サン・マルティーノの夏 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

今日はあいにく雨だったが、寒い冬の初めにもかかわらず11月の初旬、イタリアで一時的に暖かな日が続くことがある。これを「サン•マルティーノの夏」と呼ぶ。

 

San Martinoとは、聖人の名前で、日本では聖マルティヌスとして知られている。4世紀、現在のハンガリーに生まれ、ローマ騎兵となったが、受洗し、修道士となりフランスはトウールの司教となった。ある大雪の日に、半裸の物乞いに出会い、着ていたマントを二つに切り裂いて与え、その夜、切れたマントを纏ったイエスが夢に現れ、「あなたがマントを与えた男こそ、この私である」と言われたという。

 

さらに、このサン•マルティーノは騎士や兵士、毛織物関連業者、靴屋、物乞い、家畜、そしてホテル経営者の守護聖人でもあるという。また、ロワール川流域での葡萄栽培の先駆者としても知られ、イタリアではワインの守護聖人ともなっている。

 

ちないに11月11日はサン·マルティーノの命日とされているが、埋葬日という説と誕生日である、という説があるそうだ。

 

何れにしても、今日は残念なことに雨。天気が不安定な時期でもあるが、秋の味覚や天気にまつわるサン·マルティーノの言葉が幾つかあるのが非常に興味深い。

 

“A San Martino ogni mosto diventa vino” 

"Per San Martino cadono le foglie e si spilla il vino"「サン·マルティノの日にすべてのマスト(ワインになる前のブドウ果汁)はワインになる」

 

”'A San Martino castagne e vino”

”Per San Martino castagne e buon vino”

”A San Martino castagne arrosto con vino novello”  いずれも「サン・マルティーノの日には、焼き栗とワイン。」

 

“Se il dì di San Martino il sole va in bisacca, vendi il pane e tieniti la vacca. Se il sole va invece giù sereno, vendi la vacca perché è poco il fieno”   「サン•マルティーノの日がビサッカに沈むなら、パンを売って牛を飼う。太陽が沈む代わりに落ち着いたら、干し草が少ないので牛を売ってください」

 

つまり、11月11日の日没時に雲が太陽を覆っている場合、干し草と小麦の豊作を期待できるので、パンと太った牛を販売することができるが、美しい空に沈むなら穏やかな、動物のための十分な干し草はないということ。つまり、それらを売ってしまった方が良い、ということなのだという。

 

何れにしても、イタリアでは、前世紀まで、ある地域によっては、11月11日に裁判所や学校、選挙の活動が行われ、農業と家賃の契約が失効したのだという。また多くの分野で、移動や立ち退きなど「ファー・サン・マルティーノ」と呼ぶのだそうだ。

 

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