裸の木蓮 2023 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

 

 

「裸の木蓮」 

相田みつを

 

いま庭の木蓮は裸です 

枯葉一枚枝に残しておりません 

余分なものはみんな落として 

完全な裸です 

 

しかしよく見ると 

それぞれの枝の先に 

固い蕾(つぼみ)を一ツずつ 

持っています 

 

木蓮にとって 

一番大事なもの 

ただ一ツをしっかりと 

守りながら 

冬の天を仰いで 

キゼンと立っています 

 

キゼンということばを 

独占したかのように 

裸の木蓮は 

寒風の中に 

ただ黙って立っています

 

 

一気に冷え込み、外を歩くと骨の芯から痛むような寒さを感じる。

 

そんな中、固い蕾を持った木蓮を発見!いつもこの時期なんだな。

 

余分なものを全部落とし、じっと寒さに耐えながら春を待つ。

 

一番大事なものだけをしっかり守りながら、冬の空を仰ぎなが毅然と立っているその姿に毎回見とれてしまう。
 

大切なものは、次世代へつなぐ愛。そして希望。

 

まさに木蓮の花言葉は木蓮の在り方を示しているようだ。「自然への愛」「忍耐」「崇高」「威厳」「持続性」。

 

年に一度美しい花を咲かせる花々は、花を咲かせる前の姿が、本来最も美しいのかもしれない。冬の寒さに耐え、幹いっぱいにエネルギーを蓄え、その時をひたむきに待つ姿は静かに美しい。

 

人間もこうありたいもの。