サン・マルティーノの夏 〜 その2 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

この夏本帰国された空手の師範が、明朝ミラノに到着される。

 

すぐに特別稽古が始まるのだが、数日前にミラノは寒いか?と連絡を頂いた。確かに徐々に寒くはなってきていたが、ミラノは例年よりも暖房が入るのが1週間遅れたが、それでも数日入らなかったし、入っても敢えて切っていたくらい、寒くはなかった。(いまだに蚊がいるし…!)

 

いわゆる小春日和だろう。晩秋から初冬にかけての、暖かく穏やかな晴天だ。

 

ところでこの夏植えたアボガドが暖かいせいかすくすく育っている。問題はどう冬を越すかだ…

 

 

そしてやはりいきなり本当に寒くなった。慌てて、師範に厚めのジャケットかウルトラなんちゃらかんたらが必要かもしれません!と連絡をした。私もそろそろヒートテック系を着こむか…

 

イタリアには「サン・マルティーノの夏」という言葉があり、いわゆる「小春日和」をいうが、今日11月11日の「聖マルティーノ」の祝日頃、ちょうどその暖かい天候になるようだ。

 

そのサン・マルティーノは、厳しい冬の寒さの中、物乞いに、自分のマントを切って渡した話があり、また栗とワインを味わう日でもあるが(添付ブログ参照)、とても栗を準備している時間がなかった。

 

その栗とワインに関する文献が何かないか調べていたら、以前自分のブログの中で紹介していたカルドゥッチの詩に再び遭遇した。爆 (栗は関係ないようだ。爆)

 

San Martino by Giosuè Carducci 

La nebbia a gl'irti colli
Piovigginando sale,
E sotto il maestrale
Urla e biancheggia il mar;

丘の上の霧 しずく塩、 そしてミストラルの下 

海は悲鳴を上げて白くなる。

Ma per le vie del borgo
Dal ribollir de' tini
Va l'aspro odor de i vini
L'anime a rallegrar.

しかし村の通りでは、

樽の発酵したワインの香りが

魂を癒す。

 

Gira su' ceppi accesi
Sta il cacciator fischiando
Su l'uscio a rimirar

囲炉裏の残り火で
狩人は空を見上げ、口笛を吹いている。

Tra le rossastre nubi
Stormi d'uccelli neri,
Com'esuli pensieri,
Nel vespero migrar. 

赤い雲と黒い渡り鳥たちの間で

陽が沈む中どう思考を消し去るべきか。

 

秋の夕暮れの憂鬱。葡萄の発酵の香りがいたるところに広がる村。串焼き?が準備され、ある家の玄関先では、猟師が空を飛ぶ黒い鳥を観察し、悲しい思いを残す…。

 

詩人の内面が五感で感じる背景の中で、落ち着かないのは、追放された思考のように夕日に向かって飛び去る黒い鳥のイメージによって象徴されているようだ。

 

秋も深まり、いよいよじっとこらえる冬になる。