先月、アメリカのトランプ大統領がイタリアのマッタレッラ大統領と会見し、「合衆国は、古代ローマ時代からの数千年にわたる文化的・政治的遺産("The United States and Italy are bound together by a shared cultural and political heritage dating back thousands of years to Ancient Rome".)によって結び付いている」と言って話題を呼んだ。
アメリカっていつ建国したんだっけ?コロンブスがアメリカ大陸を発見したのは、1492年で、先住民はいわずとしれたインディアンではないか!彼らは、氷河期であったおよそ3万年前から1万年前にかけて、凍結したベーリング海などを渡ってシベリアからアラスカを経由して広大な南北アメリカ大陸各地に分散していったアジア系のモンゴロイドである。
まあ、その話はいいのだけれど、最近面白い記事を見つけた。もともとはアメリカの科学雑誌「サイエンス」が「古代ローマは移民の街•DNA検証」として発表したのだ。
https://science.sciencemag.org/content/366/6466/708?intcmp=trendmd-sci
その後、イタリアの新聞がこぞって掲載。La Repubblica紙には日本の映画「テルマエロマエ」で浴場専門の設計士••ルシウス・モデストゥス役の阿部寛氏の画像が掲載されていてびっくり!古代ローマ時代に移民の設計士がいた!という冗談半分の画像だったのだろうか? 苦笑
研究発表の内容は、過去12,000年にわたる古代ローマ時代の29の考古学的遺跡から得られた遺伝学的分析をローマのサピエンツァ大学の物理人類学者アルフレド・コッパ氏、ウィーン大学の人類学者ロン・ピナシ氏、スタンフォード大学の遺伝学者で生物学者のジョナサン・プリチャード氏がコーディネートした国際的グループによるものだったという。現在のトルコ近辺のイラン人やウクライナ人の遺伝的要素が発見されたという。
とはいえ、古代ローマが建国される前はエトルリア人が先住民として住んでいたが、彼らは「水の民」と言われ、陸や水路から渡ってきたと考えられているから、その後の古代ローマで移民がいたと言ってなんら不思議ではない。そして、その後もイタリアは常にいろいろな国に侵略されてきたので、国民性として調子の良いところもよく理解できる。また地元意識が強いのは、常に小国だった頃の影響も強いのだろう。
話はもとい、トランプ氏が古代ローマとアメリカが文化的な面はわからないが、政治的遺産によって結びつき?というか共通点があるというのは、わからなくもない。結局両国とも移民の国である。
「ローマは1日にしてならず」そして「永遠の都ローマ」と呼ばれる。この巨大な帝国のお陰で、商業が栄え、ローマの文化は支配地域に深く浸透していった。ローマ帝国がもたらした平和と繁栄をパクス・ロマーナ” Pax Romana "と呼ぶ。
そして、それから2,000年経った現在、世界の多くの人々は超大国になったアメリカの元での平和と繁栄を享受して来た。日米安保条約 the Japan-U.S. Security Treaty のもとで70年以上、平和に守られながら経済を伸張させた日本も例外ではない。この平和をパクス・アメリカーナと呼ぶようだが、古代ローマ帝国は1000年以上続いたが、結局衰退し、消滅した。
アメリカは大丈夫なのだろうか?移民が悪いとは言わない。ただ、生活格差が広がり人々の不満が募っていくというのは、日本も同じだ。
もしかすると、古代ローマの歴史は、過去の歴史ではないのかもしれない。
阿部ちゃんの画像を見て、トランプ氏の発言が脳裏を駆け巡った。

