Aさんの志望校、T中学は3回受験機会があり、いずれの回も四谷80%偏差値が70の難関です。T中学では、合否が受験当日にインターネットで発表されるため、各回の結果を踏まえて次の試験にのぞむことができます。
問1
Aさんの持ち偏差値は67~68程度で80%偏差値には届いていません。Aさんが各回の試験に合格する確率を60%と仮定し、Aさんが3回受験した時に、T中学に入学を許可される確率を答えなさい。
問2
T中学を3回受験することを前提にした場合、入学を許可されるための実質的な四谷80%偏差値はおおよそいくつと考えられますか。合格確率と偏差値の間には下記の関係があると仮定しなさい。
偏差値 合格確率
70 80.0%
69 73.6%
68 66.3%
67 58.3%
66 50.0%
65 41.7%
64 33.7%
63 26.4%
62 20.0%
(本表については昨年8月の記事を参照)
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昨日、池袋まで学校説明会にいってきました。学習習慣が身に付いた子供たちと、熱心な先生方による勉強面での好循環だけでなく、学校行事やクラブ活動にも一生懸命に取り組んでいる様子が好印象でした。食堂のお楽しみランチや日替わりデザートも美味しかったです。
ただ、偏差値上はトップクラスの難易度であり、3日連続で受け続けるというのはいくらなんでもリスクが高すぎるようにも思えます。そこで、冷静に見積もってみようと考えたのが冒頭の問題です。
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解答
(1) 94%
(2) 65
解説
各回を1回受けたときの合格確率をpとします。もちろん1回目で合格する確率はpとなります。2回目に試験を受けるのは1回目に残念だった場合のみですので、2回目に合格する確率は(1-p)pとなります。同様に、3回目に合格する確率は(1-p)(1-p)pとなります。入学を許可されるためには1~3回のいずれかで合格すれば良いので、3回受験を前提とした場合の合格確率yはこれらの和、
y=p3-3p2+3p
となります。
問1ではp=0.6なのでx=0.936、すなわち合格率は約94%となります。問2ではy=0.8として、上の式を逆に解きます。数値的に解くとpは0.415となり、この合格確率は問題文に示された表によるとほぼ偏差値65に相当します。
参考までに各回の合格確率と複数回受験時の合格確率の関係を下図に示しました。
複数回受験すれば、合格確率があがるというのは当たり前の話ですが、こうして計算してみると、その威力はかなりのものがあります。偏差値が5も足りなくても、3回受験をすれば、80%偏差値に実質届くのですから。
しかし、このおいしい話は本当に信用してよいのでしょうか。学校側からみると、偏差値表の数字の割には学力が劣る生徒がたくさん入学してしまうということにならないのでしょうか?
からくりは、受験機会1回の学校が複数回に変更した場合を考えると理解できます。例えば、定員240人の学校が1回のみ入試から、80人づつの3回入試に変更したとします。このとき、他の要素を考慮しなければ、募集数が減少した分だけ合格最低点は上がり、偏差値表の80%偏差値は上昇するはずです。すなわち、複数回試験実施校の各回の偏差値は募集数減により水増しされた値なのです。今回の問題で計算した複数回受験時の実質的な偏差値は、この水増しされた値を本来の1回のみ入試の場合の値に戻した(近づけた)結果であると解釈すべきです。言い換えれば、1回の偏差値では届いていないが、複数回を考慮すると届いているという受験生は本来、この学校に入るべきお子さんなのです。
まとめると、複数回受験校を強く志望する場合は、全ての回を受験し、確率を味方につけ、複数回受験を考慮した偏差値を基準に合格可能性を考えることが基本になります。逆に、志望順位が高いのに、1回のみしか受験しないというのは、自ら不利な状況に追い込むことになるため避けるべきではないかと思います。