ready)

作詞作曲 カーティス・メイフィールド

◯シングル(1985年/49th/全英49位・全米48位)

オリジナルは、シカゴ出身の黒人のソウル・グループ「インプレッションズ」の1965年のヒット曲(全米14位)です。

作者のカーティス・メイフィールドは、当時のインプレッションズのボーカルを務めていました。この曲は、ゴスペル・ソングとしてつくられました。1965年、当時、キング牧師は、この曲を、公民権運動を象徴する讃美歌として用いていたそうです。

さらに20年後の1985年、ロッド・スチュワート(当時40歳)は、旧友ジェフ・ベックのアルバム「フラッシュ」の制作に参加して、このカヴァー曲のボーカルをとりました。

ジェフ・ベックのギターにロッドのボーカルが絡んで、素晴らしい仕上がりです。

「人々は、準備を始める。列車が来る。荷物は何もいらない。ただ乗ればいいんだ。必要なことは、機関車のハミングを聴ける信仰心だけだ。チケットもいらない。ただ、神に感謝を。人々は、ヨルダン行きの列車に乗る準備を始める。西海岸から東海岸へ、乗客を拾いあげながら、列車は行くのだ。信仰が鍵だ。扉を開けて、列車に乗るんだ。最愛の人を含む、あらゆる人の席は用意されている。自分自身の魂を救うためだけに、すべての人を傷つけるような改心の見込みのない罪人のための席はない。幸運と巡り合わせの薄い、そうした人々に、憐れみを。神の王国の玉座から隠れられる場所は、どこにもないのだから。」

People get ready.

There′s a train a-coming.

You don't need no baggage.

You just get on board.

All you need is faith to hear the diesels humming.

Don′t need no ticket.

You just thank the Lord.

People get ready for the train to Jordan, 

picking up passengers from coast to coast.

Faith is the key.

Open the doors and board them.

There's room for all among the loved the most.

There ain't no room for the hopeless sinner
Who would hurt all mankind just to save his own soul.
Have pity on those whose choices grow thinner.
There ain't no hiding place from the Kingdom's throne.

 

⑧フォーエバー・ヤング(Forever Young)

作詞作曲 ロッド・スチュワート/ボブ・ディラン/ジム・クレガン/ケヴィン・サヴィガー

◯アルバム「アウト・オブ・オーダー(1988年/15th/全英20位・全米11位)」初収録。

◯シングル(1988年/56th/全英57位・全米12位)

ボブ・ディランの同名の曲にインスパイアされて、ロッドがバンドメンバー2人と協力してつくった曲。

ロッドが、自身の2人の子どもを想ってつくった曲だということで、とても思い入れの深い曲なのだそうです。息子の名が同じショーンということもあってか、ジョン・レノンのBeautiful Boyと、どこかイメージが重なる気がします。

「君があてどなくさまようあらゆる道で、主が、君とともにありますように。そして、君が故郷から遠く離れている時にも、君の周りに陽光が輝き、幸せがありますように。君が、誇り高く、気高く、誠実な大人に、育ちますように。そして、自分自身のことであればするのと同じように、他人に対してもできるようになりなさい。雄々しく、勇敢であるように。そして、私の心の中では、君は、いつまでも、成長の過程にある、若々しい存在であり続ける。」

May the good Lord be with you down every road that you roam.

And may sunshine and happiness surround you 

when you're far from home.

And may you grow to be proud, dignified and true.

And do unto others as you'd have done to you.

Be courageous and be brave

And in my heart you'll always stay

Forever young, forever young

Forever young, forever young

 

⑨ダウンタウン・トレイン(Downtown Train)

作詞作曲 トム・ウェイツ

◯シングル(1989年/61st/全英10位・全米3位)

◯アルバム「ヴァガボンド・ハート(1991年/16th/全英10位・全米2位)」初収録。

1985年、「酔いどれ詩人」の異名を持つアメリカのシンガーソングライター、トム・ウェイツが発表したアルバム「レイン・ドッグ」に収められていた曲のカヴァー。

このロッド・スチュワート版は、ロッドにとって、1978年の「アイム・セクシー」以来、11年ぶりに、久々の英米双方でのベスト10圏内ヒットとなりました。

Outside another yellow moon has punched a hole in the night time mist.

I climb through the window and down to the street.

I'm shining like a new dime.

The downtown trains are full.

Full of all them Brooklyn girls.

They try so hard to break out of their little worlds.

You wave your hand and they scatter like crows.

They have nothing that'll ever capture your heart.

They're just thorns without the rose.

Be careful of them in the dark.

Oh if I was the one, you chose to be your only one.

Oh baby can't you hear me now, can't you hear me now?

Will I see you tonight on a downtown train?

Every night, every night it's just the same

On a downtown train

 

ハヴ・アイ・トールド・ユー・レイトリー(Have I Told You Lately)

作詞作曲 ヴァン・モリソン

◯アルバム「ヴァガボンド・ハート(1991年/16th/全英10位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1993年/74th/全英5位・全米5位)※ライブ・アルバム「アンプラグド」からのシングル・カット

北アイルランド出身のシンガーソングライターであるヴァン・モリソンが、1989年に発表したシングル曲のカヴァー。

アルバム「ヴァガボンド・ハート」収録のオリジナル版が気に入ってます。1990年代の代表的ヒット曲。

「僕は君を愛していると、最近、言ったことがあるかな? 君より大切な存在はこの世にないと、きちんと伝えたことはあるかな? 君は、僕の心を喜びで満たし、全ての悲しみを拭い去って、僕の苦しみを癒してくれるんだ。」

Have I told you lately that I love you?
Have I told you there's no one else above you?
Fill my heart with gladness,
Take away all my sadness,
Ease my troubles that's what you do.

 

ユア・ソング(Your Song)

作詞作曲 エルトン・ジョン/バーニー・トーピン

◯シングル(1992年/70th/全英41位・全米48位)

もともと、エルトン・ジョンの1970年リリースの最初のヒット曲(全英7位・全米8位)ですが、このロッドのボーカルは、本家オリジナルを軽々と超えてしまいます。

もともと、Your Song のトリビュート・アルバム「Two Rooms:Celebrating  the Songs of Elton John & Bernie Taupin(1991)」に収録されたもので、そのアルバムからのシングルカットです。

「この気持ち、なんだか、ちょっと変なんだ。僕は、隠し事が上手じゃない。僕はお金持ちじゃないけど、もし、お金持ちだったら、僕たちが、2人で住める、大きな家を買うよ。もしも、僕が彫刻家だったら、でも、まあ、それはないか…。じゃなくて、旅芸人の舞台で、願いを叶える魔法の飲み薬をつくる役の男だったら、それで十分じゃないとわかってはいるけど、それが、僕にできる最良のことだから、僕の贈り物は、君のために作った、この歌だよ。君は、これは、自分の歌だって、みんなに言っていいんだよ。とてもシンプルな歌だけど、今、できたばかりなんだ。僕が歌詞に書いたことを気にしないでね。この世界に、君がいてくれるだけで、なんて素敵な人生なんだろう。」

It's a little bit funny this feeling inside.
I'm not one of those who can easily hide.
I don't have much money but boy if I did,
I'd buy a big house where we both could live.
If I was a sculptor, but then again, no…,
Or a man who makes potions in a travelling show,
I know it's not much but it's the best I can do,
My gift is my song and this one's for you.
And you can tell everybody this is your song
It may be quite simple but now that it's done
I hope you don't mind
I hope you don't mind that I put down in words
How wonderful life is while you're in the world
 

⑫ダウンタウン・ライツ(Downtown Lights)

作詞作曲 ポール・ブキャナン

◯アルバム「ユア・ザ・スター(1995年/17th/全英35位・全米4位)」初収録。

ポール・ブキャナンがリーダーを務めるスコットランド・グラスゴー出身のバンド「ブルー・ナイル」が、1989年にリリースした2ndアルバムに収録されている曲のカヴァー。名曲です。

このアルバム「ユア・ザ・スター」は、アトランティック・クロッシングと並ぶ傑作です。いい曲がたくさん入っていますが、中でも、シングル化されていないのに出色の2曲があり、今回、両方ともベスト15に選びました。当時、ロッド・スチュワートは50歳。ボーカリストとして、ある意味、ピークというか、円熟の境地にあります。

「時々、僕は、人前から歩き去る。君を愛して抱きしめることが、したいことのすべて、という時に、僕に言えるのは、この一言だけ。大丈夫だよ、見えないのかい、あの街の明かりが。」

Sometimes I walk away 

When all I really want to do is love and hold you right,

There is just one thing I can say.

It's all right, can't you see?

The downtown rights.

 

⑬マディ、サム&オーティス(Muddy, Sam and Otis)

作詞作曲 ロッド・スチュワート/ケヴィン・サヴィガー

◯アルバム「ユア・ザ・スター(1995年/17th/全英35位・全米4位)」初収録。

隠れた名曲。

〝シカゴ・ブルースの父〟と言われたマディ・ウォーターズ、ゴスペル歌手の大御所だったサム・クック、そして、伝説のソウル・シンガー、オーティス・レディングと、3人の偉大な黒人ミュージシャンへのトリビュート(感謝・賞賛・尊敬を込めた捧げ物)として制作されたロッド自作の曲。

「俺がまだ17歳だった頃、ストリートには、ボヘミアンの詩人や弟子たちがいた。そして、俺は、アイデンティティを探している子どもにすぎなかった。1963年のことだ。ある寒い12月の夜に、ラジオから流れてくる、その曲を聴いた。キリストの輝く光のように、その曲は、電波放送を燃やし尽くさんばかりだった。遠くアメリカから、大西洋を渡って、そのマジックはやってきたんだ。」

I remember when I was only seventeen 

The Bohemian poet and disciple of the sheets 

Or was I just a little kid searching for identity in '63

Heard it on the radio on a cold December night.

It came burning down the air waves like a savior's shining light 

All the way from the U.S.A, across the Atlantic 

Far away the magic came 

 

⑭イフ・ウイ・フォール・イン・ラヴ・トゥナイト(If We Fall in Love Tonight)

作詞作曲 ジミー・ジャム&テリー・ルイス

◯アルバム「ベスト・バラード・コレクション(1996年/best版/全英19位・全米8位)」初収録。

◯シングル(1996年/85th/全英58位・全米54位)

このアルバムは、ベスト・アルバムでは、あるのですが、新曲が3曲含まれており、そのうちの2曲が、カヴァーでないオリジナルの曲でした。そして、その2曲両方を、私は、今回のベスト15に選びました。どちらも大好きな曲です。

この曲は、アルバムの原題タイトルともなっている曲で、ファースト・シングル・カットされました。肩の力が抜けた円熟の味わいがあります。

アメリカの黒人シンガーソングライター・デュオ、ジャム&ルイスの提供曲。

「痛みは、河のように流れて、そのすべての記憶と共に、今でも息づいている。恥辱が、そんなにも君の心を引き裂いたので、今、君は、心を開いて、再び愛に身を委ねることを恐れている。そして、今、新しい希望が、この愛の芽吹きを待っている。今度こそ、この愛は、君が夢見てきたものになる。それでも、君が信じられないと思っているのは知っているよ。でも、僕は、君を失望させたりしない。ねえ、もしも、今夜、僕らが恋に落ちたら、君は大丈夫だよ。君の心は、平安に包まれる。ねえ、もし、僕らが、もう一度、恋に落ちたら、君がチャンスを掴みさえすれば、君は安心して、僕に身を任すことができるはず。心を開いて、もう一度、この愛に身を委ねて欲しい。」

Pain, flows like a river, just keeps on livin' with all them memories.

Shame, you're so heartbroken

now you're scared to open and give your love again.

And now anticipation waits for love.

Will it be everything you dreamed this time around.

I know you have your doubts but I won't let you down.

Darlin' if, if we fall in love tonight, you're gonna be all right.

your heart is in good hands.

Darlin' if, if we fall in love again,

On me you can depend, if you could take a chance.

Open your heart and let love, love again.

 

⑮フォー・ザ・ファースト・タイム(For the First Time)

作詞作曲 ジュド・フリードマン/アラン・リッチ/ジェイムズ・ニュートン・ハワード

◯アルバム「ベスト・バラード・コレクション(1996年/best版/全英19位・全米8位)」初収録。

同名映画の主題歌「フットルース(1984)」の大ヒットで知られるケニー・ロギンズによる同1996年のリリース曲として知られています。でも、リリースは、このロッドのアルバムの方が1ヶ月早く、こちらがオリジナル(原曲)になります。

シングル化はされていませんが、セイリングと並んで、ボーカリスト=ロッド・スチュワートの集大成と言える、素晴らしい完成度のスロー・バラードです。

「それが、君の瞳なんだね。それが、君の微笑みなんだ。僕は、ずっと長い間、君を見てきた。それなのに、そんな君を、今まで、見たことがない。僕を抱きしめる、これが、君の手なんだね。これまで、僕は、なんてひどい盲目だったんだろう。僕は、初めて、君の瞳を見ている気がするよ。初めて、僕は、本当の君に出会っているんだ。僕を見返してくる君を、何度見つめても見飽きることはない。今、初めて、愛が何であるか、理解できた気がする。」

Are those your eyes?
Is that your smile?
I've been looking at you forever.
yet I never saw you before.
Are these your hands holding mine?
Now I wonder how I could have been so blind.
And for the first time I am looking in your eyes.
For the first time I'm seeing who you are.
I can't believe how much I see when you're looking back at me.
Now I understand what love is, love is, for the first time.

