妄念会。
へんてこギター撮影会の仕事終わりで、京都は長岡京のお店に忘年会に連れてってもらった。「何屋すか?」「つくね屋。」と。つくねがウリとは。長岡でつくね屋。これはもぅ得体の知れないドラマを感じる。
或る男がいる。学生の頃、何となく始めた焼鳥屋のバイト。卒業してからもその流れで飲食店に就職。忙しく毎日は過ぎ、従業員から店長に。いつしか仕事のペースもつかみ生活も安定し、その頃、申し合わせたように、友人の紹介で知り合った気立ての良い女性と結婚。二年後、元気な男の子をもうける。時は経ち、息子は小学生に。家庭の事を考えれば、冒険は避けなければならないが、俺だって男だ、たった一度のこの人生、自分の力で勝負がしたい。よし、独立だ、と。そこで考える。店を立ち上げるにつき、俺のウリは何だ?そぅだ、つくねだ。つくねこねさせたら、俺ぁ誰にも負ける気がしねぇ。では何処に店を構える?競争の厳しい都会で戦うには、つくねは余りにインパクトが弱いのでは?しかし田舎町でつくね屋では逆に攻め過ぎか?うーむ……‥よし、長岡。
ぁー美味かった。
LIVE@アメ村PARTISAN。
ワンマンライブをしました。アメリカ村は三ツ寺会館のバー、パルチザン。心斎橋で、ビラ配りをしていた卒業生の山田良子にばったりと出くわし、脇毛脱毛のビラをくれた。
この度は曲順も何も決めず、完全なる思いつきの二時間。楽しかった。
最後の曲も唄い終わり、アンコールの拍手を頂いているところに今更ながら過ぎる新規のお客が入店して来る。誰ぞと思い目をやれば神戸の音楽家、正樹である。で俺の顔を見るなり
「すのうりん、何してんの?」
ときた。てめぇにそんな事言われる筋合いは死ぬ程ないのですが。
でアンコールに、これでも食らえとばかりに"コーンブレーク"を唄ったら大層お気に召したらしく、アンコールしてきやがった。ぼくはうまれてはじめてめのまえできちがいをみました。
仕方がないので最後に、昔べろべろに酔っ払った正樹が俺の脛にすがりついて「良い歌だ。」と讃えた"おやじの唄"を唄うと、見事に「そんなでもないっす。」なリアクション。
さて恙無く全てを終えて打ち上げていると、正樹の"今夜は帰らない帰りたくない。"及び"て事は即ち帰さない。"オーラがビシビシと俺の頬を打ち付ける。真っ直ぐに俺を見つめる、その狂ったポメラニアンの様な濁り無い瞳からは、ディオ・ブランドー並みにビームが放たれて、俺の眉間を貫く。アンコールから参加した人間の酔い様とは思えぬそのパワープレイ。
面倒臭いので家に連れて帰って朝まで呑んだ。 俺の寝間着を着て俺の酒を呑み俺の布団で寝たその男は、最後まで俺の今宵のライブについて一言も話題にする事はなかった。