春の四谷の入試報告会で主要校の出題傾向を分析した資料が配布され、参考にパラパラと読んでいました。理科に関しては、予習シリーズで基本事項をしっかり身につければ対応できるとの記載が多くありました(特に女子の場合)が、その中で例外的に、超難問とされていたのが筑駒のてこの問題でした。中学入試レポート2012には、


 ・10年以上不動の大問
 ・力学視点に細かい場合分けで調べ上げる要素が加わり、難解さ際立つ
 ・制限時間内で処理することは難しい超難問なので、得点にはあまり差がつかない


とあります。首都圏最高レベルの受験生が、出題されることを予測し、十分に訓練しているにもかかわらず、解くことができない問題というのはどんなものなのでしょうか?四谷大塚の過去問サイトからダウンロードして、挑戦してみました。


問題の概略

 下図のように等間隔にくぼみを設けた板を角材の上でバランスさせます。問1~3ではではくぼみの上に金属玉を5個乗せた状態から、バランスを崩すことなく、金属玉を取り除く手順などが問われています。問4ではA君が金属玉、B君がピンポン玉(重さは無視できる)を交互に置いていき、A君が板を傾けさせたら負けというゲームの打ち手が問われています。


中学受験をサポートしているつもりですが...

この問題の難しさは四谷のレポートにあるように、
 ・力学的に現象を捉えること(理科)
 ・場合分けをして調べること(理科+算数)
にあります。大人が取り組んでも5分や10分では終わりませんので、一般受験生が解ける必要は全くありません。しかし、筑駒の先生が毎年出し続けていることや、実際に解いてみて面白いこと(パズル的)を考慮すると、将来の理系女子であれば、時間があるときに取り組むだけの教育的価値はあるように思います。


以下、四谷のサイトには解説が無いので、主に力学的部分について考え方を書いてみます。一部ネタばれになりますので、自力で楽しみたい方は読まないでください。


考え方
 問題を少し簡単にして、下図のような重さの等しい金属玉が2個ある場合の傾く条件を考えます。最初に、数式を使って、力学的に現象を捉えてみます。

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まず左下に傾く条件は支点がAになるので、

  x > y + c

となります。一方、右下に傾く条件は支点がBになるので、

  x+c < y

となります。棒が傾かないのは上記以外の場合、すなわち、

 x-c<y<x+c

となります。この条件は

 -c/2<(y+c-x-c)/2<c/2

と変形すれば、2つの金属玉の重心がAB間にあることを意味していることがわかります。


小学生に、このように式を使って力学的な条件を場合分けすることを要求することは酷かもしれません。実際には、左下に傾くかどうかは支点Aからの距離で調べ、右下に傾くかどうかは支点Bからの距離を基準にして調べ、どちらにも傾かない条件をさがすという方針で、具体的な問題を解いていきます。このとき、支点Aを使っているときは右下への傾きを考える必要はないということに注意する必要があります。

力学的現象が把握できれば、あとは頑張って場合分けするだけですが、取り除く手順の問題に関しては定石どおり(?)、逆(ゴール)から考えたほうが解きやすいかもしれません。



 今回は理科のサポートをするつもりだったのですが、娘に拒絶されてしまい、最初の導入を少しと、週テストなどで間違えた問題のチェックくらいしかできませんでした。組分けでは、水圧、ばね、浮力はほぼ出来ていましたが、私の成果ではないのが少し残念です。

 全体的には算数の落ち込みを理社国でカバーするという、いつものパターンでした。算数はこれから伸びると信じてきましたが、このままであることも想定しなくてはいけません。


さて、恒例の残留率です。


旧S 旧C 旧B 旧A
新S 69% 12% 0.5% 0.0%
新C' 28% 44% 10% 0.2%
新BA他 3% 43% 90% 99.8%


  表の見方)
   数字は縦にみてきます。例えば、旧Sの列と新Sの行の

   クロスしたところにある69%は「前回Sだった人の69%が

   今回もSになった」ことを意味し、いわばS残留率(キープ率)を

   示しています。


いつものようにS残留率は7割弱でした。
女子比率はSコースで34%、S1で約21%であり、S1ではまたも過去最低を更新してしまいました。S1(C1)の女子比率が40~50%のこともあった4年や5年の頃が懐かしいです。当時はうちでも算数が稼ぎ頭でした...