イングランド北部のニューカッスル出身のスティングは、伊勢正三さんと同じ1951年生まれです。

1972年、スティングは、地元のニューカッスル・ビッグ・バンドのベーシストとして、初のアルバムを発表しました。その後、1974年に、スティングは、地元ニューカッスルで、ジャズ・フュージョン・バンド「ラスト・イグジット」を結成し、音楽活動を展開していました。

しかし、1976年末、スティングのステージを見たドラマーのスチュアート・コープランドの説得によって、「ポリス」を結成し、1978年にデビュー・アルバム「アウトランドス・ダムール」を発表しました。

翌1979年、2ndアルバム「白いレガッタ」が、全英で1位を獲得し、シングル「孤独のメッセージ」も全英1位を初めて獲得しました。

この1979年という年は、TULIPが「虹とスニーカーの頃」を、N.S.Pが「青い涙の味がする」を、ふきのとうがアルバム「人生・春・横断」を、松山千春がアルバム「空を飛ぶ鳥のように、野を駈ける風のように」を、さだまさしがアルバム「夢供養」を、イーグルスがアルバム「ロング・ラン」を発表した年です。前年には、ビリー・ジョエルが名盤「ニューヨーク52番街」を発表しています。

それから、ポリスは、徐々に、世界規模でメジャーになっていきました。

そして、デビュー6年目の1983年には、5thアルバム「シンクロニシティー」が、初の全米1位を獲得しました。

この1983年には、ビリー・ジョエルが、アルバム「イノセント・マン」を発表しています。また、日本では伊勢正三が、アルバム「ORANGE」を発表しています。

しかし、その後、ポリスは、1984年以降、活動を停止してしまい、現在に至っています。

そして、翌1985年以降、スティング自身は、ソロ活動を本格化させ、その活動を現在まで続けています。

ここでは、1979年発表のポリスの2ndアルバム「白いレガッタ」から、1993年発表の5thソロ・アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ」までの15年間の範囲から、ベスト20曲を、独断と偏見により選びました。

曲順は、発表年時順によります。

20曲中、歌詞のあるものは19曲。そのうち、恋愛・失恋をテーマとしたものは9曲です。残りの10曲は、それ以外の人生のテーマ、例えば、孤独や信仰、成長や信念といった個人的な問題や、社会の抱える問題について歌っています。

 

 

①孤独のメッセージ(Message in a Bottle)

作詞作曲 スティング

◯シングル(1979年発表/2nd/全英1位・全米74位)

◯アルバム「白のレガッタ(1979年発表/ポリス2nd/全英1位・全米25位)」初収録。

ポリス最初の全英ナンバーワン・ヒット曲。イングランド独特の雰囲気と個性を持つスティングの声とメロディー、そして、内省的で物語のようなイメージ喚起力のある歌詞が、とても印象的な曲です。

岸を離れた小島でひとり、誰も耐えられないほどの孤独の中にいて、絶望に陥る前に助けてほしいと書いた手紙を入れて、ガラスの小瓶を海に流しました。さて、どうなるでしょうか?

「絶海の孤島で、ひとりぼっちの漂流者になってしまった。自分以外に誰もいない小島で、また1日が過ぎる。耐えられない孤独に苛まれている。絶望に陥る前に、誰かに助けを求めなければ!」

「世界にSOSを送ろう。誰か、ガラスの小瓶に詰めた僕の手紙を見つけて読んで欲しい。」

「手紙の入ったボトルを海に流してから1年が過ぎた。こうなることは、初めから覚悟しておくべきだった。かろうじて正気が保てたのは、まだわずかでも希望があったからだ。愛は命を長らえさせる一方で、心を破壊していく。」

「今朝、浜辺を歩いている時、僕は信じられない光景を見た。数えきれないほどのガラスの小瓶が、波打ち際に打ち寄せられていた。どうやら、ひとりぼっちなのは僕だけではなかったようだ。千億もの漂流者たちが、家に帰るすべを探していた。」

Just a castaway, an island lost at sea.

Another lonely day with no one here but me.

More loneliness than any man could bear.

Rescue me before I fall into despair.

I'll send an SOS to the world.

I hope that someone gets my Message in a Bottle.

A year has passed since I wrote my note.
I should have known this right from the start.
Only hope can keep me together.
Love can mend your life but love can break your heart.
Walked out this morning, don't believe what I saw.
A hundred billion bottles washed up on the shore.
Seems I'm not alone at being alone.
A hundred billion castaways looking for a home.

 

②見つめていたい(Every Breath You Take)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「シンクロニシティー(1983年発表/5th/全英1位・全米1位)」初収録。

◯シングル(1983年発表/8th/全英1位・全米1位)

ポリス最大のヒット曲で、初の全米ナンバーワン・ヒット曲。スティングの曲では、もっとも有名な曲だと思います。

一聴すると、素敵なラブソングなのですが、実は、この曲は、今で言う「ストーカー行為」にはしる男(スティング?)の歌です。スティング本人は「嫉妬と監視と独占欲に満ちた、意地が悪く器量の小さい、相当にたちの悪い男の歌」と説明しています。

「君の呼吸のすべてを、君の動きのすべてを、君がちぎり捨てたすべての絆を、君の足どりすべてを、僕は見逃さない。一日も欠かさずに、君の言葉を一言も聞き逃さないで、君が遊ぶゲームのすべてを、君が過ごす夜のすべてを、僕は見ているよ。ああ、君はわからないのかい。君は僕のものなんだ。君が一歩歩くごとに、僕のかわいそうなハートが、どれほど痛むことか。君の動きのすべてを、君が破った約束のすべてを、君のすべての偽りの微笑みを、君の固執する主張のすべてを、僕は決して見逃さないよ。」

Every breath you take and every move you make,
Every bond you break, every step you take,
I'll be watching you.

Every single day and every word you say,
Every game you play, every night you stay,
I'll be watching you.

Oh can't you see.
You belong to me.
How my poor heart aches with every step you take.

Every move you make and every vow you break,
Every smile you fake, every claim you stake,
I'll be watching you.

 

③セット・ゼム・フリー(If You Love Somebody Set Them Free)

作詞作曲 スティング

◯シングル(1985年発表/1st/全英26位・全米3位)

◯アルバム「ブルー・タートルの夢(1985年発表/1st/全英3位・全米2位)」初収録。

スティングの1stソロアルバムの最初の曲であり、ソロ活動での初のヒット・シングルでもあります。

スティング本人は、「この曲は、『見つめていたい』の支配と監視に対する解毒剤なんだ」と語っています。

「もし、君が、誰かを必要としているなら、僕を呼んでくれ。誰かにそばに居て欲しい時にもね。もし、君が、何か貴重なものを、手元にとっておきたいなら、鍵を掛けた箱の中に入れて、その鍵を捨ててしまえばいい。君が、誰かを所有し続けたいのなら、僕のことは忘れてくれ。君が、誰かを愛しているなら、本当に愛しているのなら、その人を縛り付けようとするな。」

If you need somebody, call my name.
If you want someone, you can do the same.
If you want to keep something precious,
You got to lock it up and throw away the key.
If you want to hold onto your possession,
Don't even think about me.
If you love somebody,
If you love someone, set them free.

 

④フォートレス・アラウンド・ユア・ハート(Fortress Around Your Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ブルー・タートルの夢(1985年発表/1st/全英3位・全米2位)」初収録。アルバムの最後の曲。

◯シングル(1985年発表/3rd/全英49位・全米8位)

タイトルにあるように「あなたの心の周りに築かれた要塞」について書かれた歌です。このアルバム中で、私が一番好きな曲です。

「この監獄は、今や、君の住居となった。君は、判決を受け入れて、償う準備ができているのだろうね。」

「そして、もし、僕が、君の心の周りに、堀と有刺鉄線で囲われた、この城塞を築いてしまったのなら、僕には、その堀を埋めることはできないから、橋を架けさせてくれないか。そして、その胸壁に砲撃を加えさせてくれ。」

This prison has now become your home.
A sentence you seem prepared to pay

And if I built this fortress around your heart,
Encircled you in trenches and barbed wire.
Then let me build a bridge for I cannot fill the chasm.
And let me set the battlements on fire.

 

⑤バーボン・ストリートの月(Moon over Bourbon Street)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ブルー・タートルの夢(1985年発表/1st/全英3位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1986年発表/5th/全英44位)

渋い燻し銀のような味わいの佳曲です。「夜明けのバンパイア」という小説に刺激を受けて書いた作品とのことです。この曲、ラブソングなのですよね。

バーボンストリートは、ニューオーリンズにある有名なフランス植民地時代の面影が残る歴史的な通りで、名前の由来はブルボン朝から来ているそうです。

「今夜、バーボンストリートには月が出ている。青白い街灯の光の下、通り過ぎる人々の顔を私は見ている。私は、その声に従うよりほかに道はなかった。まばゆい繁華街の灯り、往き通う人々、そして月、すべてが…。私は、日々、強くあろうとして祈る。私がすることは間違っていると知っているがゆえに。君は、私の影を見ることはない。私の足音を聞くこともない。バーボンストリートに月が出ている間は。」

There's a moon over Bourbon Street tonight.
I see faces as they pass beneath the pale lamp light.
I've no choice but to follow that call.
The bright lights, the people, and the moon and all.
I pray every day to be strong.
For I know what I do must be wrong.
Oh you'll never see my shade or hear the sound of my feet,
While there's a moon over Bourbon Street.

 

⑥ザ・ラザラス・ハート(The Razarus Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

アルバムの最初を飾る、軽快なテンポの美しい曲。

アルバム制作の前年(1986)に、スティングのお母さんが癌で亡くなったことが、アルバム制作に大きく影響していると言われています。そのためか、このアルバムは、前作に比べて、非常に女性的で繊細な味わいに仕上がっています。

特にこの曲には、亡くなったお母さんへの想いが溢れている気がします。

「今日、彼は、自分のシャツの下を覗いた。彼の胸部の肉には、深くて大きい傷があった。その傷から可憐な花が咲いていた。深い内部の何処かから。彼は、母親の方へと振り向いて、焼き印のように燃えている、その胸の傷を見せた。けれども、彼の胸を切り開いた、その剣が、母親の手に握られていたのだ。」

「日々、新しい奇跡が起こる。死だけが、私たちを引き離す。あなたの命を救うために、一つの命を捧げねばならないなら、私はラザロの心臓の血になろう。」

He looked beneath his shirt today.
There was a wound in his flesh so deep and wide.
From the wound a lovely flower grew.
From somewhere deep inside.
He turned around to face his mother to show her the wound in his breast that burned like a brand.
But the sword that cut him open was the sword in his mother's hand.
Every day another miracle.
Only death will tear us apart.
To sacrifice a life for yours
I'd be the blood of the Lazarus heart.
The blood of the Lazarus heart.
 

⑦ビー・スティル・マイ・ビーティング・ハート(Be Still My Beating Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1987年発表/8th/全米15位)

「静まれ、僕の心臓の鼓動!」というタイトル通りの曲です。これも、とても印象的な曲です。

アルバム「Nothing Like the Sun」には、こうした自由で繊細で軽やかなタッチの曲が多いです。名盤です。

Be still my beating heart.
It would be better to be cool.
It's not time to be open just yet.
A lesson once learned is so hard to forget.
Be still my beating heart or I'll be taken for a fool.
It's not healthy to run at this pace.
The blood runs so red to my face.
I've been to every single book I know to soothe the thoughts that plague me so.

 

⑧イングリッシュマン・イン・ニューヨーク(Englishman in New York)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1988年発表/11th/全英51位・全米84位)

ロックとジャズのテイストを見事に洗練されたバランスで融合させた奇跡の曲。スティングの代表曲です。歌詞もカッコいいです。

「私はコーヒーを飲まない。ティーを飲む。トーストは片面しか焼かない。私の話すアクセントを聴けばわかるだろう。私はニューヨークの英国人だ。5番街を歩く私を見るがいい。私は杖を持っている。私はどこへ行く時も杖を持つ。私はニューヨークの英国人だ。誰かが言うように、マナーが人格を形成するとするなら、彼は現代のヒーローだ。無知な者たちの嘲笑に耐え、笑って受け流すことができるのが、大人というものだ。他人がなんと言おうと関係ない。大切なことは、どんな時も、偽らずに自分自身のままでいることだ。」

I don't take coffee, I take tea, my dear.
I like my toast done on one side.
And you can hear it in my accent when I talk.
I'm an Englishman in New York.

See me walking down Fifth Avenue.
A walking cane here at my side.
I take it everywhere I walk.
I'm an Englishman in New York.

If "manners maketh man" as someone said,
He's the hero of the day.
It takes a man to suffer ignorance and smile.
Be yourself no matter what they say.

