11月11日はサン•マルティーノの日。聖人マルティーノの祝日なのだが、イタリアでは今年仕込んだワインの醗酵がそろそろ完了しますよ~、と言われている日。様々な土地で様々な習慣があるようで、ノヴェッロ(新しいワイン)と栗だ、フンギだ、サルシッチャだ、と結局秋の味覚を楽しむ日。
ちなみに、サン•マルティーノ(聖マルティネス)はドイツとフランスの守護聖人。4世紀、ローマ軍人の父がサバリア(現在のハンガリー)に駐屯中生まれ、イタリアで育った。彼が15歳の時、ローマ騎兵となり、フランスに派遣されたそうだ。ある大雪の日に、凍えている貧者に出会い、着ていたマントを二つに切り裂いて与え、その夜、切れたマントを纏ったイエスが夢に現れ、「あなたがマントを与えた男こそ、この私である」と言われたという。
さらに、このサン•マルティーノは騎士や兵士、毛織物関連業者、靴屋、物乞い、家畜、そしてホテル経営者の守護聖人でもあるという。また、ロワール川流域での葡萄栽培の先駆者としても知られ、イタリアではワインの守護聖人ともなっている。
このサン•マルティーノの祝日にノヴェッロを飲む伝統は、ジョズエ・カルドゥッチ(1835-1907 ノーベル文学賞、イタリアの詩人、教師)が書いた彼の有名な詩、まさに"サン・マルティーノ"と題された詩の中でも詠われている。
La nebbia a gl'irti colli
piovigginando sale,
e sotto il maestrale
urla e biancheggia il mar;
霧雨が
世を濡らしつつ
嶽につく
高西の海
ma per le vie del borgo
dal ribollir de' tini
va l'aspro odor dei vini
l'anime a rallegrar.
音《ね》と泡立つ
村道に
樽の酸香ぞ
葡萄酒や
発酵しつつ
魂癒す
Gira su' ceppi accesi
lo spiedo scoppiettando
sta il cacciator fischiando
su l'uscio a rimirar
燃える薪《まき》
焼い串炙り
回しつつ
口笛ふきて
狩人見張る
tra le rossastre nubi
stormi d'uccelli neri,
com'esuli pensieri,
nel vespero migrar.
赤雲に
黒き鳥々
夕方へ
渡り行きつつ
思想の如き
黒き鳥々
夕方へ
渡り行きつつ
思想の如き
ところで、フランスのボジョレーヌーボーは、毎年11月の第3木曜日に解禁される。今年は16日の木曜日。
「サン・マルティーノの日には、焼き栗とワイン。」という諺もあるそうだが、ボジョレーでもやはり焼き栗のようだ。
新聞では、"A San Martino castagne e vino" という言い回しを、逆に"San Martino, non solo castagne e vino"(サン•マルティーノは栗とワインだけじゃないよ!)といったミラノのいろいろなイベントを紹介している記事を見かけた。
そういえば、今日友人が作ってくれた栗あんころ(一粒栗を自家炊きした栗餡で包んだもの)を買ったが、帰宅途中お腹が空いて食べてしまった!しかも二口で!!ああ、家でじっくり赤ワインと頂くべきだった!涙