 なお、S基準やS1、S2・・・基準は前回より9~10点上がっています。これは平均値の増加(+2点)を上回っています。第2回が平均点のわりに、上位層が点を取りにくいテストであったのに対し、今回は上位層が相対的に点を取りやすいテストだったようです。

中学受験理科の最終コーナーである力学がはじまりました。


力学の基本は、注目している物体にはたらく力(重力、抗力、張力、ばねの力など)を漏れなく書きだすことです。力が全てわかれば、あとはつりあいの条件(+拘束条件)から問題を解くことができます。

簡単な例として、机の上の箱にはたらく力を子供に質問しました。


中学受験をサポートしているつもりですが...


「重力」、「机が箱を支える力(抗力)」と、ここまでは正解だったのですが、「空気の重さ」と答えたのはは想定外でした。確かに、空気は軽いから無視してよいというのは誤りであり、第11回で学んだように1cm2あたり約1kgもの力がはたらいています。


しかし、普通、小学校から高校までの力学では空気の重さの影響は考えません。もっともらしい説明は「箱の周りには空気があるので、四方から押されており、空気の影響は第13回で習う水中の浮力と同じになります。ただし、空気は水よりはるかに軽いから、普通の固体であれば、空気による浮力は無視できるほど小さく、その影響を考える必要はありません。」でしょうか。

しかし、この説明をしつつ、四方から押されていると言ったけど、箱の下には机が接していて、空気はないようにみえるなあとか、完全に密着しているわけではないから、空気が隙間にはいっていっているのかもしれないが、この少しの空気で浮力になるのだろうかなど、少々自信がなくなってきました。


実はこの疑問は、理科教育の世界でかつて大論争になった「水の底に置かれた物体に浮力は働くのか」と等価なものです。論争の経緯や正しい解釈は東大寺学園の先生が書かれた「水の底にピタリと着床すれば浮力は無くなるの?」を参照いただくとして、ここでは、つりあいの考えを使って、小学生でもわかるように説明したいと思います。ポイントはアルキメデスの原理を文字通り受け取り、そのメカニズムとして水圧などを考えるところにあります。


1)水中の場合


中学受験をサポートしているつもりですが...  

   A         B        C


 上図のように水を入れたビーカーを考えます。水は対流などが無い静かな状態にあるとします。Aのように赤破線で囲まれた部分の水に注目すると、この部分にかかる力は重力と赤破線の外から受ける力の2つです。対流は無いと仮定しているので、この部分の水は静止したままですから、この2つの力はつりあっていると考えることができます。すなわち、赤破線の外から受ける力はこの部分の水の重力と同じ大きさで逆向きとなります。この逆向きの力が浮力です。
 Bのように水以外の物体を水中に沈めた場合、その物体に働く力はその物体の重力と上記の浮力の2つです。最初に示した水の場合と物体の場合で浮力が等しくなるというのはミクロに見ると保証されていない気もしますが、そこは原理ということで受け入れましょう。
 Cのような物体の上下での水圧の差(予習シリーズ11回)は浮力の生じる理由を細かく説明するためのものと考えます。


2)水底の場合

中学受験をサポートしているつもりですが...

