華厳の陣 〜 上善如水 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

来る11月17日(日)、イタリア本部大会「華厳の陣」が行われる。

 

春の「翔舞の陣」は今や他流も加わり、来年度からは「沖縄伝統空手大会」になるはずだが、秋だけは内部のイタリア本部大会。

 

人数は多くなってきたものの、対戦は帯色で分けられている。昨年まで一緒のカテゴリーだった数名が黒帯に昇段。昨年私は茶帯になりたての大会だったが今回は1級。そのうち全国大会に出場した仲間が9名。今回同じカテゴリーは何名参加するか分からないが12月に初段に昇段する人も6名と、狭き門である。私にとっては、全国大会よりもハードルが高い。

 

けれど、膝の負傷を言い訳にするわけではないが、今は自分が出来る空手で行こうと思っている。未だ治らない癖もあるし、入会当時よりも確実にスピードも落ちはじめ、自分の型を見直している。

 

ところで今までペア型と言えば、長男か次男と組んできた。今回長男は大会不参加。次男に至っては私とのペア型はもう嫌だと言う。私もいちいち遅い、下手だと言われてペアを組み続けるには心が折れそうだ。

 

ここ数年、親子や兄弟でペアを組めない人のために友人型参加のシステムがイタリア本部内に繰り込まれた。子供の友人ペアは見るもののなかなか大人はいない。過去に80代のF爺さんと60代のMペアが出た。ペア型は上手い下手よりもシンクロが大事。息があっていないとだめなのだ。

 

上記Mに数年前の年間目標に、ペア型で私と組んで大会出場と書いていいか?と言われ、はあ?と思ったことがある。そんな事を目標にするにはレベルが低いでしょ?ダメ!別のことにしなさい!と一喝。

 

とは言え、今や黒帯に移行したアラフィフママ友門下生とは50ー60代のおじさんたちを救う?モチベーションアッププログラムもいいかもね、と話していたことを思い出し、師範に相談。相手がいない誰かいませんかね?と聞いてみたものの、そんなの自分で探せ、と言われてしまった。

 

特に茶帯には50代の男性がゴロゴロしているが、アラフィフ女子に較べると、気合もモチベーションも違う疲れたおじさん軍団だ!(自分を棚に上げたかなり上から目線発言!笑) うーん、組みたい人がいない!結局申し込み締切日が過ぎた。

 

ある稽古の日に、師範からペア型どうした?と聞かれ、あーもう期限も過ぎちゃいましたし、めぼしい人も見つからず、もういいですわ。と言うと、その日の稽古は休みだったMはどう?と言われた。現在紫帯。上記茶帯軍団より年上ではあるが現役で自転車競技に出ているし、年齢の割には頑張っているしいい味を出しているのは確か。今回は楽しもう! いいですよ!と二つ返事で、本人欠席ではあったが決定!その晩彼に、こう言うことになったから!と決定事項をメッセージすると「なんと光栄な!」と即答。 爆

 

先日の土曜日、初練習。一回戦目から自由型。さあ、どうする?ワンスー(ワンシュウ)からすることにした。松濤館の燕飛(エンピ)だ。

 

ワンスーは真栄田親雲上(まえだペーチン/「親雲上」は琉球王朝の称号のひとつ)から伝授された型。1683年に渡琉した冊封使・汪楫(ワンシュー)が遺したものが原型と言われている。体の大きな人だったらしいが、初めから最後まで四股立ちの高さで移動。なので、頭の高さを上下させないのが特徴。独特の手刀受け、内受け、肩車の投げ技が含まれており、一技、一技を効かせていかなければならない。

 

まず初めの構えは、右拳を左開手で抑え、「戦いません」という意志を示す構えから始める。それが、私はこの型はしばらく打っていなかったし、Mも最近「チントウ」という型を習い始めたばかりで、二人でチントウの構えをしてしまった。チントウの構えは右拳(甲は相手側)に持ってきて下から左開手で支える構え。いずれにも水月を隠した残心をしている状態。

 

「おい、おい、おいおい...なんだよ、二人とも!!」と師範。「まあ、二人で同じ間違えをしているのも微笑ましいけどな」といきなり脱力。その後も何度もチントウの構えでやり直しの繰り返し...

 

とにかくペア型は、技はもちろん、呼吸、歩幅、全てにおいてシンクロしていないといけない。大抵親子型の場合は、子供が前に立ち、親が後ろに立つケースが多いが、裏正面になれば合わせるのは逆になる。ワンスーは四方に動くが、基本Mが前に立ってくれれば私が合わせるから、といったのだが、私が前になってくれ、という。

 

彼の型を見せてもらい、本当に自分のことは棚に上げられないのだが、うーん、最低限どこを直そうか?しかも今週は5週で稽古は休み。彼も週末はいないというので、丸々一週間以上一緒に稽古ができない。仲間にビデオを撮ってもらった。

 

ちなみに、彼は気合で「ハイ!」というが、”H”の発音が強い。逆にイタリア本部の日本人は大抵「エイ」というので、「エイ」にしてくれる?というとどうしても「ヘイ!」になってしまう。また指導者や審判に「型の名称」と言われた際、型を告げるタイミングがコンマ数秒どうしても合わない。苦 それもさあ、呼吸なんだってば。一挙動目も同様。数を数えよう!と言われたけれど、数を数えるタイミング、呼吸が違えば本末転倒。私が合わせるから、といっても、自分が合わせると平行線。男のプライドかあ?爆...うーん、次男とやるのもしんどかったが、Mとも根気がいるぞ!というか笑いが止まらなくなってしまうのだ。笑 いやいや、失礼!失礼! 私のペースに合わせてもらうと、息絶え絶えになっている老犬のようだ。だーかーらーさー、私が合わせるっていってるじゃん!爆

 

ところで、今回、私のテーマは「上善如水」。古代中国の思想家老子の言葉で、「上善は水の如し」からきている四字熟語。水のように躍起になることなく、無駄な力を抜いて生きることこそ成功の秘訣である、という意味。

 

また、「空手は湯の如し 絶えず熱度を与えざれば元の水に還る」。 日々怠ることなく稽古に励まなければ大成は難しく、怠れば後退を余儀なくされてしまう。稽古とは技を磨くのみならず、やる気や集中力、忍耐力、継続力。そして常に向上心を持つこと。いくつになっても空手好きで情熱を失わないようにしていたい。

 

今回は、水のごとく、無駄な力を抜いて大会に臨みたい。

 

 

「ミラノの日常 華厳の陣 〜 守破離」

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「ミラノの日常 華厳の陣 〜 拳禅一如」

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