 

⑨フラジャイル(Fragile)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1988年発表/12th/全英70位)

1987年、アメリカ人ベンジャミン・アーネスト・リンダー(当時27歳)は、ニカラグアの戦闘地帯で、村に電力と水を供給するダムで働いていました。彼は、米国に支援された反革命軍に殺されたのです。

そして、この曲は、スティングが、ベンジャミンの死を悼んで作った曲です。

2021年発表のアルバム『デュエッツ(Duets)』では、フリオ・イグレシアスとデュエットしています。

「肉と鋼鉄が一つになって血が流れ、夕日の色に染まって乾いていくとしても、翌日の雨は、その痕を洗い流してしまう。それでも、私たちの心に、いつも、残るものがある。おそらく、この最後の行為が、生涯にわたる論争に終止符を打ったのだ。怒りの星の下に生まれたすべての者たちにとって、暴力からは、何も生まれないし、暴力は何事もなし得ないということだ。私たちがいかに脆いかということを忘れないように、雨は、いつまでも、星からの涙のように降り続ける。雨は、私たちがどれほど脆いのかを、繰り返し、私たちに伝え続ける。」

If blood will flow when fresh and steel are one,
Drying in the colour of the evening sun,
Tomorrow's rain will wash the stains away.
But something in our minds will always stay.
Perhaps this final act was meant to clinch a lifetime's argument
That nothing comes from violence and nothing ever could
For all those born beneath an angry star.

Lest we forget how fragile we are,
On and on the rain will fall like tears from a star, like tears from a star.
On and on the rain will say how fragile we are, how fragile we are.

 

⑩孤独なダンス(They Dance Alone)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1988年発表/13th/ー)

チリの独裁者であるピノチェト政権によって、夫や息子を連れ去られた、妻や母が、自分の愛する人の写真を服にピンで留めて、グループで出かけ、警察署の前で、見えないパートナーとフォーク・ダンスを踊る様子を、スティングは目撃したそうです。

その女性たちへの敬意を込めて、スティングは、この歌を作りました。

「なぜ、ここで、相手もいないのに、ひとりで踊っている女たちがいるのだろう? なぜ、その瞳には哀しみが宿っているのか? なぜ、兵士たちが、ここにいる? なぜ、兵士の表情は、石のように硬いのだ? 兵士たちが、何をそんなに忌み嫌っているのか、私にはわからない。女は、行方不明者と踊っている。死者と踊っている。女たちは、眼に見えない相手と踊るのだ。その苦悶は語られない。女は、父親と踊っている。息子と踊っている。夫と踊っている。女たちは、ひとりで踊る。相手もいないのに、ひとりで踊るのだ。」

Why are there women here dancing on their own?
Why is there this sadness in their eyes?
Why are the soldiers here.
Their faces fixed like stone?
I can't see what it is that they dispise.
They're dancing with the missing.
They're dancing with the dead.
They dance with the invisible ones.
Their anguish is unsaid.
They're dancing with their fathers.
They're dancing with their sons.
They're dancing with their husbands.
They dance alone. 

They dance alone.

 

⑪ストレート・トゥ・マイ・ハート(Straight to My Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

「100年後には、科学的に至福を与える方法が、キスに取って代わり、原子核内部の連鎖が、脳に電流を走らせて、あるいは生化学的にもたらされる恍惚状態が、ロマンスを消し去るに違いないと言われたとしても、僕の心に真っ直ぐ突き刺さる、古代の恋人たちのわざで造られた、この〝矢〟があるのだから、何を気にすることがあるだろうか?」と、スティングは、この曲の詞に書いています。

とてもストレートな「愛への讃歌」です。

Well, in a hundred years from now, they will attempt to tell us how

A scientific means to bliss will supersede the human kiss.

A sub atomic chain will maybe galvanize the brain

Or a biochemic trance will eliminate romance.

But why ever should we care when there are arrows in the air

Formed by lovers' ancient art that go straight to my heart?

 

⑫シスター・ムーン(Sister Moon)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

歌詞の中に、アルバムタイトルの「Nothing like the sun」が出てきます。この曲も、非常に女性的な歌詞です。

「月よ、あなたは私の道標。あなたの青い影に私は隠れることができる。今夜、善人たちは、皆、眠りについている。私はひとり、あなたの銀色の光の下にいる。私は、よく一晩中、あなたの横顔を見つめていた。あなたのこと以外、何も考えられなかった。」

「彼女の眼差しは、太陽とはまるで違う。彼女への飢えは、一晩中、月に向かって吠えたり、私がしてきたあらゆることの理由なのだ。私がそうしても、誰も気にする人はいない。私は、あなたのこと以外、何も考えられない。」

Sister moon will be my guide.
In your blue blue shadows I would hide.
All good people asleep tonight.
I'm all by myself in your silver light.
I would gaze at your face the whole night through.
I'd go out of my mind but for you.

My mistress' eyes are nothing like the sun.
My hunger for her explains everything I've done.
To howl at the moon the whole night through.
And they really don't care if I do.
I'd go out of my mind but for you.

 

⑬リトル・ウィング(Little Wing)

作詞作曲 ジミ・ヘンドリックス

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

ジミ・ヘンドリックスの名曲のカバー版。これもまた女性的な曲で、普遍的な〝母性〟をテーマとした曲です。

「彼女は雲の中を歩いている。そぞろに自由に動き回る心で。蝶にシマウマ、月光に御伽噺。彼女の心は、風に乗ることでいっぱいだ。私が悲しい時、彼女は私のところへやってくる。千もの笑顔を惜しげもなくふりまいて。『大丈夫、いいんだよ。何でも持っていきなさい。ありったけ、何でも!』そう言いながら。飛んでいけ、小さな翼。」

Well she’s walking through the clouds
With a circus mind that’s running round.
Butterflies and zebras and moonbeams and fairytales.
That’s all she ever thinks about riding with the wind.
When I’m sad, she comes to me.
With a thousand smiles she gives to me free.
It’s alright, she said, it’s alright.
Take anything you want from me,
Anything, anything.
Fly on, little wing.

 

⑭シークレット・マリッジ(The Secret Marriage)

作詞作曲 スティング/ハンス・アイスラー

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。アルバムの最後を締める佳曲。

静かな曲ですが、人を落ち着かせるヒーリング曲です。

「私たちの結婚を祝福する地上の教会はなく、私たちに婚姻の許可を与える政府もない。私たち二人を結びつけた家族の絆、家同士の繋がりもなく、二人の仲介をして報酬を得た会社もない。」

「二人の婚姻を飾る花はなく、花嫁を飾る白いベールもない。バージンロードを歩く白いドレスはなく、互いに手を置いて誓う聖書もない。」

「秘密の結婚の誓いは、決して口に出されない。秘密の結婚は、決して破られることはない。」

No earthly church has ever blessed our union.
No state has ever granted us permission.
No family bond has ever made us two.
No company has ever earned commission.

No flowers on the alter.
No white veil in your hair.
No maiden dress to alter.
No bible oath to swear.

The secret marriage vow is never spoken.
The secret marriage never can be broken.

 

⑮オール・ディス・タイム(All This Time)

作詞作曲 スティング

◯シングル(1990年発表/14th/全米5位)

◯アルバム「ソウル・ケージ(1991年発表/3rd/全英1位・全米2位)」初収録。

このアルバムの制作直前に、スティングのお父さんが亡くなりました。そのことが、アルバム制作に大きな影響を与えたと言われます。この曲は、このアルバムの中では、一番好きな曲です。

「教師たちは、この地はローマ人が建設したのだと、僕たちに言う。彼らは、帝国の城塞都市の縁に、城壁と教会を建設した。彼らは生き、そして、死んだ。彼らは、彼らの神々に祈った。しかし、その石の神々は、何も言わなかった。やがて、彼らの帝国は崩れ去り、残ったのは、労働者たちが造った礎石だけだった。」

「そして、その間、ずっと河は、北国の陽の光の下、流れていた。もし、できるなら、僕は、その河に、一艘の小舟で漕ぎ出すだろう。男たちは、群れていると、ろくなことにならない。彼らは、一人きりになれた時、初めて、少しは、まともにモノが考えられるようになる。」

The teachers told us, the Romans built this place.
They built a wall and a temple in an edge of the empire garrison town.
They lived and they died. They prayed to their gods.
But the stone gods did not make a sound.
And their empire crumbled, 'til all that was left were the stones the workmen found.
And all this time the river flowed in the falling light of a northern sun.
If I had my way I'd take a boat from the river.
Men go crazy in congregations.
But they only get better one by one, one by one...

 

⑯セント・アグネス・アンド・ザ・バーニング・トレイン(Saint Agnes and tne Burning Train)

作曲 スティング

◯アルバム「ソウル・ケージ(1991年発表/3rd/全英1位・全米2位)」初収録。

インストルメンタルのギター曲です。本当に渋くていい曲です。

 

⑰イッツ・プロバブリー・ミー(It's Probably Me)

作詞作曲 スティング/エリック・クラプトン/マイケル・ケイメン

◯シングル(1992年発表/18th/全米20位)

◯アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ(1993年発表/4th/全英2位・全米2位)」初収録。

もともとは、1992年公開の映画「リーサル・ウェポン 3」のサントラに含まれていた曲。

曲調も、歌詞も、地味ですが、味があります。ハードボイルドです。

2021年発表のアルバム『デュエッツ(Duets)』では、エリック・クラプトンとデュエットしています。

「世界が狂気に満ちて、理不尽がまかりとおるようになっても、お前を守るために、声を上げるやつが1人だけいる。陪審員が部屋を出て行き、残った被告人のお前が、傍聴人で埋め尽くされた部屋を見渡す時、お前が探し求めるのは、ただ一つの親しい顔だけだ。もしも、お前の前に身を投げ出して、お前のために死ぬやつが、この世に、たったひとり、いるとするなら、言うのは難しいが、言いたくはないのだが、それは、おそらく俺だ。」

When the world's gone crazy and it makes no sense,
There's only one voice that comes to your defense.
And the jury's out and your eyes search the room,
And one friendly face is all you need to see.
If there's one guy, just one guy who'd lay down his life for you and die,
It's hard to say it, I hate to say it, but it's probably me.

 

⑱セブン・デイズ(Seven Days)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ(1993年発表/4th/全英2位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1993年発表/20th/ー)

スティングにしては珍しく、明るく軽快なテンポの佳曲。歌詞もコミカルで可愛らしい。ちなみに、スティングの身長は181cmだそうです。ぜんぜん低くない。

「〝1週間〟それが、彼女が書き置きしてあった伝言のすべて。一種の最後通牒だ。それを彼女は僕に送ってよこしたのだ。一つの問題を解決したかなと思っていると、別の訴訟が起こるみたいな感じだ。僕の苦難は続く。決断が苦手なのに、僕の選択肢は、急速に減っている。う〜ん。今回は、脅しじゃなさそうだ。なんとしても、彼女を僕のものにしなきゃならない。それは明白だ。彼か、僕か、だ。」

「彼は、他人に恐怖を覚えさせる2mを超える巨人だという事実がある。一方で、僕はそうではない。ただのノミみたいなもんだ。はたして、僕はネズミなのか人間なのか…。鏡を覗くと、ちゅーちゅー泣いているじゃないか。僕は逃げ出した。彼は、紅茶の時間までに、僕を殺すだろう。それが、何か問題になるかな? 僕のライバルは、言わば、ネアンデルタール人だ。たぶん、僕にはお酒が必要だ。IQは、ここでは問題にならない。僕と彼女は、恐ろしい彼女お手製のスクラブルで遊んでいるわけじゃない。僕にはビールが必要だ。」

「1週間は、すぐに終わる。残るのは、僕が彼女を愛しているという事実だ。1週間あれば、いろんな手を思いつく。けれど、僕は逃げることはできない。月曜日、僕は火曜日まで待てる。もし、覚悟を決めさえすれば、水曜日は素晴らしい日になる。木曜日が待ち遠しい。金曜日、まだ時間がある。土曜日、まだ間に合う。でも、日曜日では手遅れだ。」

「僕らが最初に出会って以来続いている、数限りない雨の日にまつわる話を、君にするべきかな? 僕らは、二人が十分入れる大きな傘を、一緒に差して歩くんだけど、なぜか、いつだって、ずぶ濡れになるのは、僕の方なんだよ。」

"Seven days" was all she wrote. A kind of ultimatum note.
She gave to me, she gave to me.
When I thought the field had cleared, it seemed another suit appeared.
To challenge me. Woe is me.
Though I hate to make a choice, my options are decreasing mostly rapidly.
Well, we'll see. I don't think she'd bluff this time.
I really have to make her mine. It's plain to see. It's him or me.

The fact he's over six-feet ten might instill fear in other men.
But not in me. The mighty flea.
Ask if I am mouse or man. The mirror squeaked, away I ran.
He'll murder me in time for his tea. Does it bother me at all?
My rival is Neanderthal, it makes me think. Perhaps I need a drink.
IQ is no problem here.
We won't be playing Scrabble for her hand I fear. I need that beer.

