先週まで暖かかったミラノだが、一気に寒くなった。
今週月曜日の仕事帰り。シッター先を出た時は、普段通りだった記憶なのだが、すぐに地下鉄に乗り、バスを乗り継いだ時にも気づかなかったが、最寄りの停留所を降りた途端、この風景。霧だ。
霧のことは、何度も書いているが、イタリア語では濃い霧をnebbia(ネッビア)といい、それよりも薄いものをfoschia(フォスキーア)、湿気のある霧をbruma(ブルーマ)と呼ぶ。また、車の排気ガスが混ざったものは英語同様smogと呼ぶ。
余談だが、ミラノ方言では、霧のことを «scighera»(シーゲラ)または «nebia» (ネビア)と呼び、濃いめのネビアは、 «nebiun» (ネビウン)と呼ぶそうだ。実際、現在ミラノ方言を話す人がどれくらいいるかどうかはわからないが、私の所属する聖歌隊にジョークを言う時、ミラノ方言で言って皆を笑わすおじいちゃんがいるが、私には何を話しているのか全くわからない。
とにかく、高気圧に覆われた冷たく、重く、湿った空気が地面に沈んだ時に、 霧が発生し、早朝は視界が50メートルほどまで悪くなるが、日が経つにつれて薄くなり、晴れてくる。
ミラノは湿気が多いし(日本よりはましだが!)元々は運河の街、よって霧が発生しやすい。
気候学者によれば、前世紀のミラノは、朝でも平均気温は2度から4度だったと言う。現在は8-10度ほど。 その結果、"シーゲラ "は薄くなったのだそうだ。
しかし、それでも 2000年に入ってから、ミラノでは平均して年間50日霧が発生しているのだと言う。また 2024年にはすでに62日になっている!と。 特に2月は「最も灰色の月」なのだそうだ。
俳句では、「霧」は秋の季語であるが、ミラノでは冬の代名詞。そして「霧のロンドン」ならぬ「霧のミラノ」なのだ。
とはいえ、気候の変化で、気温が上昇し、また車による排気ガスで霧の出方も変わってきているのだろう。
今回、この状態は土曜日まで続くと予想されている。 風と雨が予想され、高気圧を押し流すように気温が大幅に下がり、 アルプス山脈とアペニン山脈では雪をもたらすことだろう。
「 シーゲラ」や「ネビウン」はミラノを離れることはないだろう。 この先には寒い冬が待っている。
今日の一句
ネビウンに 後光がさして マドンナ微笑む


