桜散る 残る桜も 散る桜 by 良寛
無事、父の葬儀が終了した。
Covid-19・新型コロナウイルスの一件でイタリアが封鎖される直前、ぎりぎりに滑り込むように帰国した。もっと早く帰るべきだったと思いつつも、帰ってもきっと病院には行けるはずもなく、かといって帰国できなかったのならばきっと一生悔やんだことと思う。
上記の句は良寛和尚の言葉だが、父の通夜の際、お坊さんが紹介された。
「今どんなに美しく綺麗に咲いている桜でもいつかは必ず散るのです。人生そのものです。」
つまり限られた「命」なのだろう。
ところで、父は、「慈徹優徳」信士という素敵な戒名を頂いた。慈しみ深く寡黙にして一徹、優しく、徳を黙々と積んだ父そのものだった。父の永遠の安息を願い、信仰は違うものの、いつの日か私も、父と共に神の慈しみの永遠の愛の元に憩おうと約束した。
桜が散るのは寂しいが, 美しくもある。父は逝ってしまったが, 私の心には生きている。
人は生まれた時から死に向かい、いずれ私も散る日が来る。それは散っていく命ではなく、美しく咲く命。
花の命は短いけれど、満開を迎えるまでは、どれだけ風雨にさらされても、散ることのない桜の花。
かよわそうに見えて強い。流されず、自分の花を咲かせきる。意志のようなものさえ感じてしまう。
桜散る 残る桜も 散る桜
自分の人生を咲ききろうと父に教えてもらった。
ミラノの日常 「限りなく透明に凛として」
