去る12月12日は、『いい字いい字』の「漢字の日」に今年の世相を象徴する「今年の漢字」が京都の清水寺で発表された。
1995年から漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として始まったこの行事。毎年年末に一年の世相を表す漢字一字を全国から募集し、最も応募数の多い漢字を「漢字の日」に、京都・清水寺で森清範貫主の揮毫により発表されている。一年の出来事を清めるとともに新年が明るい年になることを願い、清水寺にて奉納の儀式を行うのだそうだ。
今年の漢字は「金」。
「金」が選ばれたのは2000年、12年、16年に続き4回目。どの年もオリンピックが行われ、金メダルが多かったという強い印象が残ったようだ。
また、大リーグの大谷翔平選手がMVP獲得、将棋の藤井聡太さんの最年少四冠達成など各界で「金」字塔を打ち立てたこと、更に給付「金」や新紙幣、新硬貨などお「金」にまつわる話も話題に上ったことが理由に挙げられていた。
ところで、金とは、化合物ではなく、単体で産出され、貴金属の一種。元素記号は「AU」。ラテン語の「光るもの」aurumに由来してる。
金は、見かけは光沢のあるオレンジがかった黄色、つまり金色に輝くのだが、金属としては、柔らかく、そして可鍛性があり、重く、錆びることがない。そのため、希少性が高い金属のため、資産運用としても人気のある商材であるが、装飾品としては人類に利用された最古(紀元前6000年!)と言われており、その歴史を探るのも興味深い。
金は柔らかさゆえに、最も薄く伸ばすことの出来る金属で、1gで長さ3.000メートルにまで伸ばすことが出来るという。ちなみにこの性質を生かし糸状に伸ばした金を「金糸」、薄く広げたものを「金箔」と呼ぶ。
そういえば、キリストの誕生時には東方の三賢士が「黄金」と「乳香」と「没薬」を贈り物としてやってきたんだなあ。余談だが、黄金は現世の王、乳香は神、没薬は救世主を表すとされている。
来年こそは、このコロナ禍が1日も早く収束し、「金」のように輝かしい1年になるよう祈りたいものだ。

