長い夏期講習が始まりました。通常授業と同じように、集中して授業に参加し、しっかりと復習し、基礎固めができればよいと思います。


さて、合不合予備2の前、カロリーの計算がわからないと言ってきました。なんでも、私の教えたやり方と予習シリーズのやり方が異なり、混乱したままになっているとのこと。私としてはカロリーの計算など教えた記憶はないのですが、久しぶりに聞く耳をもっているようだったので、解説してみました。


・問題
 P(℃)のお湯A(g)と、Q(℃)の水B(g)を混ぜると何℃になりますか
 (具体的な数字を文字にかえてあります)


・予習シリーズ(5年上第8回)の解き方

その1)
 P(℃)のお湯がQ(℃)の水より多くもっている熱量はA×(P-Q)カロリーで、この熱量を両方にあたえると考えると、A×(P-Q)÷(A+B)だけ温度が高められるので、水の温度Q℃にこれを加えて、A×(P-Q)÷(A+B)+Qとなる。 
その2)
 (A×P+B×Q)÷(A+B)の計算でもできます。


・解説
 予習シリーズにしては珍しく、説明が少し省略されており、1回読んだだけでわからないのは無理ないかもしれません。授業のときに先生が解説してくれたはずですが、忘れているのでしょう。娘はその2のやり方をなんとなく覚えていましたが、その1が何をやっているのかわからなかったようです。

 その1のやり方は理科実験的に考えると理解しやすいです。まず、P(℃)のお湯から熱を奪いQ(℃)に冷まします。また、この奪った熱はどこかに保管(?)しておきます。

  
  最初

   お湯:P(℃)、A(g)
   水 :Q(℃)、B(g)
  熱を奪った後

   お湯:Q(℃)、A(g)
   水 :Q(℃)、B(g)
   奪った熱:A×(P-Q) カロリー


この段階でお湯(水?)と水を混ぜると、同じ温度になっていますから、単純に


  混ぜた後
   お湯+水:Q(℃)、A+B(g)
   奪った熱:A×(P-Q) カロリー


となります。ここで、奪った熱をお湯+水にもどすと、温度の増加は


   A×(P-Q)÷(A+B)


ですから、混ぜたあとの温度は


  混ぜて、熱を戻した最終状態
   お湯+水:A×(P-Q)÷(A+B)+Q (℃)、 A+B(g)

 

となります。

 実は、その2の公式らしきものも、ほとんど同じ考えから導くことができます。この場合、お湯も水も0℃になるまで熱を奪います。


  熱を奪った後
   お湯:0(℃)、A(g)
   水 :0(℃)、B(g)
   お湯から奪った熱:A×P カロリー
   水から奪った熱: B×Q カロリー
   
この段階でお湯と水を混ぜ、


  混ぜた後

   お湯+水:0(℃)、A+B(g)
   奪った熱の和:A×P+B×Q カロリー


奪った熱を戻すと最終的な温度が


  混ぜて、熱を戻した最終状態
   (A×P+B×Q)÷(A+B) (℃)、 A+B(g)


と求まります。

 なお、他の導き方としては、最終温度をRとして、熱のやりとりが等しいという式


 (P-R)×A=(R-Q)×B


を変形する手がありますが、その2の式をだすためには、どうしても中学生的な移項が必要になってしまいます。ただし、問題によってはこちらの考え方が解きやすい場合もあります。


合不合予備2の結果がでました。

国語が今ひとつでしたが、全体では若干良くなっていました。

家の場合、母集団の差異を考慮しても、


 合不合(学判) > 組分け > 週テスト


の傾向があるようです。これはポジティブに考えれば、


 ・範囲のないテストに強い


となり、本番の入試に向けて心強いですが、ネガティブに考えると、


 ・難しい問題が不得手

 ・理社の定着が良いだけで、すぐに追いつかれる


となり、心配になってしまいます。


そこで、四谷のデータをもとに、まずは理社がどの程度牽引しているのかを調べてみました。


各科の牽引度を次のように定義します。


 (各科の素点-各科の平均点)/(総合の素点-総合の平均点)