Seven days will quickly go. The fact remains, I love her so.
Seven days, so many ways. But I can't run away. I can't run away.
Monday, I could wait till Tuesday.
If I make up my mind, Wednesday would be fine, Thursday's on my mind,
Friday'd give me time, Saturday could wait, but Sunday'd be too late.
Do I have to tell a story of a thousand rainy days since we first met?
It's a big enough umbrella. But it's always me that ends up getting wet.

 

⑲フィールズ・オブ・ゴールド(Feilds of Gold)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ(1993年発表/4th/全英2位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1993年発表/21th/全英で16位・全米23位)

名曲です。スティングの代表曲のひとつ。

「あなたは、大麦畑の上を西風が吹く時に、私を思い出す。私たちが、金色の麦畑を歩く時、あなたは、嫉妬深い天の太陽を忘れるだろう。それで、彼女は、少しの間、大麦畑を見つめるために、恋人を連れて行った。彼女の髪が垂れかかり、彼女は恋人の腕の中に落ちた。金色の麦畑の中で。」

You'll remember me when the west wind moves
Upon the fields of barley.
You'll forget the sun in his jealous sky
As we walk in fields of gold.
So she took her love for to gaze awhile
Upon the fields of barley.
In his arms she fell as her hair came down
Among the fields of gold.

 

⑳シェイプ・オブ・マイ・ハート(Shape of My Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ(1993年発表/4th/全英2位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1993年発表/22th/全英50位)

映画『レオン』のエンディング・テーマ曲です。これも名曲。

「彼は、瞑想の中で、カードをひく。彼には確固とした目的がある。お金を稼ぐのが目的ではない。尊敬を得るためでもない。彼は、答えを得るために、カードをひく。聖なる物の幾何学的形状を理解する数学的手法によって、可能な結果を得るための隠された法則に基づいて、数字は、一つの結論へと彼を導く。」

「スペードは戦士の剣、クラブは戦争の兵器、ダイヤはお金を意味する。けれども、それは、私のハートのかたちではない。」

He deals the cards as a meditation.
And those he plays never suspect.
He doesn't play for the money he wins.
He don't play for respect.

He deals the cards to find the answer.
The sacred geometry of chance.
The hidden law of a probable outcome.
The numbers lead a dance.

I know that the spades are the swords of a soldier.
I know that the clubs are weapons of war.
I know that diamonds mean money for this art.
But that's not the shape of my heart.

イーグルスは、ビリー・ジョエルのデビューと同じ、1971年に結成された、アメリカ西海岸を拠点とする伝説的なロック・バンドです。

リーダーのグレン・フライは、ビリー・ジョエルより1年先輩で、財津和夫さんと同じ1948年生まれです。リード・ボーカルのドン・ヘンリーは、ひとつ年上の1947年生まれです。

1971年の結成当時は、リンダ・ロンシュタットのバック・バンドとしての活動がメインでしたが、翌1972年に「テイク・イト・イージー」でシングル・デビューし、いきなりヒットし、その後、「ならず者(1973)」、「呪われた夜(1975)」、「ホテル・カリフォルニア(1976)」と、次々と傑作アルバムを発表して、アメリカン・ロックを代表するバンドとなりました。

しかし、1979年にアルバム「ロング・ラン」発表後、メンバー間の軋轢から翌1980年に人気絶頂の中、バンドは活動を停止し、1982年には正式に解散となりました。

その後、1994年にバンドは再結成され、その活動は現在まで続いています。

けれども、ここでは、1971〜1980年までの10年間に発表された曲の中から、独断と偏見により、ベスト15曲を選びました。曲順は、発表年時順になります。

チャートの順位は、ビルボードによる全米順位です。

15曲中、恋愛・失恋をテーマにした、一般的(?)なラブソングは6曲で、残り9曲は、より深い人生のテーマ、欲望や孤独や葛藤や絶望や幸福や癒しについて、あるいは、社会への皮肉や批評、時代への怒りや感傷、人間への哀しみや慈しみなどについて歌ったものです。

 

 

①魔女の囁き(Witchy Woman)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/バーニー・レドン

◯アルバム「イーグルス・ファースト(1972年発表/1st/22位)」初収録。

◯シングル(1972年発表/2nd/9位)

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

イーグルスの発表したシングルの中で、初めて全米TOP10圏内に入ったヒット曲。

ボーカルはドン・ヘンリー。また、ドン・ヘンリーが、初めて、イーグルスの楽曲の作詞作曲に関わった曲であり、ファースト・アルバムでは唯一、ドン・ヘンリーが作詞作曲に関わった曲でもあります。もともとは、バーニー・レドンが描き始めた曲ということです。

いかにもイーグルスらしい、暗く妖しい雰囲気に満ちた佳曲。

「カラスのような漆黒の髪、ルビーのような深紅の唇。指先からは火花が飛び、声は夜にこだまする。彼女は、終わりのない飛行を続ける安息を知らない魂、魔女なのさ。彼女が、どんなに高く飛ぶか、見てみろよ。彼女は、瞳の中に、月を宿す、魔女なのさ。」

Raven hair and ruby lips.
Sparks fly from her finger tips.
Echoed voices in the night.
She's a restless spirit on an endless flight.

Woo hoo witchy woman.

See how high she flies.

Woo hoo witchy woman.

She got the moon in her eye.

 

②テキーラ・サンライズ(Tequila Sunrise)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ならず者(1973年発表/2nd/41位)」初収録。

◯シングル(1973年発表/4th/64位)

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。

2ndアルバム以降、基本、イーグルスの作品は、この作品も含めて、ドン・ヘンリーの書いた歌詞に、グレン・フライがメロディーをつけるかたちで制作されました。

初期のイーグルスに特徴的な、いかにもウエストコースト風の明るくゆったりとしたカントリー・ロック調の佳曲。これも、ラブソングなのかな?

「テキーラ・サンライズをもう一杯。空をゆっくりと見渡して、今日一日に、さよならを言った。彼は、はるかな夢を叶えようと働く、ただの下働きの少年。そして、日々は過ぎていく。太陽が沈んだ後、毎夜、街では、また別の孤独な少年と、彼女は、どこかで浮気をしているんだ。彼女は、他の女とは違う。だから、言い寄ってくる男たちを、近寄らせないでおくことは難しかった。ずっと前からの話さ。友達を分け隔てするハメに陥るなんて、虚しい気分さ。その苦さは、決して消えない。気付けに、もう一杯飲めよ。どうして正しい適切な言葉が思い浮かばないのか、不思議だよ。ただ、呆然として、頭が真っ白になっちまう。テキーラ・サンライズをもう一杯。この古い世界は、依然として、同じことを繰り返しているように見える。同じ夜明けが、新しい映像で繰り返されるんだ。」

It's another tequila sunrise, staring slowly cross the sky, said goodbye.
He was just a hired hand working on the dreams he planned to try.
The days go by.

Every night when the sun goes down,
Just another lonely boy in town and she’s out runnin’ ‘round.

She wasn’t just another woman and I couldn’t keep from comin’ on.
It’s been so long.

Oh, and it’s a hollow feelin’ when it comes down to dealin’ friends.
It never ends.

Take another shot of courage.
Wonder why the right words never come.
You just get numb.

It’s another tequila sunrise, 

This old world still looks the same, another frame.

 

③ならず者(Desperado)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ならず者(1973年発表/2nd/41位)」初収録。

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。

シングル・カットはされませんでしたが、多くのアーティストによってカバーされているイーグルスの代表曲で、スタンダード・バラードの歴史的名曲。

肥大した自意識を抱え、人を信じられず、人との絆を結べない若者たちへのメッセージ・ソングでもあります。

「頑固者で、わからずやの君。君はもう決して若くない。心の痛みと飢えが、君の望郷の念を駆り立てる。自由か、自由ね、そんなことを言う人たちもいるな。君は心の牢獄を抱えたまま、ひとりぼっちで、この世界を彷徨い続けている。君の足は、冬の寒さに凍えないのか? 雪も降らないし、陽も照らない。昼なのか夜なのかもわからない。君のすべての感情が、高まりも落ち込みも、消えていく。そんなふうに、すべての感情が消えていってしまうのは、おかしいと思わないか?」

「頑なで強情者の君。そろそろ気づいてもいい頃じゃないか? 君の乗っているフェンスの上から降りておいで。そして、扉を開けるんだ。雨が降っているかもしれない。けれども、君の上には虹がかかるだろう。手遅れになる前に、誰かに愛してもらうんだ。」

Desperado, oh, you ain't gettin' no younger.
Your pain and your hunger, they're drivin' you home.

And freedom, oh, freedom.
Well that's just some people talking.
Your prison is walking through this world all alone.

Don't your feet get cold in the winter time?
The sky won't snow and the sun won't shine.
It's hard to tell the night time from the day.
And you're losing all your highs and lows.
Ain't it funny how the feeling goes away?

Desperado, why don't you come to your senses?
Come down from your fences, open the gate.
It may be rainin', but there's a rainbow above you.
You better let somebody love you before it's too late.

 

④我が愛の至上(Best of My Love)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ/J.D.サウザー

◯アルバム「オン・ザ・ボーダー(1974年発表/3rd/17位)」初収録。

◯シングル(1974年発表/8th/1位)

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

イーグルス初のNo.1ヒット・シングル。ボーカルはドン・ヘンリー。

これも西海岸風のゆったりとした明るく美しい曲ですが、歌詞をよく聴くと、実は切ない失恋のバラードです。

「毎夜、ベッドの中で、君を抱き寄せて眠っている夢を見る。僕たちが互いに言い合ったことすべてについて考えながら、縫い目を解していく。僕らは、話し合おうと努力した。けれども、言葉は、ひどく荒くなるばかりだった。わかっているさ。君は、精一杯、僕を愛そうととしてくれたんだ。」

Every night I'm lyin' in bed holdin' you close in my dreams.
Thinkin' about all the things that we said,
I'm comin' apart at the seams.
We tried to talk it over.
But the words come out too rough.
I know you were trying to give me the best of your love.

 

⑤呪われた夜(One of These Nights)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯シングル(1975年発表/9th/1位)

◯アルバム「呪われた夜(1975年発表/4th/1位)」初収録。

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。

イーグルス初のNo.1ヒット・アルバムとなった名盤「呪われた夜」の表題曲で、イーグルスの代表曲の一つです。ミディアム・テンポの曲なのですが、ロック調で非常に個性的なアレンジがなされています。不朽の名曲「ならず者」「ホテル・カリフォルニア」と並ぶ、イーグルスの代表曲です。

「この昔ながらの狂おしい情念が、心の中で吹き荒れる夜々のうちに、俺たちは、必ず、可愛いお前の心の情念のトリガーを、見つけだすだろう。さあ、何が、お前の心に火をつけるんだ。満月が呼んでいる。熱は上がりっぱなしだ。邪悪な風が、ささやき、うめく。お前は、心の底にうごめく悪魔のような欲望が、突き上げてくるのを感じる。俺の心の底でも、魔物のような黒い欲望が膨れ上がる。光と闇の狭間に、真実の優しい想いを抱く誰かがいる。その誰かは、君のすぐ後ろに来ている。俺は、必ず、君の心を支配する鍵を見つけだすと誓おう。この狂おしい夜々が続くうちに。」

One of these nights, one of these crazy old nights,
We're gonna find out Pretty mama.
What turns on your lights.
The full moon is calling.

The fever is high.

And the wicked wind whispers and moans.
You got your demons. You got desires. Well, I got a few of my own.

Someone to be kind to in between the dark and the light.

Coming right behind you.
Swear I’m gonna find you.
One of these nights.

 

⑥テイク・イット・トゥ・ザ・リミット(Take It to the Limit)

作詞作曲 ランディ・マイズナー/ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「呪われた夜(1975年発表/4th/1位)」初収録。

◯シングル(1975年発表/11th/4位)

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

リード・ボーカルは、高音が美しいランディ・マイズナー。

ベーシストのランディ・マイズナーの作詞作曲に、ドン・ヘンリーとグレン・フライが協力して出来上がった作品。これも、スタンダード・バラードの名曲。

「そして、君が、自由を探している時、そして、君が、出口を見つけることができない時、信じられるものが何もない時に、それでも、君は、戻ってくる。また、戻ってくる。だから、僕をハイウェイに連れて行って、標識を見せてくれ。そして、もう一度だけ、力の限り、やってみてくれ。」

And when you're looking for your freedom,(Nobody seems to care)
And you can't find the door,(Can't find it anywhere)
When there's nothing to believe in,
Still you're coming back, you're running back, you're coming back for more.

So put me on a highway and show me a sign.
And take it to the limit one more time.

