心のワクチン 〜 その2 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

先日ワクチン3回目を打ってきた。
 
しかし、3回目にして発熱。自分でも驚いた。初めの12時間は腕が少し痛いくらいだったので、このままうまく過ごせるか?と思った矢先にじわじわ微熱が続き始め、一気に38度5分まで上がった。しかし、また37度台がしばらく続き、十中八九ワクチンの副作用だろうが、これほどまでに、周りに感染者が多くなると、自分がかかるのも時間の問題か?と思えてしまうくらいで、これから喉が痛くなるのだろうか?咳が出るのだろうか?とドキドキしてしまったくらい。
 
けれど、翌朝すっかり熱も下がり、元気ではあったが、1日半ほど水分以外あまり摂らなかったせいか、胃が小さくなったようで、ちょっと食べるとすぐに胃がパンパン状態になってしまった。
 
ところで、未曾有のパンデミックに襲われ、早丸2年。
 
生活の状況、生活スタイルが変わり、また未だに室内にこもりがちで、外に出るのも不安という人も多いだろうし、この間に色々と悲しい事、辛い出来事があって、乗り越えるのが困難という人もいるかもしれない。
 
そして、新型コロナウイルス感染症をきっかけとした差別や誹謗中傷というウイルスの「心の感染」も沢山目にしてきた。人間不信になる事もあった。
 

人はネガティブな感情が多くなり、それが持続すると免疫力は下がりがちになると言う。やはり心の健康に良い影響を与える感情は「嬉しい」や「楽しい」「ほっこりする」などのポジティブ感情が大事。特にお年寄りは、その陽性であるポジティブな感情が心のワクチンとなって免疫力もアップするのではないだろうか。

 

定期的に電話を掛ける高齢者の友人がいる。以前は泣かれ、怒りをぶち撒かれる事もあった。その人の事をわがままだから嫌いだ、という人もいる。でも人間だもの。私だって泣きたくなって、怒りをどこかにぶち撒きたい事だってある。感情を常にコントロールする方が難しい。というよりも感情がなかったら人間じゃない。

 

最近は、私からの電話だとわかると、声が明るくなった。ここ数日の出来事を話し、逆に私の事も気遣ってくれる。どんな事でもいい。吐き出せばいいのだから。今日もある友人と文句を言い合い、またいろいろ吐き出そう!と約束した。

 

他にも80代のチャット友達やらお茶飲み仲間あり。自分を守るためには必要なものは沢山あるが、やはり心の状態は重要。少しでも笑うと気分は楽になる。

 

またまた話は変わるが、今まで私の心の安全地帯と言うか、いつもそこに行けば会えると思っていた代母のシスターが、今週ベルガモの養老院へ移ることになった。87歳。いまだにオンラインで聖書研究のクラスは継続されているが、私は時間的に無理。

 

何かあるたびに、“Coraggio!!”(勇気を出して!)と励まされた来た。そして具体的に人に何か出来なくても、常に「祈る」事を教えてくれた。

 

家族、人間関係、経済、仕事など人生の在り方に不安になる事は多いと思う。しかし、どこかに心に安心を持てる場所、人、瞬間...というのは大切に思える。また逆に、その祈りが徐々に複数の人に、そして社会に広がっていけば「心の感染」による人々の絆の分断を防ぐ祈りのワクチンとなれば良いのだが。