ミラノといえば、大聖堂・ドウモ。
世界最大のゴシック建築であり、5世紀もの歳月をかけて多くの芸術家によって完成された。
さて、今日在ミラノ・北イタリア日本人会主催の「ミラノ再発見ツアー」にて2年間の修復を経て、昨年11月に再オープンした「ドウモ大博物館」へでかけてきた。
集合時間に早く到着してしまったので、久々ドウモに入り祈りを捧げた。 荘厳な空間は、神聖な気分になれる。新しい一日を迎えさせてくださった神に感謝し、今日一日私を照らし、導いてくださるようにと祈る・・・が、どこからともなく聞こえてくる日本人観光客のおしゃべり、写真撮影、そして、修復工事の騒音。教会は祈りの場なんだよな・・・
ところで、ドゥオーモ大博物館は、1953年にオープン。ドウモ脇, 王宮(パラッツォ・レアーレ)内にあり、2000平方メートル内に、200もの作品が置かれ、ドウモ500年以上の歴史を年代ごとに紹介している。
ドウモの特徴でもあるゴシック様式とは、12-16世紀頃、ヨーロッパ各地で隆盛を極めた建築様式で、特に聖堂建築に代表され、リブ(クーポラの曲面をつくり、両側の柱へ荷重を伝える材)付きのボールトを有し、尖塔アーチや高く伸びる尖塔など天井を志向する垂直効果を特色とする。
ドウモは聖母に献納されたものであるので、最も高い尖塔にはマドンニーナと呼ばれる、黄金のマリア像が奉られている。(実際には、かなり大きいので、マドンノーナだあ!と笑ったほど!)
また、初期のゴシック様式であるパリのノートルダム寺院と比べ、ミラノのドウモは後期・ゴシック様式であり、重々しさがある。柱や壁に見られる彫刻は、自然を表現しており、モチーフとして花や果物、動物なども表現されている。また、聖人たち約3500体の彫刻は、時代によってフランスの影響ともいえる立ち方(何気に腰が気になる?!)、表情などもエレガントのものもあれば、ロンバルド式というものなどは、非常にリアルな描写であるのは、面白い。


博物館内は、撮影禁止だったので、残念ながら画像はないが、意外にドウモに飾られているのは、公害による被害をさけるためコピー版で、オリジナル版は博物館に、というものもいくつかあるようだった。
こちらは排水の役目をするというドッチョーニ。獣などの装飾が施してあり、じつに奇妙。96体がドウモにある。
驚いたのは、数多い彫像は、いきなり大理石で作るのではなく、まずは、テラコッタと呼ばれる「焼いた (cotta) 土 (terra)」に由来する素焼きの焼き物で試作されたそう。または、木製などもあるが、その後、石膏による試作の繰り返しを経て、それから本番の大理石作成となる。何百年かかって当たり前だ。
大理石は、マッジョーレ湖近くのカンドリアと呼ばれるところのものを使用。白いものは、彫像用に、色のついたものは、床や壁に使用された。大理石の輸送は、川と運河を利用し、ドウモ近く(現在のピアッツァ・フォンターナ)のところまで船で運ばれて来たと言う。
また、当時ミラノの領主であったガレアッツォ・マリア・スフォルツァは、カンドリアの大理石採石の権利をミラノのドウモに与えるとし、現在もそれは続いているそうだ。
教会内の彫像、ステンド・グラスなどは一般的に聖書の内容を示しているが、ミラノ・ドウモは聖母マリアに捧げられているので、ブロンズ製の正面中央扉には、聖母マリアの生涯やイエスの一生、聖書の話が描かれていたり、その上には、ルネッタと呼ばれる半月型のレリーフには、「アダムとイヴ」の「イヴの創造」が観られる。

また、第5の扉と呼ばれる、正面から見て右奥の扉には、ドウモの歴史自体も観る事がで きる。
ミラノ・ドウモ建築にかかわった人たちの、記録は資料館に全て保管されているというが、とてもまとめられる量ではないそうだ。500年以上にわたるミラノ・ドウモに人生を捧げた人たちの不撓不屈の精神は、想像を超えるものがある。
ドウモはミラノの象徴でもありながら、あまりにも身近すぎて、建築物の詳細を観ようとしたことがなかった。今後、ドウモを通る際、観る目が変わるのは確かであろう。
ドウモ大博物館
月曜 休館
火曜日~日曜日 10.00-18.00
最終入館17.00
入場料 一般 6ユーロ
グループ、家族 4ユーロ
学校、教会関係グループ 2ユーロ



