2月、田中様ご夫妻が相続税の無料相談のため来所されました。
昨年の10月、奥様よし美さんの母 山田節子さん(69歳)が亡くなりました。
相続人は、父山田正夫さん(71歳)と、よし美さんの弟の山田信二さん、合計3人です。
すでに3人で遺産分割協議は進められており、
「2次相続を考慮して、母の財産はすべて子ども2人で相続しようと、
父と弟と相談して決めてきました。
父の預金にも余裕がありますし、
何かあった時は私達が面倒みようと思っています。
だいたい母の相続税の目安もつけましたが、
さすがに申告書を作るのは難しそうなのでお願いにきました。笑」
とのことでした。
相続税の申告に向けて、財産のこと、これまでの生活のことなどいろいろなお話をお聞きします。
母 山田節子さんの財産は預貯金のみで、約9,000万円。
父 山田正夫さんの財産は、不動産と上場株式・預貯金で、合計約1億5千万円とのこと。
たしかに、2次相続(夫である正夫さんの相続)のことを考えると、
正夫さんは節子さんの財産を相続しないほうが、
山田御一家で考えた時の相続税の総額は少なくなりそうです。
さらにお話しをうかがっていくと、父 正夫さんは目に障害をお持ちで、
障害者手帳の交付を受けているということがわかりました。
相続人が障害者である場合、障害者控除という制度があります。
詳細は割愛しますが、障害をお持ちの相続人(正夫さん)は、
計算された相続税額から、一定額をマイナスすることができます。
(注:夫である正夫さんは、配偶者控除により実際には税金はゼロになります。)
相続税額-障害者控除額=納税額
そして、正夫さんの相続税から障害者控除額を引ききれない時は、
残りの控除額を障害をお持ちでない他の相続人(よし美さん・信二さん)と分け合うことができます。
ただし、この障害者控除を使うためには、
障害者である相続人(正夫さん)が財産を相続する必要があります。
正夫さんがまったく相続しない場合は、
当然よし美さんも信二さんも障害者控除を使うことはできないのです。
当初 父正夫さんは一切相続しない・・・というお考えでしたが、
一部の財産を正夫さんが相続し障害者控除を適用することで、
よし美さんと信二さんの相続税が250万ほど少なくなりました。
相続税にはさまざまな控除制度があります。
生前にできる対策だけでなく、
亡くなった後にも活用できる制度がありますので、ぜひ確認いただければと思います。
*すべて仮名です*
丹下 優子