フィエラ日記 2019 〜 その2 一期一会 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

とにかく、毎日毎日あまりにも多くの人に会う。基本的に人との接客は嫌いではないので、(むしろ好きかも?!)刺激的である。

 

とはいえ、人の集まるところには必ずスリや悪事もいっぱい。店の社長曰く、こういったところでは、ちょっとしたスリならまだ可愛いのだそうだ。私のバイトをしているお店は、パリにショップを構え、ヨーロッパの見本市は1年に30回はこなしているのだそうだが、見本市に出ているスタンドはどこも似たり寄ったりで、かなり顔見知りも多いという。

 

昨年、パリの見本市で、ショップの隣のブースの店長が、最終日に売り上げをもって会場から駐車場へ移動する際、強盗に襲われ、それに抵抗をしたら足を撃たれ出血多量で死亡。1年後に犯人が逮捕。なんと死亡した人の元で7年も一緒に働いていた人だったそうだ。だから行動範囲も全てお見通しだったのかもしれないが、恐ろしい限りである...。

 

また、接客中に何気に近づいてきて、こういった仕事以外で私たちの活動に参加しませんか?といってきた人もいた。どういう分野なの?と聞くと、まずはあるセミナーに参加して自分たちのことをしってもらいたい、という。その時点で怪しいでしょ?身分を明かさず、活動もはっきり言わない。もうそこでシャットアウト!

 

他にも、30分の休憩時間、いつものサングリアを飲みにスペインコーナーへ行こうとしたら、間違ってイスラエルのスタンドへ行ってしまった。たまたま目があった若いお兄ちゃんに、ちょっと!と声をかけられたので、立ち止まった私が抜けていた!「目の周りのたるみやシワが気になりますか?」というので、素直に「ハイ」と言ってしまったからおしまい! 「私、もう休憩時間終わっちゃうし、時間ないんだけど!」と言っても、すぐ終わる...と。目の周りにジェルを濡らされたが、あまり浸透してきている気さえしない。「普段何をつけているの?」「何もしないなんて、怠け者なの?」って大きなお世話だわ!ここがたるんで、ここも下がって来ちゃうのよ...という。それって年相応なんですけど...外科手術は自然に反しているでしょ?あなたもその時が来ればわかるわよ!と心の中でいう。苦笑 ちなみに、そのコーナーの責任者というか、ボスは、晩年の虹川清子似のおどろおどろしいおばさん風のおじさん。そりゃないじゃん!「女性の美」って何よ! 「ごめんなさい。本当に時間がないの。現金もカードも持ち歩いてないから」と逃げるようにその場を去った。

 

後から、そのことを同僚に話したら、まあ捕まる方も捕まる方だよね。私なんて、そんなの声さえかからないよ!と言われてしまった。なんか、”話を聞いてあげる”オーラでも出ているのだろうか?爆

 

ところで、さすがに日本ブースは日本好きが集まってくる。片言の日本語を話したり、自分の日本旅行を嬉しそうに語る。日本語を勉強していて、先生を聞くと大抵知り合いの生徒だった。また、「ニホンジンですか?昨年新婚旅行で日本へ行きました。すっごく良かった。いろいろありがとう!」とお礼を言われることさえあった。えっ私、何もしてないんですけど。っていうか、初対面ですよね?爆

 

また、トイレ休憩のたび、トイレであう掃除婦のモロッコ人とも友達になった。何度私の名前を教えても「TAMAKO」と呼ぶ。まっいいわ。

 

そして、初日には、歩いていたら、急に後ろから肩を叩かれ振り向いたら十数年前に子供たちの幼稚園や小学校で一緒だった友人のご主人だった。彼は元警察官で次男が誕生し、我が家の住民票をローマからミラノへ移し、改めて次男の滞在許可証を取得する際、彼のコネクションでかなり手回ししてくれた恩人であるが、現在まさかのそこの警備関係の仕事をしているとは知らなかった!しばらく立ち話をしたが、驚いたものである。

 

短期間で、人に使われている身だからこそ、言えることなのだが、人と接していると、同じ人間であっても感じ方一つで全くその仕事や人間関係の味わい方が異なる。文句ばかり上司に訴えている人も見かけたし、その上司も一人で抱え込み、パニック状態になっている...。人は心があるが、人それぞれその取り方、味わい方によってストレスも変わってくるような気がする。鋭敏かつ微細にほんの小さなことにも気をくばり、また味わおうとする人は、心の豊かな人であり、人生の意味を深めている人にも思える。

 

どの場にいても、それは自分の生きる場所であり、「今」というものは一期一会である。その場を「味わおう」とする人は、人生の醍醐味を知るであろうと思う。今回ご一緒させていただいている仲間、特に社長はまさにそういう方。

 

アグレッシブに商品を売るようなことはしないでほしい。でも沢山買い物をしてくれた人には隣接経営しているバーで一杯どうぞ、と言っていいよ。そして、買い物していない人でも、疲れていそうな人がいたら、そこでお休みくださいと声をかけてあげて。買い物云々こだわることないでしょ?と言われた時は、なんと太っ腹な人なんだ!と感動したものだ。

 

人生は一度きりだからこそ、心を充たすように生き、心豊かに生き、幸せをみんなで分け合っていくことで心を高め心を磨いていきたいと思う。

 

何れにしても、苦労もまた、心が豊かになる一つの縁だろうし、幸せもまた心を豊かにする一つの暮らし。一期一会の人生を深く味わうということだろう。

 

いい職場でよかった。

 

 

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