「節税対策」「生前贈与」「遺言作成」
将来の相続のことを考えると出てくるキーワードです。
その中で今日は、90%の方が相続・贈与の面で有利になる制度をご説明いたします。
まず、贈与の主な方法として
1.相続時精算課税制度
…基礎控除110万円を超えた贈与は累計2,500万円まで贈与税はかからない。
ただし、相続時に相続財産に加算され、相続税が課税される。
2.暦年贈与
…1月から12月の1年間での贈与額が110万円以下であれば贈与税がかからない仕組みを用いた贈与の方法。
超えた部分は贈与税がかかる
が挙げられます。
今回はズバリ「相続時精算課税制度」です。
2024年1月以降、大幅に改正されて使い勝手が良くなりました。
相続時精算課税制度の主な特徴
・累計2,500万円までは贈与税がかからない
・年間110万円の基礎控除がある
・選択するには届出が必要
・一度選択すると暦年贈与制度は選択できない
改正前までは、相続時精算課税制度の適用を受けた場合は、
110万円の基礎控除の枠は使えませんでしたが、
改正後はそれが使えるようになったのがポイントの一つかと思います。
さらに、相続開始前7年間に贈与された財産であっても、
基礎控除110万円以下であれば、相続財産に加算する必要がありません。
出典:令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
難しいので、事例をあげて簡単にご説明したいと思います。
改正前に起きていた問題として、
相続時精算課税を使って贈与した翌年以降に110万円以下であれば非課税と思い、
贈与したケースが挙げられます。
例えば、
XX1年に相続時精算課税を使って2,000万円を贈与して、
その翌年に110万円を贈与した場合
亡くなった時には、相続税を計算する際の財産には
2,110万円を手元の財産に加えて計算する必要がありました。
結果、1億円が相続税の対象となります。
また、110万円の非課税を使えず、XX2年の贈与についても贈与税の申告が必要でした。
2024年の税制改正により、「相続時精算課税制度の基礎控除の新設」がされたことにより、
相続時精算課税制度を使っている場合でも、
年間110万円は非課税で贈与できるようになり、
申告も不要となりました。
そして、その非課税の範囲で贈与した分は相続財産に加える必要がなくなったので、
年間110万円までであれば完全に非課税にすることができます。
相続財産に加える金額は1,890万円になります。
9,780万円が相続税の対象になる財産です。
基礎控除が新設されたことによって、
110万円×2年分は完全に非課税で財産を渡すことができました。
では、暦年贈与と相続時精算課税どっちがいい?ですよね。
結論は、相続時精算課税を選択した方が有利なケースが増えるでしょう。
実際に相談を受けていて、そのようなケースが多いと体感しています。
相続時精算課税が有利になる人は、
・元々相続税がかからない人
・見込まれる相続税が少額な人
・7年以内に亡くなることを心配する人
が主に考えられます。
そもそも、相続税がかかる人の割合について、皆さんご存知でしょうか。
令和5年12月に国税庁が発表した「令和4年分相続税の申告事績の概要」
150,858人÷1,569,050人=9.6% ※申告書が提出された被相続人(死亡者)÷死亡者数
つまり、おおよそ10人に1人しか相続税の申告手続きは必要ないわけです。
冒頭で90%の人が有利になると申し上げた理由です。
担当:中澤