合不合の場合、満点が算国は150点、理社は100点ですから、ざっくり言うと、この牽引度は算、国、理、社で0.3、0.3、0.2、0.2程度になるのが目安となります。ただし、各科の難易度や標準偏差の違いに、あるいは、受験生の層により、この値はかわってきます。


例として、四谷の成績管理にある「合不合配点シミュレーション」に公開されている上位校の志願者平均点を使って、上位校の志願者がどの科目で牽引しているかを計算しました。値は個々の学校にあまり依存せず、1日校(桜蔭、JG、雙葉、フェリス)の平均値は算:0.36、国:0.21、理:0.22、社:0.22でした。今回のテストは国語の点数が伸びにくかったようで、多かれ少なかれ算理社牽引になっていたと思われます。


娘の場合、この数字が0.34、*、0.25、*でしたので、国語の不振を他の3教科でカバーしたという全体傾向にはあっているものの、算数ではなく理社牽引タイプであったことは否定できません。


理社に強いこと自体は悪いことではないので、これを維持しつつ、算国の基礎固めをする有意義な夏休みを過ごしてもらいたいです。


p.s.

 志願者平均ではなく、各科の80%判定者平均(あるいは50-80%判定者平均)と個人の素点の差分を考えると、教科毎の合格への距離感がより明確になります。

  

p.s. 一部の数字を伏せました



 前記事の考え方を各回の偏差値が異なる場合に拡張して、複数回受験を考慮した偏差値表をつくってみました。ベースとしたのは、2012年入試の四谷大塚結果80偏差値一覧です。計算では50%と80%偏差値の差を4と仮定し、複数回受験校に関しては、全ての回を受験すること想定しています。また、国公立と午後受験が多い学校は除きました。


中学受験をサポートしているつもりですが...

ここで、黒字は受験機会が1回、青字は2回赤字は3回の学校です。


 四谷大塚の日付毎の偏差値表とは様子が異なっており、複数回実施の学校の実質的な偏差値が低下しています。そして、例のギャップ のところに、豊島岡、渋々、青学、白百合などが位置づけられます。

 この表を見ると、校風や通学時間などを考慮せず、偏差値だけに着目すれば、例えば、桜蔭、女子学院第1志望者の併願校は豊島岡、豊島岡第1志望者の併願校は鴎友、吉祥など(この場合は1日の偏差値61~62で考える)というのがバランスのとれた併願作戦という気がしてきます。一方、日付毎の偏差値表で考えると、ほとんど同じ偏差値の桜蔭(女子学院)と豊島岡を連続で受けることにリスクを過剰に感じてしまいます。


注意: 現実的に、複数回全て受験するのは第1志望や第2志望に限定されますので、下位志望校に関して上の表を使うのは誤りです。また、複数回全てを受験することの弊害として、他の学校の受験機会が減少することがあります。これを避けるためには1月校や午後受験を活用するしかなさそうです。


問題
 Aさんの志望校、T中学は3回受験機会があり、いずれの回も四谷80%偏差値が70の難関です。T中学では、合否が受験当日にインターネットで発表されるため、各回の結果を踏まえて次の試験にのぞむことができます。

 問1
 Aさんの持ち偏差値は67~68程度で80%偏差値には届いていません。Aさんが各回の試験に合格する確率を60%と仮定し、Aさんが3回受験した時に、T中学に入学を許可される確率を答えなさい。

 問2
 T中学を3回受験することを前提にした場合、入学を許可されるための実質的な四谷80%偏差値はおおよそいくつと考えられますか。合格確率と偏差値の間には下記の関係があると仮定しなさい。

偏差値 合格確率
 70   80.0%
 69   73.6%
 68   66.3%
 67   58.3%
 66   50.0%
 65   41.7%
 64   33.7%
 63   26.4%
 62   20.0%

(本表については昨年8月の記事を参照)

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 昨日、池袋まで学校説明会にいってきました。学習習慣が身に付いた子供たちと、熱心な先生方による勉強面での好循環だけでなく、学校行事やクラブ活動にも一生懸命に取り組んでいる様子が好印象でした。食堂のお楽しみランチや日替わりデザートも美味しかったです。
 ただ、偏差値上はトップクラスの難易度であり、3日連続で受け続けるというのはいくらなんでもリスクが高すぎるようにも思えます。そこで、冷静に見積もってみようと考えたのが冒頭の問題です。
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解答
(1) 94%
(2) 65

