後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

令和6年年金財政検証が公表。年金財政は改善。

1.7月3日に、令和6年年金財政検証が公表されました。今回の財政検証では、近年の女性や高齢者の労働参加の進展、積立金の運用が好調であったことにより、5年前の前回の財政検証と比べて、将来の給付水準が上昇し、1人当たり成長率をゼロと見込んだケースを除き、将来にわたって所得代替率50%を確保できることが確認されました。この結果を踏まえれば、公的年金制度の持続可能性が確保されていることが改めて確認されました。

                    

2.今後は、今般の検証結果も踏まえて制度見直しに向けた具体的な検討を進めていくこととし、来年度の国会に年金関係法制改正案を提出することになります。その際には、①被用者保険の適用拡大などを通じた働き方に中立的な社会保障制度の構築、②全国民に共通する基礎年金の給付水準の確保、といった視点の下、検討を進めることが重要です。年末の社会保障審議会年金部会に向けて関係者と丁寧に議論を進めていきます。

 

3.厚労省からは、基礎年金の拠出期間の延長(45年化)については断念した旨の発言がなされました。厚労省は基礎年金の給付水準については、被用者保険の更なる適用拡充等を通じた改善は必要だと考えていますが、今回の財政検証及びオプション試算の結果を踏まえると次期法案改正において、基礎年金の拠出期間を延長(45年化すなわち65歳まで)し、国民に追加的な保険料負担を求めてまで給付水準を改善する必要性は乏しいと考えたと説明しています。私としては、給付改善と負担上昇の選択肢についてはなるべく幅広い選択肢について、国民の間で議論すべきものと考えます。

新たな経済産業政策のターゲット。

1.成長と分配の好循環』を実現するためには、生産性の向上を図ることが不可欠です。現在の人手不足は、生産性向上投資の最大の阻害要因となっており、何としても、生産性の低い分野から生産性の高い分野に、解雇なき労働移動、就業構造・産業構造の見直しを強力に進めることが必要です。

      

2.過去25年間にわたって、先進国の中で日本だけがデフレを続けたのは企業がコストのマークアップによる適切な価格付けを行わず、そのつじつま合わせに、賃金と下請への支払いの抑制を続けてきたからです。デフレ脱却のためには物価に負けない賃金の引上げという「物価と賃金の好循環」が必要であるという考え方そのものについては、この2年間で社会共通の認識となり、経済は「新たなフェーズ」に入ったといえます。ただし、生産性の向上なくして「物価と賃金の好循環」のみで、安定的・継続的な「成長と分配の好循環」が実現されるわけではありません

 

3.アメリカ経済は現在絶好調であり、日本とのファンダメンタルズの差は、ドル高円安につながっています。アメリカは5.5%という禁止的に高い政策金利のもとで、インフレなき3%成長を続けています。新型コロナ下、アメリカではレイオフが行われ、職を失った若年労働者が1,700万人、バイデン政権の移民政策の変更で500万人近い移民が流入し、そのうち高度な労働の可能な移民は300万人、合計2,000万人以上が一斉に生産性の高い市場に流入したからです。

 一方で、日本はコロナ下で国民の命を守ることに全力をあげる【実際、欧米に比べ死者は1/10から1/15に抑制】ために、感染症対策の社会規制を続け、雇用調整助成金【解雇を行っていない中小企業では10/10、大企業では4/5の助成】により、休業補償をすることで、この間従前の就業構造をロックインする結果となりました。

 

4.新たなフェーズに入った今、政府は解雇なき、すなわち失業なき、就業構造、経済構造の変革を行うことで、生産性の高い分野に労働移動を行い、賃金を引上げ、生産性向上投資を進めていくことを、政策目標の基本的考え方として明確に掲げることが必要です。『三位一体の労働市場改革』の議論は全く正しいと考えますが個人ベースの対応だけでは間に合いません。そうした政策目標を実現するための具体的政策の出口【①企業サイド、産業サイドからの生産性向上のための合併、Ⅿ&Aを推進するための中小企業事業再編投資損失準備金制度の大幅拡充(積立上限100%措置期間を10年)。②合併・統合による生産性向上メリットのある従業員2,000人以下を中堅企業として位置づけ、 (ⅰ)税制としては、6%の税額控除の創設(上記①の税制も適用)、(ⅱ)助成としては、補正予算で3,000億円を計上。】も準備しつつあります。加えて大企業については、単にマーケットに任せるのではなく経済産業省などの強力なリーダーシップによる合併、事業譲渡などの構造改革といった対応が、国家戦略として足元必要となります。

 

 

旧優生保護法国家賠償請求の最高裁判決

1.7月3日に旧優生保護法国家賠償請求の最高裁判決が示されました。最高裁判決では、次のような判示がなされ、国が全面敗訴しました。

(1)   旧優生保護法の規定は違憲(憲法第13条・第14条1項違反)。

(2)   国会議員の立法行為は、国賠法上違法

(3)   国の除斥期間の主張(損害賠償請求権の消滅)は信義則に反し、権利濫用として許されない。

      

2.同判決を踏まえて、同日(7月3日)、岸田総理大臣より、早速次のような指示が、政府、党関係になされました。

原告団等との面会を7月中に実施すること。

②国会ともよく相談し、新たな補償の在り方について可能な限り早急に結論を得られるよう検討すること。

 

3.旧優生保護に関する超党派議連(田村憲久会長)が7月9日に開催され、『新たな補償の在り方等を検討するためのPT』を設置することとされました。PTの座長には、立憲民主党の西村智奈美議員が決定されました。原告団や関係者の方々から要請があったことから、今後臨時国会を視野においた議員立法や国会決議の必要性について検討することとなりました。

 

4.本件については、政府では、母子保健に関する行政としてこども家庭庁が担当することとなったこともあり、自民党側については、「こども・若者」輝く未来創造本部が担当することとなりました。田村議連会長とも相談の上、新たな補償の在り方等を検討するため、同本部にプロジェクトチームを設立することとしました。

 

5.今後のスケジュールは以下の通りです。

(1) 7月16日 衆参議運開催(所管委員会に判決の参考送付)。

(2) 7月17日 総理と原告団・弁護団・支援者の面会予定

7月中下旬 超党派議連において検討を開始することになると考えられます。

 

 

 

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>