泉に添いて 茂る菩提樹
したいゆきては うまし夢見つ
みきには彫(え)りぬ ゆかし言葉
うれし悲しに といしそのかげ
今日もよぎりぬ 暗きさよなか
まやみに立ちて まなこ閉ずれば
枝はそよぎて 語るごとし
来よいとし友 此処に幸(さち)あり
おもをかすめて 吹く風寒く
笠は飛べども 捨てて急ぎぬ
はるかさかりて たたずまえば
なおもきこゆる 此処に幸あり
此処に幸あり
菩提樹(Der Lindenbaum)/シューベルト」の歌詞(訳詞:近藤朔風)
菩提樹の花が咲き出し、地元サンシーロ地区はふんわり甘い香り。
2年前、この匂いにはっとして色々調べてみて初めて菩提樹の木だとわかった。過去に日本で見て香りを感じた記憶はない。昨年のこの時期は、まだ日本だったので2年ぶりの香り。やはりちょっときつい感じの甘さ。しかも、意外に菩提樹の近くにジャスミンが満開のところもあり、まあ香りが濃いのなんのって...マスクをしていてもはっきりわかるくらい。
菩提樹はイタリア語で"tiglio"(ティーリオ)というが、ラテン語の”tilia”から由来しており、ギリシャ語の”ptilon(翼)”が語源なのだという。確かに葉と花のつき具合の形が似ているかもしれない。
tiglioと言われて、初めてあー、蜂蜜でもあったな!と気づくのだが、先日イタリア人の友人と話していたら、tiglioのハーブティが大好きなの!と言っており、へーそんなお茶もあるんだ、と初めて知った。
ドイツ語ではリンデンと呼ばれ、、英語ではライム、フランス語でティエールと呼ばれ、薬草として昔から親しまれてきているのだそうだ。また、南仏の山間の村ヴ・レ・バロニーでは、年に一度、7月の上旬にフランス中から薬草商が集まるプロヴァンスのティユール(リンデン)市が開催されるという。
花同様、甘い香りがするのだろう。
効能としては、美白効果があるそうで、化粧水や洗顔に利用できるほか、発汗や利尿、去痰、鎮静、血圧効果、鎮攣、消化促進などの作用があるそうだ。また、菩提樹のバスハーブは肌をつややかにしリラックスさせるため、ヨーロッパでは赤ちゃんの産湯にも使われていたという。
また、リンデンティーの別名は「ベビーティー」「ナイトティー」。その鎮静作用から、フランスでは落ち着きのない子供に飲ませる習慣があるとのこと!驚きだ。
心配事が気になって眠れない夜や気分が高揚して眠れない夜に、ナイトティーとして飲むといいらしい。眠れないということは、ほぼ100%ありえないのだが、気になるなあ。笑
余談だが、以前も書いたが、その昔、ギリシア神話の神々の王ゼウスに仕えたフィレモンとバウキスという夫婦が、死後もお互いが離れ離れにならないようにと願い、ゼウスは夫フィレモンを樫の木に、妻バウキスを菩提樹に変えて、2本の樹がずっと寄り添っていくようにした、という話があり、夫婦愛の象徴とされているらしい。そういえば、菩提樹の花言葉 は「夫婦愛」「結婚」であった。とてもあの木からは想像もできないが、きっと毎年香りを嗅ぐたびに思い出すことだろう。
甘い香りのミラノは暑すぎもせず、もちろん寒いこともなく、いい季節だ。