解説
 各回を1回受けたときの合格確率をpとします。もちろん1回目で合格する確率はpとなります。2回目に試験を受けるのは1回目に残念だった場合のみですので、2回目に合格する確率は(1-p)pとなります。同様に、3回目に合格する確率は(1-p)(1-p)pとなります。入学を許可されるためには1~3回のいずれかで合格すれば良いので、3回受験を前提とした場合の合格確率yはこれらの和、
 y=p3-3p2+3p
となります。
 問1ではp=0.6なのでx=0.936、すなわち合格率は約94%となります。問2ではy=0.8として、上の式を逆に解きます。数値的に解くとpは0.415となり、この合格確率は問題文に示された表によるとほぼ偏差値65に相当します。

 参考までに各回の合格確率と複数回受験時の合格確率の関係を下図に示しました。



 複数回受験すれば、合格確率があがるというのは当たり前の話ですが、こうして計算してみると、その威力はかなりのものがあります。偏差値が5も足りなくても、3回受験をすれば、80%偏差値に実質届くのですから。
 しかし、このおいしい話は本当に信用してよいのでしょうか。学校側からみると、偏差値表の数字の割には学力が劣る生徒がたくさん入学してしまうということにならないのでしょうか?
 からくりは、受験機会1回の学校が複数回に変更した場合を考えると理解できます。例えば、定員240人の学校が1回のみ入試から、80人づつの3回入試に変更したとします。このとき、他の要素を考慮しなければ、募集数が減少した分だけ合格最低点は上がり、偏差値表の80%偏差値は上昇するはずです。すなわち、複数回試験実施校の各回の偏差値は募集数減により水増しされた値なのです。今回の問題で計算した複数回受験時の実質的な偏差値は、この水増しされた値を本来の1回のみ入試の場合の値に戻した(近づけた)結果であると解釈すべきです。言い換えれば、1回の偏差値では届いていないが、複数回を考慮すると届いているという受験生は本来、この学校に入るべきお子さんなのです。
 まとめると、複数回受験校を強く志望する場合は、全ての回を受験し、確率を味方につけ、複数回受験を考慮した偏差値を基準に合格可能性を考えることが基本になります。逆に、志望順位が高いのに、1回のみしか受験しないというのは、自ら不利な状況に追い込むことになるため避けるべきではないかと思います。

前記事の筑駒の問題のつづきです。
考え方に書いたやり方で、何となくはできてしまうのですが、本当はもう少し考えを深める必要があります。以下、小学生に説明するのはあきらめて、数式を用いて話をすすめます。

前記事では暗黙のうちに板が軽く、その重さを無視できると仮定していましたが、板の重さを考慮した場合のつりあいの条件は、その重さをM、金属球の重さをmとすると、

-c(1+M/2m) < y-x < c(1+M/2m)

となります。これは板の重心(中心)に重さが集中していると考えれば、容易に導かれます。また、つりあいの条件が板の重さに依存し、板が重ければ、左右の金属球の位置のバランスが悪くてもつりあいが保たれるということは感覚にもあいます。

さて、筑駒の問題ですが、金属球の重さも板の重さも明示してありません。また、板の重さを無視してよいとも書いてありません。注目すべきは「木片の直上以外のくぼみに金属球を置くと板が傾く」という記述です。この事実から、金属球と板の重さの関係が導かれることに気づけかなくてはいけません。Aの隣のくぼみに金属球を置いたときに傾くという条件から、

mc > Mc/2

すなわち、

0 < M/2m < 1

となり、板の重さは金属球の2倍未満であることがわかります。この関係を最初のつりあいの条件に当てはめ、y-xがcの倍数であることを考慮すると、つりあいの条件は

y-x =c、-c、0

となります。簡単にいうと、アンバランスな配置はくぼみ1間隔分までokで、2間隔分になると傾くことになります。