今朝、仕事に出かける15 分前に、シッター先のママさんから「いきなりですが、今日はミラノに戻らずクレモナに残ります。」とメッセージが入った。え〜っ?早く言ってよ!もうお弁当作っちゃったのに!!先週月曜日もツインズの三種混合やらプラスα大量のワクチン接種のため、前日からクレモナに居残るというので、私は半ドンになり、友人とミラノのテノハのラーメンを食べに行くはずだった。(ちゃんとサイトにはオープンになっているはずだったのだが)しかし、まだ夏休み中だった!私の中ではラーメンモードだったのに、そのショックは大きかった。
そして、その一週間後もいきなり半ドン!わかってたら、誰かとアレンジしたのに〜。
時間の拘束がなくなったので、ゆっくり自宅のキッチンを片付けてから家を出た。30分遅れの9時半入り。
しかし、あれれ..
画像のように鍵が二つかけられるようになっている防犯扉のポルタブリンダータ。
実はこの扉、内側に鋼鉄板が入っている。一見すると普通の木製の扉だが、その中には鋼鉄板が仕込まれている。更に、錠前の構造も複雑で、鍵穴に差し込んだ太い鍵をぐるぐると回すと、ドア内部から鋼鉄シリンダーが伸び、上下左右の壁とがっちりと噛み合うようになっている。錠前とかんぬきが一体になったような作りになっているのだ。
ちなみに上の鍵は7-8回とかなり回すのだが、下は2回。始めに上の段に鍵を入れたら、微妙に固かった。嫌な予感...すぐに外れた。鍵が違ったのかな?と思い、今度は下の段に挑戦。それはするすると開けることができた。ちなみに扉の外側は開けるのは左に回し、閉めるのが右。内側はその逆で、開けるのは右に回し、閉めるのが左。
ポルタブリンダータは外側からでも内側からでも鍵を一度回すたびに、鋼鉄シリンダーがぐいっぐいっと8本出てくるのだ。安心に思えるが、鍵を作る専門家がいれば、壊す専門家がでてきても仕方ない。我が家の鍵は、もう古いから新しいブリンダータにしたほうが良いと鍵屋に言われたことがあるが、今は鍵の形状も変わってきており、ギザギザした鍵の形でありながら、表面には穴の空いた溝が並んでいる。
何れにしても、鍵をさしてから回さなければならないのだが、上の鍵が固く、挙げ句の果てには右にも左にも動かなくなり、浮くことさえできなくなってしまった! OMG!! さあどうしたものか?無理に力づくでやってしまえば、折れてしまう可能性もあるし、扉の中のシリンダーがブロックしてしまうと以前ママさんが言っていた。いよいよもって鍵屋を緊急で呼ぶべきか???
ママさんに電話をしてみた。ママさんは、扉の中の鍵の構造を説明するが、それはわかっている。いかにして鍵を抜くか、それが問題なのだけどー。WhatsAppのビデオ電話で話していたが、ご主人が外出中とありママさんはパニックになり、ツインズ達は近くで大泣きしているのが聞こえる。泣いているのは、兄のほうだ。多分、弟が髪を引っ張っているのだろう。ママさんは、気が狂ったように弟を怒鳴り始めた。あちゃ...どうしたものか。
ちょっと待って!また電話するから、といってママさんは電話を切った。しばらくしてニコニコしてビデオ電話がかかってきた。「どう、開いた?」鍵は何度も触っても微動だにしない。ミラノにいる妹さんに電話をし、私のところを見に行くよう頼んだようだが、仕事中といって断られたという。そりゃそうだろう。逆に「近所の人に助けを求めて!」と言われた。が、私はもちろん、ママさんも長年、そのアパートに住んでいる割りに、付き合いはもちろんないし、近所に誰が住んでいるのかさえ知らない、という。
とりあえず、隣の家のベルを鳴らしたが、不在のようだった。上の階に行き、二軒ある家を順番に鳴らしてみたが、反応なし。しばらくして一軒、扉の内側から、「はい」と聞こえたので、「下の階に勤めているものだが、鍵がブロックしてしまったので、引き抜くのを手伝ってもらえませんか?」と聞くと、仕事中なんで、といって断られてしまった。
その旨、ママさんに電話し、鍵屋を呼びましょうか?というと、「待って、今パパに連絡をするから」という。
彼女の父親は、ベルガモ在住だが、会社の役員をしており、仕事はミラノ。今日はどこからどのようにやってくるのかはわからない。その間、いろいろ携帯電話でポルタブリンダータの鍵が取れなくなった場合、どうすべきかを調べてみた。万が一、何かしらの理由でシリンダーがブロックしてしまっていたらどうしようもないのだが、多分、鍵穴に微妙にずれて入ってしまって動かないだけなのでは?と思った。それでも画像のパパガロと呼ばれる工具で鍵を水平にさせることが重要だという。
