無事ミラノに戻った。
ローマでの巡礼は徐々にアップしていくとして、今回の旅の第一の目的であったタルシチオ・菊地枢機卿様の名義教会着任式から書いていこうと思う。
昨年、10月6日、枢機卿に任命され、12月7日に就任された。日本人としては2018年の前田万葉大司教に続き7人目。また、神言修道会士であり、カトリック新潟司教区第3代司教を経て、カトリック東京大司教区の第9代・現任の大司教でもおられる。
そして名義教会としてローマ郊外にサン・ジョヴァンニ・レオナルディ教会をお与えになられ、その守護聖人の祝日である10月9日に着任式が行われたと言うわけだ。
ところで、ローマ司教区は、4つのセクター及びオスティア地区に分かれ、計322の小教区教会が存在する。サン・ジョヴァンニ・レオナルディ教会は東地区(上の地図のオレンジ色真ん中あたり)16地区、トーレ・マウラに当たる。
この教区は、1951年4月25日に、フランチェスコ・マルケッティ・セルヴァッジャーニ枢機卿の法令"Percrescente incolarum"により設立され、サン・ジョヴァンニ・レオナルディが創設した「神の母修道会」(通称"Leonardini")に委託された。教区教会(パロッキア)としては、1991年5月19日に、教皇の代理総代司教であるカミッロ・ルイーニ司教によって開堂されたのだそうだ。
また、サン・ジョヴァンニ・レオナルディは、1938年に教皇ピオ11世によって聖人に列聖されている。
教会入り口左側には、教皇レオ14世の紋章、そして右側が菊池枢機卿様の紋章が飾られていた。
>「紋章は伝統を重んじながらも、非常に現代的なデザインを配するという、『多様性』を具現化したものとなっています。紋章の周辺部は伝統的なデザインを踏襲しています。 中心部分は、四つに分かれています。左上部分と右下部分は、実際には青の背景に黄色の波のようなものが描かれています。青は海でもあり空でもあります。波のように見えるのは、開かれた聖書です。すなわち聖書のみ言葉が、世界中に広がるようにとの願いを表しているものです。 左下部分と右上部分には、五つの丸が描かれています。これは世界の5大陸を象徴すると同時に、人間の体も象徴しています。すなわち一つ一つの共同体(一つの丸)が集まって、一人の体(キリストの体)を形成していることを象徴しています。ちなみにこの丸の色は、ブドウの色に近い赤にしてあり、キリストはブドウの木、私たち一人ひとりはその枝である、という聖書のイメージを表しています。 中央にある紋様は五つの丸が複雑に絡み合って出来ていますが、今まさに開こうとしている花のつぼみを象徴しています。福音のメッセージが日本の地においてこれまで以上に花開くことを願ってのデザインです。」(カトリック大東京司教区HPより引用)
VARIETATE UNITAS
『多様性における一致』
社会的な排除や分断が深刻化している現代社会。他者との関係における多様性と共に重要なのは、「個人の中の多様性」のように思われる。
そして本来誰の中にも多様な側面があると思うのだが、各自、各パートがあってこそ互いに部分になるところを、いくつかの枠でくくり、社会に適応するために自分の一部を切り捨て、無理に統一化させようとしていないだろうか?声を出せない人を、見てみないふり、排除していないだろうか?
生き辛い世の中、特に日本がその方向へ進んでいるのではないか?と気になる今日この頃…。
話はそれたが、この日は、午前中日本からの菊池枢機卿様の着任式参列のために来伊中の邦人巡礼団とカステル・ガンドルフォとフラスカーティを回っていたが、時間的に押せ押せ状態になってしまい、本来予定していた、枢機卿様の神言会の本部とネミ湖訪問は急遽キャンセル。直接教会へ向かい、2-30分早めに到着。
着任式は、教会内部で。そしてミサ自体は、教会の中庭に特別開場が設置された野外ミサであった。
ミサ前にトイレに行き、長い列に並んでいると、ひょこっとアンドレア司教様が前を通られ、「お~っ!」とお互い言葉にならなかった。爆
そして、菊池枢機卿様の入場と共に、教会前では地域のマーチングバンドのお出迎え!小さな町ほど、家族的なのかもしれない 。
着座式では、教皇式典長のマッシミリアーノ・マッテオ・ボイアルディ司教が司式し、任命の勅書が読み上げられた。
そして 、18 時半くらいから始まったミサ。多くの司祭が参列された。アンドレア司教様の水色のカズラに目が釘付け!美しすぎる!
余談だが、2018年に行われた前田枢機卿様の名義教会着任ミサは日本語であったそうだが、今回はイタリア語で行われた。ミサ典礼のイタリア語は、きっとアンドレア司教様が準備されたと思われる。また、お説教は、始めに菊池枢機卿様が「私のイタリア語は子供のような拙い言葉なので…」と恥ずかしそうにいわれ、アンドレア司教様が通訳をされた。そういえば、聖ヨハネ・パオロ二世の教皇就任の挨拶では、"Se mi sbaglio mi correggete"? 「間違っていたら訂正してください」と言われたことを思い出してしまった。
教会側からのお礼として、サン・ジョヴァンニ・レオナルディの聖遺物の入った十字架をはじめ、オラトリオのメンバー、カテキズモの子供達からもレオナルディに関する贈り物を授与されておられた。
また、地元の議員さんより、トーレ・マウラ市民賞も授与されていらっしゃった。
ヨーロッパの観光バスのドライバーの労働時間の管理は厳しく義務付けられているので、それを超えてしまうと罰せられてしまうと言うこともあり、朝からバスで移動していた我々は、ミサ後祝賀会に出ず、急いでその場を後にした。そうでなくても、私の宿泊所のチェックインが出来ておらず、本来21時までのところ21時半までに延ばしてもらったが、遅れたら受け入れ不可!とまで電話で言われてしまい、もうハラハラしながらローマの中心地へ向かい、そこからタクシーを待った。
そんな中でも、ミサの入祭の曲であった"Lo Spirito del Signore"(monsignor Marco Frisina作曲)が頭の中でリフレインした。
LO SPIRITO DEL SIGNORE È SU DI ME,
LO SPIRITO CON L'UNZIONE MI HA CONSACRATO,
LO SPIRITO MI HA MANDATO AD ANNUNZIARE AI POVERI
UN LIETO MESSAGGIO DI SALVEZZA.
主の御霊が私の上にあります。 聖霊が私に油を注ぎ、 貧しい人々に救いの喜びの知らせを伝えるために、 私を遣わされました…
聖霊の知恵と導きをもって、枢機卿様を照らし、その働きを豊かな実りへと導いてくださいます様に。
神に感謝