今日は何の日?! 〜 6月6日 「稽古始め」 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

 

 

今日、6月6日、1日どんよりしつつも”雨ざーざー”にはならなかった。笑

 

ところで、昔から6月6日は習い事を始めるのに良い日とされていたという。

 

寺小屋や私塾では、初午(2月の最初の午の日)に入門する習わしがあったそうだが、楽器や舞踊など伝統芸能の「稽古始め」は6歳の6月6日が良いとされ、歌舞伎、能、狂言でも初稽古と呼び、その日に稽古を始めるべしとされているのだそうだ。

 

室町時代に能を大成したことで有名な世阿弥が残した「風姿花伝」という著書には、能は数えで7歳(つまり6歳)から始めると書かれており、そこに由来したとも言われている。

 

ちなみに世阿弥は、親は子どもの自発的な動きに方向性だけを与え、導くのが良いという考え方を示している。親があまりにも子供を縛ると、親のコピーを作るだけで、親を超えていく子供にはなれない、と言っている。なんという含蓄のあるお言葉!。

 

ところで、日本の月心会は3歳から入門可能だそうだが、イタリア本部は5歳から。長男、次男が以前所属していた道場は6歳だか7歳からの入門で結構待った。

 

確かに個人差はあるだろうが、挨拶や正座など基本的な礼儀作法をはじめ、技や型などを学ぶのは、3歳前後の子供にはまだ多少早いかもしれない。(もちろんできる子はできるのだが!)やはり師範をはじめ、大人の言っていることがしっかりと理解できるようになる5歳くらいから習い始めるのが望ましいのではないだろうか?

 

先日、5歳前後のイタリア人の子供3人と母親2人が稽古の見学に来たのだが、見た瞬間、今は無理じゃない?と誰もが思ったと思う。師範も夏休み直前であるし、9月以降の方が良いと促し、トライアルではなく見学にしてもらったが、まあ落ち着きがなく、親もいきなり立ち上がって一緒に戦いごっこ?を始めたと思えば、飽きてきた子を思い切り怒ったり...と、隣で練習してみる身にとってはとても集中できる雰囲気ではなかった。

 

しかも、いきなり飛び出してきたりするものだから、怪我をさせてはいけないし、逆にこちらも怪我をするかもしれぬ。参ったわ...挙句の果てに彼らは帰る時、母親たちが子供に「ニーハオ!」といって挨拶してきなさい!と指示しているのが聞こえた。

 

ニーハオ?!???

 

さすがに、師範がちょっと待ったあ...!!彼らの方へ向かい、ニーハオは日本語ではない、云々挨拶について説明していた。勘弁してよ...まあそういう子たちをきちんと礼儀正しく、そして将来、世の中を担う人間に育てていくのが指導者の醍醐味なのかもしれない。

 

ところで、「稽古」の「稽」とは「考える」という意味で、「稽古」は「古(いにしえ)を考える」という意味なのだそうだ。芸能や武術、技術などを習うことや練習することの他に、昔の書を読んでものの道理や故実を学ぶことも稽古という。

 

上記「『風姿花伝』の第一章を「年来稽古条々」では、年齢に応じた稽古の仕方を示しており、年齢に応じた対処の仕方などを綴っているという。教育者として、親として、どのように若年者に対応していったら良いのかという観点や、年齢を経ていくことにも言及しており、世阿弥の教育論、人生論としても示唆に富んだ内容となっているのだそうだ。

 

稽古は強かれ、情識はなかれ

 

慢心は、人を朽ちさせる。「稽古」の日に、改めて思う。武道にはゴールはない。だから、そこを目指すのではなく、毎日少しずつ上を目指し、前に進んでいく。いくつになっても慢心せず、虚心坦懐に修練を重ねて行こう。

 

 

 

 

「黒帯 〜 時分の花 まことの花」 

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