ピアニスト・辻井伸行 ミラノ公演 〜 その2 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで30年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

辻井伸行氏のピアノのコンサートに出かけてきた。
 
日曜日の交通機関の状態が読めず、早めに家を出たら1時間近く早く着いてしまい、バス停で友人を待った。コンサートホール前は人で溢れていたが、イタリア人ばかり。...としばらくすると、顔見知りの日本人もいっぱい!
 
席は、後ろの方で見づらいけれど、その方が音はいいのよ、と言われていたが、取っていただいた席は日本では考えられないような格安チケット。後ろとはいえ、私の席からでも申し分ないほど十分に見えた。
 
指揮者の背中に捕まって辻井氏が登場。グランドピアノの端に触れさせてもらい、自分で席に着いた。絶対音感はあるとはいえ、どうやってオーケストラと合わせるのか?指揮者の呼吸を読み取るのだろうか?
 
双眼鏡を持って行っており、演奏中はずっと彼の指をみていた。ピアニストは指を動かす筋肉が発達してしまうため、手はどうしてもゴツく丸くなると聞いていたが、彼の指先は非常に細くて長く繊細そのものだった。ちなみに先日のショパン国際ピアノコンクールで、2位になられた反田恭平氏も指は綺麗だった。親バカちゃんちゃかりんだが、我が家の次男も指だけは美しいのだ。ピアノは弾けないけど...笑
 

演奏は、ショスタコーヴィチ『ピアノ協奏曲』正式名は「ピアノとトランペット、弦楽合奏のための協奏曲 ハ短調」。ピアノの間にトランペット?という感じが、非常にスリリングな映像をみているような曲調であった。

 

生演奏は技術的にも、音楽的にも、求められるものが高いと思うが、辻井氏自身が楽しみ、そしてそれが聴衆に伝わり、またオーケストラとも息がぴったり合っており、一体感が素晴らしかった。

 

アンコールは2曲。

 

1曲目は、ショパンの「子守唄」であった。

 

2曲目は彼の18番「ラ・カンパネラ」。前日、数人のピアニストの「ラ・カンパネラ」を聴き比べていた。個人的には、フジコ・ヘミング 女史の個性あふれるラ・カンパネラが好きだが、辻井氏のそれは非常に切ない。特に高音が非常に繊細な音だった。

 

双眼鏡でずっとみていたら、なんとも言えない澄んだ音色に胸がいっぱいになり、涙が浮かんできてしまった。

 

彼は、食べる事、飲む事が非常に好きなのだそうだ。ミラノで美味しいものを食べられただろうか?

 

後半は、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団 によるメンデルスゾーン「交響曲第3番イ短調『スコットランド』」。

 

途中、眠気が襲ってきたので、双眼鏡で演奏者を観察をした。日本人のヴァイオリン奏者が二人いた。

 

また、ホルン奏者の一人が、マウスピースを外し、なんだか降りおろしている。そして今度は大きく開いた口の部分であるベルを下に向け降っているではないか!音が出なくなったか?気になってずっとホルン奏者を見ていた。笑 そんなことが演奏中数回。

 

他にも、二人いたフルート奏者のソプラノの男性はよく体を動かし目立った。帰りのトラムで彼に遭遇!話しかければよかったわ!笑

 

久々のコンサートは心が洗われた。そして、日本のイベントではないのに、これまた久しぶりに大勢の日本人を見かけ、知人、友人も多く沢山挨拶した。笑

 

しばらく辻井氏の動画にはまる日が続きそうだ。