先日、お父さんが亡くなって、娘さんとお母さんが相続の相談にお見えになりました。
娘さんいわく、「お父さんの出生から死亡の戸籍を取得したが、
どこまでが相続人がわからない」とのこと。戸籍を確認すると、
お父さんと養子縁組をしている方がいました。
お母さんが「実は、私の前の主人との息子で、
相続の時に養子にしておいた方がいいと言われ養子縁組した」とのことでした。
お父さんと養子縁組した息子さん(お母さんの連れ子)は相続人になりますが、
今どこにいるかわからず、連絡もとれないとのこと。
以前は、たまにふらっと顔を出したりしていたようですが、
ここ7~8年は会っていないとのことでした。
(ちなみに、養子縁組をしていなかった場合は相続人になりません)
お父さんは遺言書を作成していなかったので、
相続人全員でお父さんの遺産をどのよう分けるかを話し合って決めなければなりません。
そして、話し合って決めた内容が書かれた「遺産分割協議書」に
相続人全員が署名捺印したものがなければ不動産の名義変更や預金の解約はできません。
今回のケースの場合、養子になった息子さんを探して相続人全員で
遺産分割協議を成立させなければなりません。
まずは、行方がわからない息子さんの住所を調べ、配達証明付で手紙を出しました。
手紙の内容は、息子さんに法定相続分4分の1の預金を
相続してもらう方針でどうかという内容にしました。
幸い息子さんと連絡が取れ、お母さんと娘さんの希望の方針で
納得してもらえることになりました。
そして無事、遺産分割協議書に相続人全員が署名捺印することができました。
今回は、疎遠になっている息子さんと連絡がとれ、
遺産分割協議もまとまったので良かったのですが、
息子さんの行方がわからず連絡がとれなかった場合、
お父さん名義の不動産を相続人に変更することはできません。
又、預金も解約できないため、お金を引出して葬儀費用や生活費に充てることもできません。
このように相続人と疎遠になっているケースは少なくありません。
生前に遺言書を作成しておくなど、事前に準備できることはしておくとよいでしょう。
遺言書があれば基本的には相続人全員での遺産分割協議は必要ないので、
遺言書の内容に従って手続きが可能です。
ただ、後で遺言書の有効性などについてトラブルにならないように
公正証書遺言(第三者である公証人が作成する遺言書)を作成することをお勧めします。
(注)配偶者、子、親が相続人の場合、遺言で遺産をもらえなかった人でも、
最低限遺産をもらえる遺留分という権利がありますが、兄弟姉妹には遺留分はありません 。
担当:江原智恵子