 

⑦ニュー・キッド・イン・タウン(New Kid in Town)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ/J.D.サウザー

◯シングル(1976年発表/12th/1位)

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

リード・ボーカルはグレン・フライ。グラミー賞のベストボーカリストとベストアレンジを受賞しました。

J.D.サウザーの作詞作曲に、ドン・ヘンリーとグレン・フライが協力して出来上がった曲。良い曲ですが、実は、大変、皮肉に満ちた内容の歌詞です。

「通りでは噂話が聞こえる。それは、君を思い出させる。君が、どちらの立場でも、構わないんだ。君は歩き去っていく。その後ろで、人々は、噂話を続ける。人々は、君を決して忘れない。新しく誰かがやってくるまでは。最近、どうしてたんだ? 街には、新顔が登場したぞ。みんな、彼のことが大好きだ。そうだろ? 君が、その辺をうろついているうちに、彼が、彼女を抱いている。街には、新しいヒーローがいるってことさ。また、新しいヒーローが来たんだ。」

There's talk on the street. It's there to remind you.
Doesn't really matter which side you're on.
You're walkin' away and they're talkin' behind you.
They will never forget you till somebody new comes along.
Where you been lately, there's a new kid in town.
Everybody loves him, don't they?
And he's holdin' her and you're still around.
Oh, my, my, there's a new kid in town.
Just another new kid in town.

 

⑧ホテル・カリフォルニア(Hotel California)

作詞 ドン・ヘンリー/作曲 ドン・フェルダー

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯シングル(1977年発表/13th/1位)

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。言わずと知れたイーグルスの代表曲。これも、詩の内容が深くてホラーな曲です。1970年代の行き詰まりと閉塞感を抱えて彷徨える若者の魂を表現した名曲。

「それで、私は、支配人を呼んで、ワインを持ってきてくれと頼んだ。彼は、1969年以来、我々は、そのようなスピリッツ(蒸留酒・精神)を持っておりません、と言った。」

「天井の鏡。氷で冷やされたピンクのシャンパン。私たちは、自分自身の都合で、閉じ込められた囚人に過ぎないのよ、と彼女は言った。総支配人の部屋で、彼らは宴のために集う。そして、鋼鉄のナイフで、刺そうとするが、彼らは、その獣を殺すことができない。」

「私が覚えている最後の記憶は、ドアに向かって走ったことだ。私は、自分が以前いた場所へ戻る道を見つけなければならない。私を押し留めて、落ち着いて下さい、とガードマンは言った。私たちは、こうして受け止めるように、あらかじめ指示(プログラム)されています。あなたは、いつでも、好きな時にチェック・アウトできますが、決して、ここを出ることはできません。」

So I called up the Captain “Please bring me my wine.”
He said, “We haven’t had that spirit here since nineteen sixty-nine.”(中略)

Mirrors on the ceiling.

The pink champagne on ice.

And she said “we are all just prisoners here of our own device.”

And in the master‘s chambers,

They gathered for the feast.

They stab it with their steely knives.

But they just can’t kill the beast.

Last thing I remember, I was running for the door.

I had to find the passage back to the place I was before.

“Relax,” said the night man, “We are programmed to receive,
You can check out anytime you like… but you can never leave.”

 

⑨駆け足の人生(Life in the Fast Lane)

作詞作曲 ジョー・ウォルシュ/ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯シングル(1977年発表/14th/11位)

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。曲のアイディアはグレン・フライのもの。イーグルスの全楽曲の中でも、もっともヘヴィなハードロック・スタイルの曲です。ドラッグで破滅に突き進むカップルの歌です。

「彼は頑固な男だ。並外れて堂々としている。彼女はこの世のものとは思えないほど可愛い。彼女は彼を支えた。彼にとっては金づるだった。寒い寒い都会のど真ん中で。彼は残酷な男だという悪い噂があった。彼は冷酷で気が荒いと言われていた。二人に共通していることは、ベッドではイイということだった。彼女はよく言っていた。急いで、急いで、信号が赤になっちゃう! 高速道路の追い越し車線上の人生は、人の心を見失わさせる。ついてこれるかい?」

He was a hard-headed man.

He was brutally handsome, and she was terminally pretty.
She held him up, and he held her for ransom in the heart of the cold, cold city.
He had a nasty reputation as a cruel dude?
They said he was ruthless, they said he was crude.
They had one thing in common, they were good in bed.
She'd say, "Faster, faster. The lights are turnin' red."
Life in the fast lane, surely makes you lose your mind,
Life in the fast lane, Huh.

Are you with me so far?

 

⑩時は流れて(Wasted Time)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。失恋をテーマとしたスローバラードの佳曲。

「君は、頭を抱えて立ち尽くしている。信じられない。またしても、こうなってしまった。彼は去り、君は独りきり。どうやら終わりのようだ。君は、通りへと戻って、どうやって以前のように、一人で生きられるのか、思い出そうと努力する。どうしたら、そうできるのか、わからない。見知らぬ人の腕に抱かれるのも気にならない。でも、愛しい人を抱くことは、二度とできない。君は、これほどまでに、自分が独りになるなんて思いもしなかった。君が何を考えているのかわかるよ。君は、すべてが虚しく無駄に過ごした時間だったのでは、と恐れているんだ。」

Well, baby, there you stand with your little head down in your hand.
Oh, my God, you can't believe. It's happening again.
Your baby's gone and you're all alone and it looks like the end.

And you're back out on the street and you're tryin' to remember.
How do you start it over.
You don't know if you can.
You don't care much for a stranger's touch.
But you can't hold your man.
You never thought you'd be alone.
This far down the line.
But I know what's been on your mind.
You're afraid it's all been wasted time.
 

⑪暗黙の日々(Victim of Love)

作詞作曲 ドン・フェルダー/ドン・ヘンリー/グレン・フライ/J.D.サウザー

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

主に、ドン・フェルダーのアイディアから生まれた曲。リード・ボーカルも、最初の数テイクはドン・フェルダーで演奏されましたが、グレン・フライの意向でドン・ヘンリーにチェンジすることになったものです。

ハードロック・スタイルの良曲。

「君は、愛の犠牲、生け贄さ。俺には、君の壊れたハートが見える。俺は間違っているのかもしれない。いや、だが、違う。俺は間違っていないと思うぜ。愛の生け贄、犠牲者さ。俺たちは、似た者同士なんだ。お前は、どんな愛を手に入れたんだ、見せてみろよ?」
Victim of love, I see a broken heart.
I could be wrong, but I'm not, no, I'm not.
Victim of love, we're not so far apart.
Show me, what kind of love have you got?
 

⑫お前を夢見て(Pretty Maids All in a Row)

作詞作曲 ジョー・ウォルシュ/ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

リード・ボーカルはジョー・ウォルシュ。ジョー・ウォルシュの作詞作曲に、ドン・ヘンリーとグレン・フライがサポートして完成した佳曲。

私としては、たいへん良い〝子守唄〟になった曲でした。この曲を聴いていると、いつでも、優しく夢と安らぎの世界へと誘われたものでした。

ところで、この曲、邦題が意味不明です。「お前」って誰ですか?

原題も、マザーグースの一節らしいですが、非常に象徴的で、意味がわかりにくいです。一列に並ぶ『Pretty Maids』は、忘れえぬ「思い出たち?」でしょうか。

このアルバム「ホテル・カリフォルニア」のテーマである1960年代への憧憬と感傷が、この曲の歌詞の中にも、見え隠れしている気がします。

「やあ、元気かい? 久しぶりだね。思えば、僕らは、長い旅をしてきたようだね。でも、僕らは、とてもゆっくりとしか学べない。その間に、すごい奴らが、現れては去っていった。まるで僕らが、その理由を知っていて当然というように、当たり前の顔をして、僕らを置き去りにしていったね。どうして、僕らは、子供時代の大切な気持ちを、捨ててしまうのだろう。なぜ、こんなに急いで、大人にならなきゃならないんだろう。」

「子供の頃、君が純粋な想いで叶うことを願ったすべては、君の幸運を無駄に費やすことになっただけさ。友人から愛を込めて、誰か、君に薔薇を贈るべきだね。また君から便りをもらって嬉しかったよ。そろそろ、物語を読むのは、おしまいにしよう。リボンと蝶ネクタイの時代は終わったんだ。幼い頃の思い出も、すべて封印して、仕舞ってしまおう。愛しく可愛らしい思い出たちを…。」

Hi there. How are ‘ya?
It’s been a long time.

Seems like we’ve come a long way.
My, but we learn so slow.

And heroes, they come and they go

And leave us behind as if we’re supposed to know why.

Why do we give up our hearts to the past?
And why must we grow up so fast?

And all you wishing well fools with your fortunes.
Someone should send you a rose with love from a friend.
It's nice to hear from you again.
And the storybook comes to a close.
Gone are the ribbons and bows.
Things to remember places to go.
Pretty Maids all in a Row...

 

⑬ラスト・リゾート(The Last Resort)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。ドン・ヘンリーは、この曲を、彼自身のベスト・ワークに選んでいます。

『原住民を殺戮して〝新天地〟へと移り住んだ白人たちの罪』を直視した稀有の歌詞が心に響きます。

「君は、そのすべてを残して、ハワイのラハイナへと出航することもできる。ちょうど、宣教師たちが、大昔にそうしたように。彼らは、〝イエスがくる〟と書かれたネオンの看板さえ持ち込んだ。そうして、白人の重荷を降ろさせ、白人の支配をもたらした。誰が、そんな計画を用意するのか? 何が君のもので、何が僕のものなのか? 開拓するべきニューフロンティアは、もうないから、僕たちは、ここで、何とかやっていくしかない。僕たちは、限りのない欲望を満たし、血まみれの行為を正当化する。運命の名の下に、神の名の下に。そして、日曜の朝、君は、そこで、彼らが、立ち上がって、世界のありようを賛美して歌う姿を見ることができる。彼らは、そこを楽園と呼ぶ。なぜなのか、僕にはわからない。君は、どこか、とある場所を、楽園と呼びながら、その場所にさよならを言って、歩み去ることができる。」

You can leave it all behind and sail to Lahaina,
Just like the missionaries did so many years ago.
They even brought a neon sign 'Jesus is Coming',
Brought the white man's burden down, brought the white man's reign.
Who will provide the grand design?
What is yours and what is mine? 
Cause there is no more new frontier, we have got to make it here. 
We satisfy our endless needs and justify our bloody deeds
In the name of destiny and in the name of God. 
And you can see them there on Sunday morning 
Stand up and sing about what it's like up there.
They called it paradise, I don't know why. 
You call some place paradise, kissing it goodbye. 

 

⑭言いだせなくて(I Can't Tell You Why)

作詞作曲 ティモシー・B・シュミット/ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ロング・ラン(1979年発表/6th/1位)

◯シングル(1980年発表/18th/8位)

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

リード・ボーカルは、ティモシー・B・シュミット。曲のアイディアも、もともとティモシーのものでした。それを、例によって、ドン・ヘンリーとグレン・フライが、名曲へと洗練させたのです。グレン・フライは、自分が作曲に関わった曲の中で、「One of These Nights」と並べて、この曲をベスト・ワークに選んでいます。

イーグルスの最後のベスト10圏内に入ったシングルとなりました。

でも、この曲もまた、邦題が意味不明です。

原題の「I can't tell you why」は、歌詞の内容からすると「なぜ、これほどまでに、君への未練を断ち切れないのか、自分でも、理由がわからない」という意味になるはずですが。

「自分たちの愛を引き裂くのに、一夜を費やした、僕らの姿を、見てみなよ。本当に、僕らは、その同じ夜を、互いの愛を慈しんで、何年も過ごしてきた、同じ二人なのだろうか? 君から去ろうとするたびに、何かが、僕を振り向かせる。そして、僕を、君の元に止まらせる。何がそうさせるのか、僕にはわからない。」

Look at us baby, up all night tearing our love apart.
Aren't we the same two people who lived through years in the dark? 

Every time I try to walk away.
Somethin' makes me turn around and stay.
And I can't tell you why.

 

⑮ホテル・カリフォルニア(Hotel California)※アンプラグド・バージョン

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

1994年、再結成にともなって行われた世界ツアーにおける、MTVで放送されたアンプラグド・ライブから11曲+新曲4曲で構成されたニュー・アルバムがリリースされました。そのアルバムから、収録曲の「ホテル・カリフォルニア」MTVアンプラグド・ライブ版。

演奏は完全にアンプラグドで、アコースティック・ギターとパーカッションだけによる生の演奏を録音したもの。アレンジによって、まったく別物の曲になっています。

オリジナル・バージョンとまったく違うのに、甲乙つけ難い出来の素晴らしい作品です。

 

ビリー・ジョエルは、1949年、ニューヨーク市ブロンクスで、ナチスから逃れてアメリカに亡命したドイツ系ユダヤ人の父親とイギリス系ユダヤ人の母親から生まれました。世代的には、ビリー・ジョエルは、TULIPの財津和夫さんの1年後輩、「ふきのとう」の山木康世さんの1年先輩になります。

ビリー・ジョエルのデビューは、1971年(22歳)で、「かぐや姫」デビューの翌年、TULIPのデビューの前年にあたります。しかし、このデビューは失敗に終わり、その後、1973年(24歳)にアルバム「ピアノマン」で再デビューし、このアルバムで世間に認知されるようになりました。「かぐや姫」が代表曲「神田川」で、TULIPが「心の旅」で、N.S.Pが「さようなら」で、世間に認知されたのと同じ年です。

ここでは、ビリー・ジョエルの全盛期と言える1971〜1985年までの曲の中から、ベスト15曲を選びました。

選曲は、独断と偏見によります。記載順は、発表年時順です。チャート順位は、全米チャートです。

20曲中で、恋愛・失恋をテーマにしたラブソングは7曲のみです。残り13曲は、それぞれ、人が生きる上で直面する、さまざまな困難や課題など、恋愛事情以外の人生のテーマを歌った歌です。

 

 

①She's Got a Way

◯アルバム「コールド・スプリング・ハーバー〜ピアノの詩人(1971年発表/1st/158位)」初収録。

◯アルバム「ソングズ・イン・ジ・アティック(1981年発表/1stLiveアルバム/8位)」ライブ音源収録。

◯シングル(1982年発表/ライブ音源18th/4位)

まったく売れなかったファースト・アルバムの収録曲だったものが、初ライブ盤「ソングズ・イン・ジ・アティック」にライブ音源が収録され、そこからシングル・カットされて有名になった曲。シンプルで美しいラブソング。

She's got a way about her.

