天国への鍵 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

 
オラトリオへ行くと、まずは司祭から鍵の束を渡される。(画像左上)司祭が不在の際は、暗黙の了解で鍵が置かれている秘密の場所から持ち出す。オラトリオ敷地内の鍵一式で20本の束。
 
時間になると門を開け、サッカー場、オラトリオ、バール内の確認、トイレの確認などをし、サッカー、バレー、バスケットボールなどはリクエストがあった時倉庫から一つずつ渡す。なるべく皆が一緒に遊べるよう必要以上の数は出さない。また度々盗まれるので、これまた必要以上にボールに空気を入れておかない。
 
以前トイレはオラトリオを開けている時間帯はずっと開けていたが、いつからかタバコの吸殻やビールの空き缶などを見かけるようになり、最近はトイレに行きたいと言われたので、鍵を開けたら、そのまま高校生の男女が15分くらいでてこないことがあった。外から早く出てくるよう呼びかけたが、応答なし。異変に気付いた中学生の女子たちは囃し立て、何もわからない小学生がどうしたの?どうしたの?と大騒ぎ。密室で何が行われていたかは別として、やはりオラトリオ内でそういうことが起こっては困るので、司祭に連絡し、注意をしてもらった。また19時になるとすべての鍵を閉め、教会のポストに戻してミッション終了。
 
ところで、昨年秋に新しい司祭が着任し、まあいろいろな鍵のコピーを頼まれ、何度も鍵屋に足を運んだ。やれ、宿題をみるクラスの担当者用に、サッカーのコーチ用にということだが、先週また呼び出され、夜見回りの司祭用の新たな鍵と今まではこれだけは渡してもらえなかった司祭館へ入るための鍵も手渡してくれることになりそのコピーに出かけてきた。
 
すでに何度も足を運んでいる鍵屋。すでに顔見知りである。
「こんなに鍵を持ってどこへ行くの?」という。
「うふふ、天国よ。」と笑った。
 
こちらは、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂にあるペルジーノが描いた「聖ペテロへの天国の鍵の授与
 
マタイ16:13-20では、「...わたしは、あなたに天国のかぎを授けよう。そして、あなたが地上でつなぐことは、天でもつながれ、あなたが地上で解くことは天でも解かれるであろう」。 と、ピエトロに鍵を手渡している。
 
また、こちらはやはりシスティーナ礼拝堂にあるミケランジェロの「最後の審判
 
黄色の枠のなかではピエトロが金と銀の鍵を持っている。ペルジーノの絵にも描かれているが、天国と地獄への2つの門の鍵とされているが、実際に聖書には書かれていない。
 
また、こちらはヴァチカンの国旗。
 
 
銀の鍵は現世的な権威を、金の鍵は宗教的な権威を示してしているのだそうだ。
 
それにしても、画像右下の鍵束は以前在籍した司祭が置いていった鍵26本。どれがどこの鍵だか解明して欲しいと言われた。難解すぎるわ...