ネットで、近所の鍵屋を探すと、知らなかったが、本当に近所にあった。価格表も出ていたが、緊急で呼んだらいつ来宅が可能か聞いてみようと思った。例えば、土曜日の午後、空いているお店は月曜日の午前中が休みの可能性もある。すぐといっても、その日の夕方になることなどザラだ。お店に電話してみると案の定、誰も応答せず、電話を切った。
電話を切った途端、知らない携帯番号から電話が入った。出るべきか?勧誘であればすぐに切ってしまおうと思っていら、鍵屋からであった。「今、お電話をもらったものです。」というので、鍵が動かなくなってしまった状況や、今お願いしたら、いつ頃来宅可能であるか?聞いてみた。鍵の入った写真を撮ることができるか?状況をみて、誰かいけそうなものがいるか探してみる、ということで電話を切った。ネットには、出張業務の値段のリストが出ていた。水道屋や電気屋などは、出張代と称し、それだけで25ユーロくらい取って、その上に、処置内容を載せてくる。7-80ユーロはしちゃうのだろうか?手持ちじゃ足りないな...と思った。
ママさんに最後、電話をもらってからすでに30分以上が経っていた。もう自腹で処置を頼んじゃった方がいいかな?と思っていたら再び鍵屋から電話が入った。「近所だし私が行きます。1分で着きます。アパートの入り口に来ていてください。」という。えっ?来ちゃうの?あまりの話の展開の速さについていけず。階下に降りながら、ママさんに電話。
「あら、私のパパもそちらに向かっているはずよ。」というが、アパートの前に業者らしき大きなバンがすでに止まっている。あちゃー、もう止められません...
頭の禿げたいかついお兄ちゃんだかおっちゃんだかよくわからない男性が入ってきた。ノースリーブのシャツの肩から両肘までタトウが入っており、一瞬えっ?と思ったのだが、顔のあちこちと首の襟足にもピアスが入っているのに目が釘付けになってしまった!ヴァンパイアだあ!
ママさんは、自分がシリンダーの説明をしたいから彼を携帯に出して、と言ったが、ある時から、顧客から電話が入ってしまい、ずっと電話中であった。結果からいうと、案の定パパガロを使い、挟まっていた鍵を掴み、水平にすると、はまっていた溝からかちゃっと外れたようだった。直った!そして、左にくるくる回して鍵外してくれた。下の鍵も開けるとドアが開いた。それでも、鍵屋のおっちゃんはお話中。ママさんをこれ以上待たすことはできず、また電話します、といって切った。
結局のところ、鍵がが鍵穴の溝にうまく挿さっておらず、動かなかったという。穴をよく見ると、小さな溝が下を向いているから、鍵の凸凹がこの溝に合うように入れるんだよ。でも逆を向いていたんだね、という。えーそんなことあるの?狐につままれた感じであった。間違えることなんてなかったのに...そして、恐怖の支払い...「おいくらですか?」と聞くと、彼にしては、お茶の子さいさいくらいの作業であったのだろう。う...ん、なぜか躊躇している。20でいいよ、という。えっそんなにお安くていいんですか?というと、まあ家の下”sotto la casa"(つまり、店が近所であるという、言い回し)だからね!といってくれて、本当に助かった!
いやー家の玄関の前で2時間も立ち往生してしまった。家の中に入り、ママさんにメッセージを書いていると、家のインターホンが鳴った。出ると、ママさんの父親からだった。すいません、今鍵屋が開けてくれました、と答えたが、とりあえずそちらに行きます、といってやってきた。なんと彼は鍵屋だか業者っぽい人を連れてきていた。
もう、「本当にすいません!ご迷惑おかけしました。二度手間にしてしまい、しかもお仕事中振り回してしまい本当に申し訳ないです。」とただただ平謝りをした。「いやー、いいんだよ。なんでもなくって本当に良かった。」と言われ、私も安心。
とりあえず、ことのすべてを報告しようとママさんに電話したが、応答せず。ああ、もうツインズのお昼ご飯の時間か?一応すべてメッセージに書いて送った。その後メッセージは未読のままで、最後は送信さえされておらず。電話にも出ない。どゆこと?
仕事が終え、メッセージを書いたが、送れていない状況であったので、パパさんにもメッセージを入れたら、お礼のメッセージと、ママさんは携帯を落とし、スクリーンを割ってしまい、電話が使えなくなった、と返事が来た。子供を怒りすぎて不注意で落としてしまったのか?なぜか私のせいのように感じてしまい申し訳ない気分。
後からママさんから電話が入り、逆に私に気遣ってくれたし、明日お金は払うから、と言われたが、私の不注意なので結構です、といったのだが、一応ほっとした。
鍵と錠前が誕生したのは古代エジプト文明だと言う。更に古代ローマ帝国時代には、鍵を差し込んで回す金属製のものが作られていたというが、鍵が壊れたり、開かなくなった出来事も沢山あるのではないだろうか?
後は、天国に行く鍵だけは慎重に扱わないと!苦笑