I don't know what it is.

But I know that I can't live without her.

 

②Piano Man

◯シングル(1973年発表/1st/25位)

◯アルバム「ピアノ・マン(1973年発表/2nd/27位)」初収録。

ビリー・ジョエルのデビュー・シングルにして出世曲。

ファースト・アルバムのセールスが伸びなかった後、L.A.のバーで、ピアノを弾いていた頃の実体験が元のなって作られた歌です。歌詞に出てくる登場人物たちも、みんな、実在の人物がモデルになっているそうです。

「土曜の夜9時、常連たちが、次々に入ってくる。俺の隣に座ったのは、ジントニックをこよなく愛する一人の老人だ。お前さん、わしの思い出の曲を一つ弾いてくれんか? 実は、うろ覚えなんだが、甘い、哀しい曲で、若い頃には、完全に覚えちゃいたんだが、と老人は言った。一曲、歌ってくれないか、ピアノマン。今夜、一曲。俺たちはみんな、お前のメロディーを聴きたい気分なのさ。お前さんの曲を聴いていると、今日も大丈夫だって感じるのさ。」

「このバーで働いているジョンは、俺の友達で、俺の飲み代もタダにしてくれる。キレのいいジョークを飛ばし、客のタバコに火をつけるのもはやい。だが、あいつには、どこか、もっとお似合いの場所があるはずなのさ。ビル、もう、うんざりさ。そう言う彼の顔からは、いつもの笑顔が消えていた。俺は、映画スターにだってなれるはずだ、もし、ここから出ていくことができさえしたら。」

「不動産ブローカーのポールは、小説家を目指している。忙しくて嫁さんを見つける暇もないんだとさ。そして、彼が話している相手は、まだ、海軍にいるデイビーだ。おそらく、二人とも、一生、そうしているんだろう。」

It's nine o'clock on Saturday, the regular crowd shuffles in.

There's an old man sitting next to me making love to his tonic and gin.

He says, "Son, can you play me a memory?
I'm not really sure how it goes.
But it's sad and it's sweet and I knew it complete when I wore a younger man's clothes."
Sing us a song, you're the piano man, sing us a song tonight.
Well, we're all in the mood for a melody and you've got us feelin' alright.
Now John at the bar is a friend of mine.
He gets me my drinks for free.
And he's quick with a joke or to light up your smoke.
But there's someplace that he'd rather be.
He says, "Bill, I believe this is killing me" as the smile ran away from his face.
"Well I'm sure that I could be a movie star If I could get out of this place."
Now Paul is a real estate novelist who never had time for a wife.
And he's talkin' with Davy who's still in the navy and probably will be for life.

 

③さよならハリウッド(Say Doodbye to Hollywood)

◯アルバム「ニューヨーク物語(1976年発表/4th/122位)」初収録。

◯アルバム「ソングズ・イン・ジ・アティック(1981年発表/1stLiveアルバム/8位)」ライブ音源収録。

◯シングル(1981年発表/ライブ音源17th/17位)

スタジオ録音版も、ライブ版も、どちらも、それなりに味わいがあります。

西海岸のL.A.に訣別を告げて、故郷ニューヨークへ戻った気持ちを歌っています。

「街を出るのは、君にとってチャンスだ。君は、いつも、一緒にやっていこうと努力してきた。ほんの一言、言い過ぎただけで、友達がみんな、永遠に去ってしまったことに気づかされる。人生の中で、たくさんの出会いと別れがあった。長く続く友達もいるし、その場限りの人もいる。人生は〝ハロー〟と〝グッドバイ〟の連続だ。そして、また、さよならの時が来てしまった。ハリウッドにさよならを言おう。恋人にも、ね。」

Moving on is a chance that you  take.

Every time you try to stay together.
Say a word out of line and you find that the friends you had are gone forever.

So many faces in and out of my life.

Some will last, some will just be now and then.

Life is a series of hellos and goodbyes.

I'm afraid it's time for goodbye again.

Say goodbye to Hollywood.
Say goodbye, my baby.

 

④ニューヨークの想い(New York State of Mind)

◯アルバム「ニューヨーク物語(1976年発表/4th/122位)」初収録。

◯シングル(1976年発表/5th/ー)

ビリー・ジョエルのベスト・バラード。自分はともかくニューヨークが好きだ、と歌いあげています。

「近所には、休暇をとって、マイアミビーチやハリウッドへと、飛行機で逃げていくのを好む人たちがいる。でも、僕は、ハドソン川沿いをはしるグレイハウンド(バス)に乗っている。僕は、大好きなニューヨークにいる。派手なクルマやリムジンに乗る映画スターたちをたくさん見てきた。緑に包まれたロッキー山脈にも登った。僕は、自分に何が必要かわかっているし、これ以上、時間を無駄にしたくないんだ。僕は、今、心の故郷、ニューヨークにいる。」

Some folks like to get away 

Take a Holliday from the neighborhood 

Hop a flight to Miami Beach or to Hollywood.

But I'm taking a Greyhound on the Hudson River Line.

I'm in a New York State of mind.

I've seen all the movie stars

In their fancy cars and their limousines

Been high in the Rockys under the evergreens.

I know what I'm needin' and I don't want to waste more time.

I'm in a New York state of mind.

 

⑤マイアミ2017(Miami 2017)

◯アルバム「ニューヨーク物語(1976年発表/4th/122位)」初収録。

◯アルバム「ソングズ・イン・ジ・アティック(1981年発表/1stLiveアルバム/8位)」ライブ音源収録。

「ソングズ・イン・ジ・アティック」のライブ音源が、非常に良いです。歌詞が非常にSF的で興味深い内容です。2017年、ニューヨークは崩壊していて、みんな、マイアミに逃げてしまっていたという設定です。

「ブロードウェイの灯が消えた。エンパイア・ステート・ビルディングが倒れるのを僕は見た。人々の生活圏は、パリセーズ(ハドソン川)の向こう側に移った。彼らは皆、キャデラックを買い、遠い昔に、そこを去った。ブルックリンでは、橋が吹き飛ばされるのを見物するために、コンサートが開かれた。彼らは、僕らの力を弱め、僕らを地下に追いやった。でも、僕らは、コンサートを続けたんだ。」

「ブロードウェイの灯が消えるのを僕は見たんだ。足元には、その廃墟があった。僕らのほとんどは、その廃墟に気づきもしなかったよね。42番街では、いつでも廃墟が広がっていたから。スペイン内戦のように、ハーレムでは教会が燃やされた。炎が至る所で燃え上がっていたけれど、気にする人はいなかった。ハーレムでは、以前から、いつだって炎が上がっていたからね。」

Seen the light go out on Broadway.

I saw the Empire State laid down and life went on beyond the palisades.

They all bought Cadillacs and left there long ago.

They held a concert out in Brooklyn to watch the island bridges blow.
They turned our power down and drove us underground.
But we went right on with the show.

I've seen the lights go out on Broadway.
I saw the ruins at my feet.
You know we almost didn't notice it.
We'd seen it all time on Forty-second Street.
They burned the chuches up in Harlem like in the Spanish civil war.
The flames were everywhere but no one really cared.
It always burned up there before.

 

⑥夏、ハイランドフォールズにて(Summer, Highland Falls)

◯アルバム「ニューヨーク物語(1976年発表/4th/122位)」初収録。

◯アルバム「ソングズ・イン・ジ・アティック(1981年発表/1stLiveアルバム/8位)」ライブ音源収録。

スタジオ録音版、ライブ版、どちらも良いです。

ハイランドフォールズは、ビリーが、西海岸から戻ってきた時に移り住んだニューヨーク州ハドソン川沿いの南側にある小さな村です。

ビリー自身は、この歌を〝躁鬱症に捧げる歌〟と言っています。ピアノが奏でる軽快で美しいメロディーとはかけ離れた、何だか、とても哲学的な詞なのです。

「それで、僕たちは、争ったり妥協したりしながら、何も変わってはいないことに気づく。どれほど似たような経験をしても、それぞれの結論はかけ離れたままだ。今、僕たちは、自らの残忍性を認識するように強いられている。僕たちの理性は、狂気と共存している。たとえ、現実と狂気のどちらかを選んだとしても、それは、哀しいのか、嬉しいのか、僕には、よくわからない。なんて浅はかに、僕らは、活力を浪費するのだろう。たぶん、僕らは、互いの幻想を満たし合うこともできない。僕らは、似たような状況で、それぞれ、人生の崖っぷちに立っているんだ。それが、哀しいのか、嬉しいのか、僕にはよくわからないんだ。」

So we'll argue and we'll compromise, and realize that nothing's ever changed.
For all our mutual experience, our separate conclusions are the same.

Now we are forced to recognize our inhumanity.

Our reason coexists with our insanity.

And though we choose between reality and madness,

It's either sadness or euphoria.

How thoughtlessly we dissipate our energies.
Perhaps we don't fulfill each other's fantasies.
And as we stand upon the ledges of our lives with our respective similarities,
It's either sadness or euphoria.

 

⑦ジェイムズ(James)

◯アルバム「ニューヨーク物語(1976年発表/4th/122位)」初収録。

あまり知られていない曲ですが、しんみりとした美しい佳曲。

ビリーは「君が本当の自分自身でいなければ、誰も幸せにならない」と、人生の真理を優しく語りかけています。

「ジェイムズ、自分の人生が好きかい? 安らぎはあるかい? これまでの生き方を変える気はないのかい? いつか、大著を書くつもりなの? まだ、学校で研究を続けているの? 期待に応えようと努力し続けているんだね、ジェイムズ。

「君は、とても頼りにされていたし、君が努力していたことは誰もが知っている。これまで、家族の期待を担って、成し遂げてきたことを考えてみろよ。」

「ジェイムズ、君は、礼儀正しく振る舞ってきたし、一生懸命、勉強してきた。でも、いつまでも、そうして誰かの夢を担っていくのかい? 本当の君自身になって、幸せになるべきなんだ。さもなければ、誰も幸せにならない。このままでは、君は、誰も幸せにはできないんだよ、ジェイムズ。」

James...do you like your life, can you find release,

And will you ever changeー

Will you ever write your masterpiece.

Are you still in schoolー

Living up to expectations...James...

You were so relied upon.

Everybody knows how hard you triedー

Hey...just look at what a job you've done, carrying the weight of family pride.

James…you've been well behaved, you've been working so hard.

But will you always stayー

Someone else's dreams of who you are.

Do what's good for you, or you're not good for anybody…James.

 

⑧ストレンジャー(The Stranger)

◯アルバム「ストレンジャー(1977年発表/5th/2位)」初収録。

ビリー・ジョエルの代表曲のひとつ。「人は誰しも仮面(ペルソナ)をつけて生きている」という心理学的な社会の真実を歌っている曲です。

「そう、我々は、誰もが皆、永遠に隠し続ける秘密の顔を持っている。そして、我々は、誰もいない時にだけ、こっそり、その仮面を取り出して眺めるんだ。サテン織もあれば、鋼鉄製もある。絹製もあれば革製もある。どの顔も、見覚えのないものばかりだ。だが、我々は、その誰にも見せたことのない仮面を装着するのを好むのだ。」

「そう、我々は、誰もが皆、その危険を顧みずに恋に落ちる。恋人たちの間では、あれほど多くの秘密が分かち合われるのに、決して打ち明けられることのない秘密もある。君が決して見ることのない顔を、相手が隠し持っていることに、なぜ、そんなに驚くことがあるんだ? 君自身は、自分の隠している顔を、恋人に見せたことがあるのかい?」

Well we all have a face that we hide away forever.

And we take them out and show ourselves when everyone has gone.

Some are satin, some are steel, some are silk and some are leather.

They're the faces of a strangers but we'd love to try them on.

Well, we all fall in love but we disregard the danger.
Though we share so many secrets, there are some we never tell.

Why were you so surprised that you never saw the stranger?
Did you ever let your lover see the stranger in yourself?

