ミラノ市の市庁舎のマリーノ宮で開催されている"il Polittico di Monte San Martino dei fratelli Carlo e Vittore Crivelli"カルロとヴィットーレ・クリヴェッリ兄弟のモンテ・サン・マルティーノの祭壇画を見て来た。
お昼時なので空いているかと思ったが、30分も外で待ち、中に入っても10分以上待っただろうか?
毎年行われるこの絵画展は、無料でガイドが、一度に入場できる2-30名のグループについて作品の案内をする。毎年2つのグループに分かれ、まずは作品の背景や作家の説明から入り、奥の間の作品鑑賞、と言う順に2段階で入場するのが、私が行った26日は祝日だったせいか?1人のガイドしか在籍しておらず、その分待たされたのか...と納得。
まず展示室内部に入ると分割された各作品が目に入ったが、出口にあるサンタンブロージオのgonfalone(ゴンファローネ)と呼ばれる儀式用旗について説明された。
これは19世紀に作られたもので、牧杖と鞭を手にしたサンタンブロージオが描かれており、その下に半毛の雌豚と市の門と小門の紋章が配されている。オリジナルは16世紀のもので、スフォルツェスコ城に所蔵されているのだそうだ。
余談だが、雌豚は、ミラノが“メディオラヌム”(平野の中央)と呼ばれていた時代の語源とも言われる神聖な豚・scrofa “mediolanuta”から来ていると、以前ミラノ再発見ツアーで学んだ。
ところで、カルロとヴィットーレ・クリヴェッリ兄弟は、画家の家系に生まれ、10歳の年の差がある。彼らの作品は、盛期ルネサンスの巨匠たち(ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロなど)とは異なる、後期ゴシック様式の装飾性とルネサンス的な空間表現を融合させた非常に独特なスタイルで知られている。特に兄のカルロは、その卓越した技術と個性的な表現で、弟のヴィットーレよりも高く評価されているが、兄弟合作は少ない。彼らの描いた絵の中で手の描き方が特に異なると言う説明があり、なるほど~、と手ばかり見入ってしまった。笑
祭壇画は、1490年頃に制作された10枚のパネルで構成されており、何世紀も経って例外的に再統合されたのだそうだ。中央には、クリスマスを象徴する聖母と幼子イエスが、また台座部分には12人の使徒たちの中で祝福を与えるキリストが描かれている。
天使たちに支えられた死せるキリスト
聖ヤコボと聖カテリーナ
聖ニコラと聖ミカエル大天使
眠る幼子と聖母マリア
洗礼者ヨハネと聖ビアージオ
十二使徒
兄弟間でも資金調達係と弟子を指導する係と言う役割があったと説明された。パトロンがいて自由気ままに描いていたわけではなかったのか、と思った。
最終的にはこんな形になったとは、本人たちも知り得なかったことなのかもしれない。何気に見ている教会の祭壇画の裏に潜むストーリーを改めて違った目で見る必要ようなのか?と思ってしまった。
2026年1月11日まで開催。在ミラノの方、またミラノご旅行中の方は是非!
Palazzo Marino(スカラ座前) 入場無料
9:30 - 20:00
12月31日は9ː30 - 18:00
元旦、1月6日は9:30 - 20:00
今日の一句
クリヴェッリ ルネッサンスの最高傑作 見なきゃ損!










