やる気スイッチ ~ その2 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

週3回、空手の稽古があり、自分の練習もするが、他の門下生、特に子供の指導が多い。

 

本来は、空手は自分と向き合い黙々とするもの。だから、小さければ小さいほど、基本の繰り返しは飽きやすいし、小さい頃からストイックな子というのはなかなかいない。

 

以前も書いたが、人間は、子供でも大人でもやる気になった時に大きく成長する。だから、勉強でも仕事でもスポーツでも、やる気、又は意欲・意識というのが一番大事。

では、意欲・意識を育てるためにどうしたらよいのだろうか?

 

毎週あの手とこの手を使って彼らに立ち向かう。イタリア人の子供は(時に大人も)暇さえあればおしゃべりが止まらない。少なくとも組手の時は、「怪我をするからしゃべらなーい!」「笑わな―い!」毎週どんだけ怒鳴っているだろうか。

 

「T子さん、大きなため息ついてましたね!」と門下生に言われる。あゝ、無意識にため息ばかりついているようだ。

 

「あんまりふざけるようなら、外に出すからね!」と言ったのだが、お天気の良い日で人数の多かった日の稽古で子供たちを道場の外にある中庭に出した。すると、すかさず7,8歳の女の子が「先生~、私たち言うこと聞かなかったら外に出すって言ったけど、今は外にいるんで、今度ふざけたら中に入れてくれるんですか~?」と言う。おちょくってるの?爆 もう笑いが止まらない。「ううん、家に帰って!」私は鬼。 爆

 

道場に入ってきて、きちんと挨拶できない子を見つけると、もう一度やり直し!と言って一緒に正座をしやり直す。毎週できない子もいるが、やり直させる。私が言わなきゃ誰が言う?私はやっぱり鬼か…苦笑

 

先日、支部長・副支部長のミーティングがあり、指導に関し、何か意見や不満はないか?と聞かれた。子供だけ指導じゃなくって大人もみたい、とかその逆とかなんでもいいですよ、と言われた。一瞬う…んと思ったが、忍耐は、修行だ。敢えて逃げるな!もう一人の自分の声がした。爆

 

偶然、その日当たりから、一人の9歳児のイタリア人男子にスイッチが入った。普段、誰か指導者が一言言うたびに、飛んだり、寝転んだり、走り回ってリアクションされ、この子大丈夫かあ?と頭を抱えていたのだが、新しい型を覚えたという。裏覚えだが、一人でやってみる!と言って数人の前で披露してくれた。一応イタリア人のようにBravo!Bravissimo!と褒めちぎった。週に一度しか来ない子なので、来週まで忘れるなよ!と心では思ったのだが、その一週間後の今日、少し早めに道場についたその子は、中庭で一人で型を打っているではないか!

 

型もしっかり覚えており、細かい修正は今後徐々に入れていくとして、そのやる気、進歩は共に喜び、褒めてあげたい。

 

苦労は多いけれど、一歩進める子がいると嬉しくなる。それが指導者の醍醐味か。

 

とはいえ、堂々巡りのとほほの稽古。私の忍耐力だけが毎回更新されていく...