 

⑨ムーヴィン・アウト(Moving Out)

◯アルバム「ストレンジャー(1977年発表/5th/2位)」初収録。

◯シングル(1978年発表/7th/17位)

「一生懸命、真面目に労働して、小金を必死に貯めて、それでいったい何になる?」と怒りを叩きつけるように歌う曲。

「アンソニーは、将来のために、雑貨店で働いて、お金を貯めている。レオーネ母さんは、ドアに〝ソニー、田舎へ行って、のんびり暮らしなさい〟と伝言を残して、去ってしまった。働き過ぎで、心臓発作を起こしたら、元も子もない。もう、気づいていい頃だ。誰が、ハッケンサック(高級住宅街)に家が必要なんだ? それが、これまで必死で貯めてきたお金で手に入れられるすべて、それでいいのか? それがすべてだと言うなら、なんてばかばかしい話だ。それが、出世だと言うなら、そんなものは要らない。僕は出ていくよ。」

Anthony works in the grocery store saving his pennies for someday.

Mama Leone left a note on the door.

She said "Sonny, move out to the country."

Oh but working too hard can give you a heart attack.

You oughta know by now.

Who needs a house out in Hackensack?
Is that all you get for your money?

It seems such a waste of time if that's what it's all about..
Mama, if that's movin' up then I'm movin' out

 

⑩素顔のままで(Just the Way You Are)

◯アルバム「ストレンジャー(1977年発表/5th/2位)」初収録。

◯シングル(1978年発表/6th/1位)

ビリー・ジョエルの最も有名なラブソング。

「僕を喜ばそうとして、自分を変える必要はない。君は、これまで、僕をガッカリさせたことなんてないんだから。親密になり過ぎて、もうこれ以上は、僕が、うんざりしてるんじゃないかとか、いらない想像はしないで。どんな困難な状況でも、僕は君を置き去りにしたことなんてない。そうじゃなきゃ、僕らは、ここまでこれなかったよね。僕は、素晴らしい時を過ごしてきた。困難も、恐れたりはしない。そのままの君と一緒にいたいんだ。」

「新しい流行を追いかけたり、髪の色を変えたりしないで。そうは見えないかもしれないけど、僕は、いつだって、そのままの君に、言葉にならない情熱を感じているんだ。僕は、頭の良い気の利いた会話なんてしたくない。だから、そんなに一生懸命にならないで。僕は、話し合える相手が欲しいだけなんだ。そのままの君でいて欲しい。」

Don’t go changing, to try and please me.
You never let me down before.

Don’t imagine you’re too familiar and I don’t see you anymore.

I wouldn’t leave you in times of trouble.
We never could have come this far.

I took the good times, I’ll take the bad times,
I’ll take you just the way you are.

Don’t go trying some new fashion.
Don’t change the color of your hair.

You always have my unspoken passion allthough I might not seem to care.

I don't want clever conversations.

I never want to work that hard.

I just want someone that I can talk to.

I want you just the way you are.

 

⑪She's Always a Woman

◯アルバム「ストレンジャー(1977年発表/5th/2位)」初収録。

◯シングル(1978年発表/9th/17位)

これもビリー・ジョエルの代表的なラブソング。かなり皮肉な、苦しい歌詞ではありますが。

「彼女は、自分のことは自分でできる人だ。その気になれば、待つこともできる。彼女は、時代の先を行く人なんだ。決して、力尽きることはない。諦めることもない。ただ、気が変わりやすいだけなんだ。たいがいは親切だけど、突然、残酷にもなれる。身勝手な人だけど、抜け目がない人でもある。人に後ろ指を指されたり、責められることはないし、(堂々としていられるだけの)学位も持っている。彼女がする大概のことは、君に影を落とし、憂いをもたらすだろう。だけど、それでも、彼女は、僕にとっては、いつも、一人の(抗い難い魅力を備えた)女性なんだ。」

Oh, she takes care of herself.
She can wait if she wants.
She's ahead of her time.
Oh, and she never gives out and she never gives in.
She just changes her mind.

She's frequently kind and she's suddenly cruel.

She can do as she pleases, she's nobody's fool.

But she can't be convicted, she's earned her degree.

And most she will do is throw shadows at you.

But she's always a woman to me.

 

⑫My Life

◯アルバム「ニューヨーク52番街(1978年発表/6th/1位)」初収録。

◯シングル(1978年発表/10th/3位)

ともかく俺はニューヨークがいいんだ。西海岸が好きなやつにはわからないだろうが、わかってもらえなくて結構だ、と歌っています。

「以前にとても親しかった古い友人から電話があった。アメリカン・ライフスタイルには、もうついていけないと、彼は言った。店を閉め、家を売って、西海岸行きのチケットを買った。そして、今は、L.A.のナイトクラブで、トークショーをするコメディアンをやっている、と言う。」

「僕は大丈夫だから、君に心配してもらう必要はないよ。〝君もそろそろこっちへ来いよ〟とか、君から聞きたくないんだ。君が何と言おうと、僕には関係ない。これが僕の人生だからね。君は君の生き方をすればいい。僕のことは、放っておいてくれ。」

Got a call from an old friend we used to be real close.

Said he couldn't go on the American way.

Close the shop, sold a house, bought a ticket to the west coast.

Now he give them a stand up routine in L.A.

I don't need you to worry for me 'cause I'm all right.

I don’t want you to tell me it’s time to come home.
I don’t care what you say anymore, this is my life.
Go ahead with your own life, leave me alone.

 

⑬Big Shot

◯アルバム「ニューヨーク52番街(1978年発表/6th/1位)」初収録。

◯シングル(1978年発表/11th/14位)

名盤「ニューヨーク52番街」は、A面の4曲が素晴らしいのですが、その出だしの一曲。パークアベニューファッションに身を包み、ドンペリ片手に、鼻からコカインを吸い込んで、リムジンで山の手の豪邸に乗りつける、セレブな女の子についての歌です。

「君は、パークアベニュー・スタイルのイカしたファッションに身を包み、リムジンで山の手へ向かう。片手にドンペリを持って、鼻からスプーンでコカインを吸い込む。朝、髪の毛を爆発させて、血走った真っ赤な眼で、見るも無残な様子で目を覚ます。さあ、起きて。落ち込んでいるなら、コーヒーを飲みながら、泣きたいだけ泣くがいいさ。だが、俺に向かって泣き言や愚痴を言うなよ。なぜって、君は、大物にならなきゃいけなかったんだろう? 大口を叩く必要があったんだ。君の友達は、みんな君にノックアウトされたさ。昨夜は、最後の決め台詞を言わなきゃいけなかったんだろ。もちろん、君は何でも知っている。ホットなスポットライトを浴びなきゃならなかったんだよな。昨夜は、君は、大物でいなくちゃいけなかったんだ。」

Well, you went uptown riding in your limousine with your fine Park Avenue clothes.

You had the Dom Perignon in your hand and the spoon up your nose.

And when you wake up in the morning 

With your head on fire and your eyes too bloody to see.

Go on and cry in your coffee.

But don’t come botching to me.

Because you had to be a big shot, didn’t you?

You had to open up your mouth.

You had to be a big shot, didn’t you?

All your friends were so knocked out.

You had to have the last word last night.

You know what everything’s about.

You had to have a white hot spotlight.

You had to be a big shot last night.

 

⑭Honesty

◯アルバム「ニューヨーク52番街(1978年発表/6th/1位)」初収録。

◯シングル(1978年発表/12th/24位)

日本での人気が非常に高いバラード曲です。

「もし、君が、優しさを探すなら、見つけるのはさほど難しくない。生きていく上で必要な愛情を、君は手に入れることができる。でも、もし、君が、真実を求めるなら、盲目になった方がマシだ。〝誠実さ〟は、なんと孤独な言葉だろうか。誰もが嘘つきだ。〝誠実さ〟は滅多に見られない希少なもので、でも、僕が君に求めるものは、それなんだ。」

If you search for tenderness it isn't hard to find.

You can have the love you need to live.

But if you look for truthfulness you might just as well be blind.

It always seems to be so hard to give.

Honesty is such a lonely word.
Everyone is so untrue.
Honesty is hardly ever heard.
And mostly what I need from you.

 

⑮ザンジバル(Zanzibar)

◯アルバム「ニューヨーク52番街(1978年発表/6th/1位)」初収録。

あまり知られていませんが、雰囲気のあるカッコいい曲です。いかにもニューヨークのジャズの粋な味わいがあります。ちなみに、ザンジバルは、アフリカのザンジバル島ではなく、ニューヨークの酒場(架空のスポーツ・バー)の名前のようです。

「ムハメド・アリが蝶のように舞う。観衆は拍手喝采する。アリは汗びっしょりだったが、自分のスタイルを貫く。アリ、ダウンタウンには行くなよ。興奮する群衆に揉まれて、タダで、もう1ラウンドやる羽目になる。俺かい? 俺は、ただのザンジバルの常連の一人さ。だが、そこのウエイトレスは、いつも、俺に秘密の笑顔をくれるんだ。彼女は、スラム街で俺を待っている。そして、俺のために、カーテン(パンティ)を下ろしてくれる、俺のためにね。俺は、旧式の高級車を手に入れた。ジャズギターも手に入れた。おまけに、ザンジバルには、ツケがある。今夜、俺は、そこにいるだろう。」

Ali dances and the audience applauds.

Though he's beathed in sweat, he hasn't lost his style.

Ali don't you go downtown.

You gave away another round for free.

Me, I'm just another face at Zanzibar.

But the waitress always serves a secret smile.

She's waiting out in Shantytown.

She's gonna pull the curtains down for me, for me.

I've got the old man's car,

I've got a jazz guitar.

I've got a tab at Zanzibar.

Tonight that's where I'll be.

 

⑯アレンタウン(Allentown)

◯シングル(1982年発表/20th/17位)

◯アルバム「ナイロン・カーテン(1982年発表/8th/7位)」初収録。

ペンシルバニア州に実在する、衰退していく鉄鋼の街について歌っています。

「俺たちは、ここ、アレンタウンに住んでいる。工場は次々と閉鎖されていく。お隣のベツレヘムでは、行列を作って、求人票に記入して、みんな、無為にうだうだと時間を潰している。俺たちの父親の世代は、第二次世界大戦で戦った。週末はニュージャージーの海岸で過ごした。そして、当時、U.S.O.(米軍慰問団)にいた女性たち、俺たちの母親たちと出会った。彼女たちをダンスに誘い、スローダンスを踊った。こうして、俺たちは、今、ここ、アレンタウンに住んでいる。ところが、最近、不安の波が広がってきた。この街に留まることは、とても大変になってきている。」

Well, we are living here in Allentown.

And they are closing all the factories down.

Out in Bethlehem, they are killing time, filling out forms, standing in line.

Well, our fathers fought the Second World War,

Spent their weekends on the Jersey Shore,

Met our mothers in the USO, asked them to dance, danced with them slow,

And we're living here in Allentown.

But the restlessness was handed down and it's getting very hard to stay.

 

⑰グッドナイト・サイゴン〜英雄達の鎮魂歌(Goodnight Saigon)

◯アルバム「ナイロン・カーテン(1982年発表/8th/7位)」初収録。

◯シングル(1983年発表/21th/56位)

時期外れではありますが、ベトナム戦争をテーマにした曲。このアルバム「ナイロン・カーテン」のコンセプトは、重苦しくつらい社会問題を真正面から取り上げるというものでしたが、アレンタウンと並んで、アルバム・コンセプトを象徴する曲です。

And they were as sharp as knives.

They heard the hum of our motors.

They counted the rotors and waited for us to arrive.

And we would all go down together.

 

⑱アップタウン・ガール(Uptown Girl)

◯アルバム「イノセント・マン(1983年発表/9th/4位)

◯シングル(1983年発表/23th/2位)

山の手の女の子を好きになった下町の男の子の歌(ラブソング)です。

2017年にスズキ、2009年、2022年にキリンがCMソングに採用しました。よく耳にする曲ですね。コーラスが印象的な楽しい曲です。

前作「ナイロン・カーテン」とは打って変わって、楽しいラブソングを散りばめた「イノセント・マン」のアルバム・コンセプトを代表する曲のひとつ。

「彼女は山の手のお嬢さまさ。賭けてもいいが、俺みたいな裏町の男のことなんか、何も知らないね。そして、これも賭けてもいいが、彼女のママは、なぜ、裏町の連中と付き合いがないのか、教えたこともないだろうさ。それでも、俺は、山の手のお嬢さんを、ものにしてみようと思うのさ。彼女は、白人上流社会のセレブのお嬢さまさ。それでも、熱い情熱の持ち主なら、ものにできるかもしれない。そして、今、彼女は、下町の男を求めているのさ。それが、まさに俺じゃなか。彼女の心が大人になって、本当に自分が求めているのものを知ったなら、彼女の心が目覚めて、心を決めたなら、彼女は俺がそれほどタフじゃないってことに気づくはずさ。なぜって、俺は、山の手のお嬢さまに恋をしているんだから。」

She's been living in her uptown world.

I bet she's never had a backstreet guy.

I bet her momma never told her why.

I'm gonna try for an uptown girl.

She's been living in her white bread world.
As long as anyone with hot blood can.
And now she's looking for a downtown man.
That's what I am.

