「枝の主日」と「ロバの祈り」 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

ついに復活祭一週間前の「枝の主日」を迎えた。

 
イエスが罪もないのに十字架に磔られる聖金曜日目前、エルサレムに入城を記念する日だ。子ロバに乗ったイエスは人々に棕櫚の枝を降って喜んで出迎えられる。
 
ミラノでは、棕櫚ではなく、オリーブの枝を使用するが、ミサの入祭の際、当時を記念し、司祭も助祭、待祭たちをつれて行列で祭壇に向かうので、信徒もオリーブの枝を振る。オリーブは「平和」の象徴。そして「祝福」の象徴でもある。
 

"Osanna al Figlio di Davide. Benedetto colui che viene nel nome del Signore.  Osanna, osanna nell'alto dei cieli"

「ダビデの子にホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように。いと高きところにホサナ」

 

 

この聖歌の後に”Kyrie Eleison"(ギリシャ語の「主を憐れみたまえ」)を12回唱えるのがアンブロジアーノ典礼の特徴の一つでもある。

 

image 

 

ところで、未曾有のパンデミックがそろそろ明けようとしている。2年前の「枝の主日」は日本に帰国中であったが、どこの国もミサには制限があったはず。今日はお御堂がいっぱいになり、はじめのうちは立っている人も多く、祭壇両脇の席に移動を促したくらいであった。初聖体でさえ、過去にそこまでいっぱいになったことはあっただろうか?

 

ミサ後、お御堂を消毒していたら、配っていたオリーブは終了したと係りの人に聞き、がっくりしていたが、司祭や奉仕者が祭服を着用したり、祭器具、典礼書などを保管し、ミサ典礼の準備をする小部屋の出入り口にニ袋だけオリーブが置いてあるのを発見!それを一つ頂いた。

 

”La pace sia con voi"とは、「平和が皆さんと共に」という意味である。ちなみに、”IHS”とは、”Iesus Hominum Salvator" ラテン語語の「人類の救い主イエス」の綴り字の最初の3文字でイエス・キリストのシンボルである。が、これはイエズス会の紋章では...?

 

話は前後するが、今日のミサでのお説教では、「ロバの祈り」というのが紹介された。

 

Dacci, Signore, di mantenere i piedi sulla terra,
e le orecchie drizzate verso il cielo,
per non perdere nulla della tua Parola.
Dacci, Signore, una schiena coraggiosa,
per sopportare gli esseri umani più insopportabili.

 

主よ、地に耐えうる足を私達に与えてください。 

そして天にまっすぐ伸び、 あなたのみ言葉全てを聞き取れる耳を与えてください。

主よ、もっとも耐え難い人間を支えるために勇気ある強い背中を与えてください。

 

 
調べてみたら、またその先に続きがあった。
 
Dacci, Signore, di camminare dritti,
di sprezzando le carezze adulatorie così come le frustate.
Non ti chiediamo di farci evitare sciocchezze,
perchè un asino fa sempre delle asinerie.
Dacci, Signore, di non disperare mai della Tua Misericordia
così gratuita per quegli asini così disgraziati che siamo,
a quanto dicono gli esseri umani.
Tu che sei fuggito in Egitto con uno dei nostri fratelli
e che hai fato il Tuo ingresso profetico a Gerusalemme
sulla schiena di un asino.
(ANONIMO)
 
主よ、お世辞の愛撫と鞭打ちを軽蔑しながら、まっすぐ歩むようにさせてください。
私たちはあなたに馬鹿げたことを遠ざけてくださいと頼みません。
ロバは常にロバだからです。
主よ、ロバに対し無償であり、私たち人間がロクでもない様であっても、
かけてくださるあなたの憐れみに決して絶望することがないようにさせてください。
私たちの兄弟とエジプトへ逃避行したあなたは、ロバの背中に乗ってエルサレムへ預言通り入城しました。(作者不明)
 
考えてみれば、なぜイエスは馬ではなく、わざわざ子ロバに乗ってエルサレムへ入城されたのだろうか?優秀な馬であるべきではなかったか?そうではなく、人には役に立たないように見えても、イエスに選ばれた時、喜んで進み出て、神の計画のために用いていただく。つまり、共に歩む姿が重要だということを教えてくれる。
 
神のご計画に用いられる、小さな子ろばに学ぶものがある。