涼をとる扇子 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

いきなり蒸し暑くなってきたミラノ。

バッグの中に常に扇子を忍ばせている。

扇子や団扇は夏の風情。

イタリアでも扇子を持っている人は多く見かけるが、日本製のように、絵柄やデザインにこだわったおしゃれなものを持っている人はさすがに少ない。思わずカルメンか?!という人さえいる。爆

 

扇子の誕生は、平安時代初期まで遡る。数枚の木簡(もっかん)(文書の記述・保存に用いた薄い木の板)を持ち歩くために片端を綴じて使用したのがその始まりなのだそう。これを檜扇(ひおうぎ)と言い、貴族の身分を表すものだったという。

 

その後、竹や木の骨組みに片面だけ紙を貼った蝙蝠扇(かわほりせん)が登場し、現在の扇子の原型が出来上がる。これは涼をとれる夏用の扇子だったようだ。鎌倉時代に日本の扇子は中国に渡る。中国で扇子は両面貼りになり、室町時代に日本に逆輸入されて普及。鎌倉時代までは、貴族や神職者しか使えなかったそうだが、このころに庶民の使用が許された。そこから、能や演劇、茶道に用いられるようになり、江戸時代には庶民の必需品として、重要な産業の一つに発展。

 

ちなみに、昭和30年代中頃から民間に扇風機が普及し、団扇とともに扇子の需要は激減してしまった。

 

また儀礼、芸能で用いられる。ただし古くは扇(おうぎ)と呼ぶのが普通であったそう。「おうぎ」という言葉は古くは「あふぐ」(扇ぐ)の派生形の「阿布岐(あふぎ)」と呼ばれたが、日本語の変化により関連がわかりにくくなったようだ。

 

ところで、以前太極拳を習っていた際、扇を使った「太極扇」というのも少しかじった。

 

 あくまでも太極拳用なので、普通の扇子より大きく、扇ぐために使用させるものではないが、片手でひょいと手首をねじりつつ、ばさっと扇子を開いたり、閉じたりしさせる。太極扇は非常にフェミニンスタイルで気に入っていた。

 

ところで、日曜日のミサの間、祭壇からお御堂の信徒を見ていると、バタバタ扇いでいる人が多く、逆に暑苦しさを感じてしまう。どんなに暑かろうが、扇子でバタバタさせず、ゆったり微風で涼しげに見せたいもの。香水やアロマを染み込ませ、何気に香るようだと非常に上品に感じられるのは、思い込み?!

 

当たり前に使っている扇子だが、古き良き日本の文化を知ることも大切。

 

暑く涼しい、よい夏を!

 

 

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