クリスマスの孤独 2018 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

孤独は、高齢者の敵である。特にそれは祝日シーズンに明らかになる、という。

特にイタリアの場合、クリスマスシーズンは家族で過ごすもの。離婚や伴侶に先立たれ、たとえ子供がいても物理的に会えない場合は、孤独感が特に増すことだろう。

 

24日の夜に、イタリア•ナポリ郊外のマラーノという町に住む90歳代の女性が警察に電話し、交換台のオペレーターに孤独の寂しさを訴え、少し話の相手になってもらうよう懇願したというニュースが話題となった。

 

最近の調査によると、クリスマスイヴのような日に、心筋梗塞の発生率が高くなると検証されている。まさに孤独感が心理的ストレスを助長させ、心身に多大な影響を与えるというのだ。スウエーデンでは、1998年から2013年までの間に30万人もの人が、スポーツイベントや祝日との関わりとの比較をモニタリングされてきたという。

 

幸運にも上記マラーノ市の高齢の婦人は、警察に援助を求め、また彼らの気遣いによって心温まるひと時を過ごすことができたわけだ。その後、マラーノ市はソーシャルサービスにも警戒を促したという。

https://www.ilmessaggero.it/italia/anziana_sola_natale_carabinieri_napoli-4193107.html

 

これが、日本で起きたらどう対処されるだろうか?迷惑だ、と一喝され電話を切られるのだろうか?

 

今時、大家族で暮らしている家庭は日本でもイタリアでもそうそういない。いたとしても、家族の中の孤独感の方が、下手すると一人でいる孤独よりも辛いかもしれない。また、家族に迷惑をかけているんじゃないか?という気持ちを持ったり、持たれたりするのも家族としては辛いだろうな...と想像する。

 

ところで、クリスマスを迎え、老人ホームにいるシスターPに会いに行ってきた。本来は昨日、クリスマスの午後に出かけたかったが、急遽家族の問題で遠出をすることになり行けなかったのだが、案の定、今日ホームに行くと、婦長のシスターに「クリスマスに誰も来ないと嘆いていたけれど、皆家族がいれば状況的には難しいでしょ、と諭したのよ。」と言われた。

 

ホームのサクロ•クオーレには4,50人のシスターたちが入居している。数日前に同じフロアーの105歳になるシスターが帰天されたそうだ。病気のシスターもおられれば、基本的にはお元気だが、足が不自由な方もかなり多い。とにかく耳が遠くなるのは普通のことなのだろうが、皆声が大きく怒鳴っているように聞こえるのだが、シスターPは130cmにも満たない小柄な方で、よって体重も少ないので、声も小さく、他のシスターたちとはなかなか会話が成り立たないのだそうだ。そして、やはりイタリア語は話せるけれど、日本語が話したいと...たとえ聖職者であろうとも、それはそうだろう。

 

「あなたが来てくれて嬉しいわ!」怒涛のごとく話しまくるシスター。シスターの好きなお煎餅と出来たてのお豆腐を調達し持って行った。「あなたお金持ちなの?」という。は??? だって手帳やらお煎餅やら色々と持って来てくださるじゃないの、という。手帳は来年の手帳を日記代わりにつけたいとおっしゃっていたので、ではクリスマスプレゼント、といって持って行ったのだ。キリスト教系書籍で購入するとなんと手帳は5,6ユーロで入手できる。また、お煎餅にしても、私は中華街の基本的価格の比較は網羅しているのだ!それくらいは大丈夫。笑

 

1時間半くらい話に花が咲いた。いろいろな話題がぽんぽんと出てくるのだ。とにかく頭の切り替えが速いの。私はね、自分に都合の悪いことはもともと記憶に残らないの。いい性格でしょ?と笑う。 洗礼を受けた26歳で私は年齢が止まったの。だから永遠の26歳なのよ、とおっしゃる。話の流れで、ご自分はいのしし歳だとおっしゃるので、それは変ですよ。計算が合いません!というと、じーっと考えて、あらっ馬だったわ、と言われるので、あらま、私と干支が一緒ですね?というと、一回り年下?というから、ちょっと待ってくださいよ〜!と大笑い。この秋に米寿のお祝いをしたばかりで、12歳年下ってどういうこと?やはりご自分にはどうでもいいことになると、特に気にしないようだ。笑

 

笑うことは脳への刺激になる。そして、心の潤いにもなる。「病は気から」なんて諺もあるが、普段からよく笑っている高齢者の方が「自分は健康である」と感じるのだから笑うことは大切。

 

ユーモアは老後を救う。所属教会では25日のミサ後は地域の高齢者や貧困の人たちを昼食に招待している。誰もが高齢者の道を辿っているのだ。どう生きるか...考えてしまうクリスマスだった。

 

 

 

「クリスマスの孤独 〜 クリぼっち」

https://ameblo.jp/sofiamilano/entry-12338727756.html