大往生 〜 その3 つみかさねの上に咲く花 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

母の姉である叔母が亡くなった。享年94歳。
 
去年帰国した際、お見舞いで会ったのが最後であった。5年前父が亡くなり、長く帰国していた際、祖父母のお墓参りで会い、一緒に食事をしたが、その後風邪をこじらせ入院。それから、胃瘻となって帰宅できない状況となってしまった。
 
若い頃は、モダンバレエのダンサーで、引退をしても、体操やジャズダンスを教えており、小柄だが背筋がピンと伸び、肩から大きなバッグをかけ颯爽と歩く姿が思い浮かぶ。
 
60数年前ごろ、船でニューヨークに渡り活動していた様だが、私の子供の頃、ダンキンドーナツやコーヒーの話を聞くだけで、異国の香りを感じたものだった。昭和〜。笑
 
叔母は母よりも11歳年上であり、一人息子は、私の弟と同い年。子供のころから結構かわいがってもらい、我が家の長女も幼少期かなりかわいがってもらった。絵もうまく、一緒にヴェネチアを旅行した時デッサンしていた姿を思い出す。
 
入院中、ご主人である叔父が面会にいっても向かい合って2人して眠りこけていたという。しかし、この6月に叔父が亡くなったことをいとこがしばらく経ってから告げたら、うなずき一筋の涙が流れたと言う。
 
ところで、昨年あたりから、友人、親類、多くの人が逝ってしまった。
 
人生は儚い。けれど、自分がどう生きて来たか、そのつみかさねが人生だと思う今日この頃。
 
自分に与えられた道をひたすら歩く。昨日を過ごし、今日を生き、明日を迎える。
 
坂村真民さんの詩を思い出した。
 

一打一打のつみかさね 

一歩一歩のつみかさね 

一坐一坐のつみかさね 

一作一作のつみかさね 

一念一念のつみかさね 

 

つみかさねの上に咲く花 

つみかさねの果てに熟する実 

それは美しく尊く 

真の光を放つ

『坂村真民一日一言』致知出版社

 

大往生。良く生きたね。

叔母の永遠の安息を祈ります。