   A         B        C

 

 物体が底にある場合も浮力の考え方は全く同じです。今度はAのような赤破線で囲まれた部分の水に注目します。この部分の水も静止していますから、この部分にかかる重力と赤破線の外から受ける力の2つはつりあっています。すなわち、底の部分の水にも赤破線の外からこの部分の水の重力と同じ大きさで逆向きの力がはたらきます。
 当然、Bのように水以外の物体を水の底に沈めた場合も、その物体にはその物体の重力と上記の浮力の2つがはたらくことになります。
 水中にある場合との違いは浮力の発生するメカニズムが水圧だけでは説明しにくいことです。物体と底の間に全く水がなければ、下から押す水圧ははたらきませんので、ビーカー底面からの抗力の「一部」がその役割を果たします。部分的に水入っていれば、水圧と抗力の「一部」の合計がその役割を果たします。ここで「一部」といっているのは、抗力の全てが浮力に寄与しているわけではないためです。


 アルキメデスの原理は、物体の位置に対する言及はありませんから、上記のように浮力は水の中のどこでも一定と考えたほうがわかりやすいと思います。ただし、水底で浮力を考えた場合、物体にはたらくと計算される抗力が浮力分だけ調整された値になることに注意する必要があります。

 なお、水圧差によるものを浮力として定義して、底面では浮力ははたらかないと考えることも可能です。ただし、、この場合は、物体が底にある場合だけを特別扱いして、物体の上面の水の重さ考慮する必要が生じます。


   中学受験をサポートしているつもりですが...


子供が講習に行っている間、前回組分けの資料を見ていて、気づいたことがあります。結論を言うと、


 ・ある程度の上位層にとっては、全体の平均点は良い指標とならない。

 ・それゆえ、偏差値も良い指標ではない。


です。


6年第2回の組分けは第1回よりも平均点が28点上がっており、比較的易しいテストだったというのが全体的な評判でした。しかし、組分けの基準点をみると


 S: +9

 C: +22

 B: +34


となっており、上位のコースほど、平均点の割には基準点が上がっていないことがわかります。さらに、順位表から、100位づつ区切って、Sの詳細コースの基準点を推定すると、

 

 S1: -5

 S2: +1

 S3: +4

 S4: +4

 S5: +6

 S6: +8


となり、S1に至っては、第1回より基準点が下がっています。すなわち、第2回の組分けは、全体の平均点の差が示すほど上位層にとって易しい問題ではなかったということです。実際、正答率表をみると、第2回のほうが、算数、理科で極端に正答率が低い問題が多かったようです。


また、偏差値は全体の平均点からの差分を基に計算しますから、第2回のように中下位層には点が取りやすく、上位層には点が取りにくい場合、どうしても低めの値になってしまいます。従って、異なる回の偏差値の増減を細かく比較するのも、あまり意味のあることではありません。


やはり、母数があまり変わらないのであれば、単純に順位を目安として立ち位置を確認するのがベターでしょう。順位にも算数1問で数字が大きく変わるという難点がありますが...






これまでの組分けでは復習を後回しにして、当日午後はのんびりしていたのですが、今回から、自己採点をすることにしました。いきなり、電流と方位磁石の問題で「左手の法則」を使っていることが発覚し、大量失点です。
鉛筆を持っているため、左手を使ってしまう子がいるという話は聞いたことがあったのですが、目の前にいるとは思いませんでした。2度と同じ誤りをしないと信じています。


他教科も出来がよろしくありません。全体的に丁寧さを欠いた印象です。また、いつも稼いでくれる理社の仕上がりが悪かったようです。次回の組分けは学校行事に時間を取られるため、この調子では心配だということで、「しっかりサポートせよ」との命が下されました。


さて、恒例の残留率です。


旧S 旧C 旧B 旧A
新S 68% 14% 0.3% 0.0%
新C' 26% 49% 11% 0.3%
新BA他 6% 37% 89% 99.7%


表の見方)
   数字は縦にみてきます。例えば、旧Sの列と新Sの行のクロスした

ところにある68%は「前回Sだった人の68%が今回もSになった」ことを

意味し、いわばS残留率(キープ率)を示しています。

S残留率は7割弱でいつものペースでした。
女子比率はSコースで36%、S1で約23%であり、Sコースでは女子が健闘していますが、S1では過去最低を更新してしまいました。平均点が高いので、女子優位かとおもったのですが。やはりS1ともなると、算数の正答率10%~20%の問題を解けるかどうかが明暗を分け、平均点は良い指標にならないのでしょうか?