And when she knows what she wants from her time,
And when she wakes up and makes up her mind,

She'll see I'm not so tough just because I'm in love with an uptown girl.

 

⑲ロンゲスト・タイム(The Longest Time)

◯アルバム「イノセント・マン(1983年発表/9th/4位)

◯シングル(1983年発表/24th/1位)

アルバム「イノセント・マン」の収録曲で、いちばん好きな曲。ビリー本人の多重録音によるアカペラのラブソングです。落ち着きます。

I had second thoughts at the start.
I said to myself, “hold on to your heart."
Now I know the woman that you are.
You’re wonderful so far.
And it’s more than I hoped for.

I don't care what consequence it brings.

I have been a fool for lesser things.

I want you so bad.

I think you ought to know that.

I intend to hold you for the longest time.

 

⑳Night is Still Young

◯アルバム「ビリー・ザ・ベスト(1985年発表/1stベスト/6位)」初収録。

◯シングル(1985年発表/29th/34位)

ベスト盤に新曲として初収録されたもの。夜明け頃の港町の雰囲気を感じます。

1980年代のビリー・ジョエルには、どこか自分を〝つくっている〟というか、意図して計算の上で表現しているような〝人工的〟な面を感じるのですが、この曲は、久々に、自然な等身大のビリー・ジョエルの生の声を感じさせてくれます。

この曲の詞で、ビリーが言っている夜は、人生の〝闇夜〟でしょう。「人生の闇が僕を捕らえてしまう前に、僕は君と生きると決めたんだ」と歌う、力強いラブソングです。

「俺は、かつての自分がそうだった、情熱的な少年のことが理解できるぐらいには、まだ若い。だが、対立する相手にグッドラックを言えるぐらいには歳をとっている。俺は、これまで、一生分にあたるぐらい、懸命に働いてきた。だが、今は、今夜、得られるものだけを取りたい。夜がまだふけないうちに、お前と愛し合いたい。夜がまだふけないうちに、俺は落ち着きたい。身を固めて、いつか、子供だって作るかもしれない。スーツケースを放り捨てる時が来たのかもしれない。君が電話でおやすみを言わないといけないような遠距離恋愛はもう嫌なんだ。俺がこれまで過ごしてきた人生をすべてにはしないと決めたんだ。」

I'm young enough to see the passionate boy that I used to be.
But I'm old enough to say I got a good look at the other side.
I know we got to work real hard, maybe even for the rest of our lives.
But right now I just want to take what I can get tonight.

While the night is still young, I want to keep making love to you.

While the night is still young, I'd like to settle down, get married and maybe have a child someday.

I can see a time coming when I'm gonna throw my suitcase out.

No more separations where you have to say good night to a telephone.

Baby, I've decided that aren't what this life is all about.

長崎出身のさだまさしさんは、1953年生まれで、細坪さんの1年後輩、天野さんの1年先輩になります。デビューはN.S.Pと同期で、1973年(20歳)にフォーク・デュオ「グレープ」としてデビューしました。その後、グレープを解散し、1976年(23歳)からは、ソロでの活動を始め、現在に至ります。

小田和正さん、松山千春さん、桑田佳祐さん、浜田省吾さん、長渕剛さん、矢沢永吉さんなどと並んで、今も現役で、第一線で活躍し続けています。

しかし、私は、その活動のすべてを追ってきたわけではありません。ここでは、私がリアルタイムでさださんを聴いていた1973〜1981年(28歳)までの9年間の曲から主に選曲しました。

独断と偏見によるベスト24です。曲順は、発表年時順です。

つくづく思うのですが、昭和の20代は、大人過ぎです。今とは、比べものにならない気がします。

 

 

①雪の朝

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1973年発表/1st/ー)

◯アルバム「わすれもの(1974年発表/グレープ1st/20位)」初収録。

グレープのデビュー曲です。幻想的な、素敵な曲です。

 

②精霊流し

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1974年発表/グレープ2nd/2位)

◯アルバム「わすれもの(1974年発表/グレープ1st/20位)」初収録。

グレープ最大のヒット曲で、初期のさださんの代名詞的な曲です。

「去年のあなたの思い出がテープレコーダーからこぼれています。あなたのために、お友達も集まってくれました。」

 

③朝刊

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1975年発表/グレープ4th/ー)

◯アルバム「コミュニケーション(1975年発表/グレープ3rd/7位)」初収録。

コミカルで明るいタッチの家庭的なラブソング。

「君は早起きしたのが、さも得意そうに、寝ぼけまなこの僕を朝食に追い立て、ねえ、また巨人が負けたってさって、高田の背番号も知らないくせに。」

 

④無縁坂

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1975年発表/グレープ5th/12位)

◯アルバム「コミュニケーション(1975年発表/グレープ3rd/7位)」初収録。

これも初期の代表曲。

「母がまだ若い頃、僕の手を引いて、この坂を登るたび、いつもため息をついた。ため息つけば、それですむ。後ろだけは見ちゃダメと、笑ってた白い手は、とても柔らかだった。運がいいとか悪いとか、人は時々、口にするけど、そういうことって確かにあると、あなたを見てて、そう思う。」

 

⑤縁切寺

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「コミュニケーション(1975年発表/グレープ3rd/7位)」初収録。

シングル化されていませんが、無縁坂に次いで有名な同系統の曲です。

「今日、鎌倉へ行ってきました。二人で初めて歩いた街へ。今日、鎌倉は人影少なく、思い出にひたるには十分過ぎて。源氏山から北鎌倉へ、あの日と同じ道のりで、辿り着いたのは縁切寺。」

 

⑥フレディもしくは三教街ーロシア租界にてー

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「コミュニケーション(1975年発表/グレープ3rd/7位)」初収録。

さださんに大きな影響を与えた祖母の実話ロマンスに基づいた名曲。

「フレディ、あなたと出逢ったのは漢口(ハンカオ)、揚子江沿いのバンドで、あなたは人力車夫をとめた。フレディ、二人で初めて行ったレストラン。三教街を抜けて、フランス租界へとランデブー。」

 

⑦線香花火

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1976年発表/1st/38位)

◯アルバム「帰去来(1976年発表/1st/3位)」初収録。

ソロとしてのデビュー曲です。繊細で美しい曲。

「あれはカシオペア、あちらは白鳥座。ぽつり、ぽつりと、僕が指差す。君はひととおり頷くくせに、見つめているのは僕の顔ばかり。君は線香花火の煙にむせたと、ことりと咳して、涙を拭って、送り火のあとは静かねって。」

 

⑧夕凪

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「帰去来(1976年発表/1st/3位)」初収録。

このファーストアルバムの中で、一番好きだった曲。

「今は、こうして膝を抱えて、寄せては返す波の思い出に身を任せていよう。あの日、同じ水際で君は、消えていく足跡が悲しいと、だからそばにいて、と言った。」

 

⑨雨やどり

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1977年発表/2nd/1位)

さださん、最初の1位獲得シングル曲です。さださんのらしいユーモアあふれるコミカル・ラブ・ストーリー。

「それは、まだ、私が神様を信じなかった頃、9月のとある木曜日に雨が降りまして、こんな日に、素敵な彼が現れないかと思ったところへ、あなたが雨やどり。」

 

⑩最終案内

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「風見鶏(1977年発表/2nd/1位)」初収録。

セカンドアルバムでいちばん好きな曲。

「掲示板が君の飛行機を示す。あと25分で君は舞い上がる。引き留めるのならば、今しかないよと、壁のデジタル時計が、また一コマ進む。あの頃は、止まれとさえ祈った時間を、知らず知らずのうちに、君は持て余している。」

 

⑪案山子

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1977年発表/4th/15位)

◯アルバム「私花集(1978年発表/3rd/1位)」初収録。

さださんの代表曲のひとつ。

「お前も都会の雪景色の中で、ちょうど、あの案山子のように、寂しい思いしてはいないか、身体をこわしてはいないか。手紙が無理なら電話でもいい。「金たのむ」の一言でもいい。お前の笑顔を待ちわびるおふくろにきかせてやってくれ。元気でいるか、街には慣れたか、友達できたか。さびしかないか、お金はあるか、今度いつ帰る。」

 

⑫主人公

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「私花集(1978年発表/3rd/1位)」初収録。

時が経つにつれて、ますます世に知られるようになった人気曲。

「メトロの駅の前には『62番』のバス。鈴懸並木の古い広場と学生だらけの街。そういえば、あなたの服の模様さえ覚えてる。あなたの眩しい笑顔と、友達の笑い声に、抱かれて私は、いつでも、必ず煌めいていた。」

 

⑬パンプキン・パイとシナモン・ティー

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「夢供養(1979年発表/4th/1位)」初収録。

この曲で歌われている喫茶店〝あみん〟が、岡村孝子のグループ名〝あみん〟の由来。

「パンプキン・パイとシナモン・ティーに薔薇の形の角砂糖ふたつ。シナモンの枝でガラスに三度、恋しい人の名を書けば、愛が叶えられると娘らは信じてる。」

 

⑭木根川橋

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「夢供養(1979年発表/4th/1位)」初収録。

4thアルバムで、いちばん好きな曲。

「先生、俺たちの木造校舎、すっかりなくなっちまったんですねえ。それに、あの暑い夏に、重いローラー転がしてならしたテニス・コートの上に、プールなんてできちまって…。先生、時の流れって、そんなもんですかねえ。」

 

⑮道化師のソネット

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1980年発表/11th/2位)

「関白宣言」と並ぶ、さだの代表的なヒット曲。

「君のその小さな腕に支えきれないほどの哀しみを、せめて笑顔が救うのなら、僕はピエロになれるよ。」

 

⑯HAPPY BIRTHDAY

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1980年発表/11th/道化師のソネットの裏面)

道化師のソネットの裏に隠れてしまっていますが、実は、隠れた名曲です。私は、こちらの方が好き。

「だからHappy Birthday、Happy Birthday、昨日までの君は死にました。おめでとう。おめでとう。明日からの君の方が、僕は好きです。おめでとう。」

 

⑰距離(ディスタンス)

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「印象派(1980年発表/5th/1位)初収録。

アルバム中、最も印象的な曲。

「都会は決して人を変えてはゆかない。人が街を変えていくんだ。人と人との距離が、心に垣根を静かに刻み始める。もうそろそろ帰ろう。帰らなくちゃいけない。僕が僕であるうちに。」

 

⑱検察側の証人

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「印象派(1980年発表/5th/1位)初収録。

歌詞が良いです。上記の「距離」「ミルクは風になった」「博物館」と並ぶ、このアルバムの代表曲。

「違うわ、別れた夜のあの娘の姿見てないからよ。一晩、私の部屋で泣いて、血を吐くほどに泣いて、謝り続けていたわ。確かに、それはあの娘の心変わりがすべてだったわ。けれども、あの娘なりに、いつも、一生懸命、いつも、生きようとしてる。生きている。」

 

⑲驛舎

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1981年発表/13th/9位)

中島みゆきさんの「ホームにて」、松山千春さんの「足寄より」と並ぶ、〝故郷〟をテーマにした名曲。

「君の手荷物は、小さな包みがふたつ。少し猫背に、列車のタラップを降りてくる。驚いた顔で、僕を見つめてる君は、昨夜一晩泣き続けていた、そんな目をしてる。故郷訛りのアナウンスが今、ホームを包み込んで、都会でのことは誰も知らないよ、話すこともいらない。驛舎に降り立てば、それですべてを忘れられたらいいね。」

 

⑳鳥辺野

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「うつろひ(1981年発表/6th/1位)」初収録。

〝鳥葬〟をテーマとした荒涼としたイメージの曲。

「前のめりのまま、無造作に投げ出された愛が、季節に追われ、転んだまま、野晒しになっている鳥辺野。」

 

㉑第三者

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「うつろひ(1981年発表/6th/1位)」初収録。

検察側の証人のアンサーソング。印象的な佳曲。

「死んだ珈琲、挟んだままで、外の信号の変わる数を、テーブルに映る黄色で数えて、ついでに思い出も数えて。」

 

㉒分岐点

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「うつろひ(1981年発表/6th/1位)」初収録。

コミカルでアップテンポの明るく楽しい佳曲。ファンに根強い支持があります。

「昔の恋人、僕を呼びつけて、また例によって失恋話。普段はまったく音沙汰もなしに、どこかの誰かと別れる度に呼び出す。悲しい時には、お腹が空くたちで、それも決まってミートパイとソーダ水。」

 

㉓不良少女白書

作詞作曲 さだまさし

◯アルバム「昨日達…(1981年発表/初ベスト/3位)」初収録。

これは、埋もれた名曲です。ほとんど知られていませんが、いい曲です。

「あの娘はいつも、悲しいくらい、ひとりぽっちで部屋の片隅でうずくまってた。誰かが自分を救いにくるのをじっと待ってるけど、誰もこないとわかってる。」

 

㉔Birthday

作詞作曲 さだまさし

◯シングル(1997年発表/52th/ー)

1990年代のさださんの名曲。

「幸せをありがとう。温もり届きました。何よりあなたが元気でよかった。宝物をありがとう。思い出届きました。生まれてきてよかった。」