関与先の経営者の方からのご相談の一つに「役員退職金の準備」があります。
かつては「法人向けの積立型保険に加入し、
保険料を損金(経費)に落としながら貯める」という手法が王道でした。
しかし、相次ぐ税制改正や、金利のある世界となった今、
「万が一の保障は安い掛捨て保険にして、
積立保険との浮いた差額分を自分で株式や債券で運用した方が、
結果的に会社のキャッシュは増えるのではないか?」
という視点を取り入れて貯め方の提案をしています。
そこで今回は、実際にエクセルを使って「25年分のシミュレーション」を行いました。
●今回のシミュレーション条件
40歳の社長が、65歳で退職するまでの「25年間」で比較。保障内容は「死亡保障1億円」。
・プランA(積立保険)
年払保険料:240万円(4割損金/6割資産計上)
65歳時の実質受取額:6,488万円(毎年の節税分+解約返戻金)
・プランB(掛捨て保険+残金を自分で投資)
保障は掛捨て(最初の10年は年27.4万円、次の10年は年54.3万円、
最後の5年は年131.2万円)。
プランAの240万円との「差額」(年間約108万〜212万円)を、毎年投資に回す。
プランB(掛捨て+投資)を選んだ場合、
Aプランの解約返戻金額6,488万円に並ぶために必要な運用利回りを計算したところ、
以下のような結果になりました。
〇複利運用の場合:年利 約 3.45%
〇(参考・単利運用の場合:年利 約 4.25%)
現在、米国株S&P500などの長期的な平均利回りは
8%程度と言われていることを踏まえると
「年利3.45%」は、「現実的であり、十分に達成可能な数字」と言えます。
数字の効率だけで言えば、「掛捨て保険+堅実な投資」のほうに
軍配が上がる可能性が高いですが、積立保険とは違い、
投資は運用の成果次第で元本割れのリスクがあり、
退職金額が保証されていないことに注意が必要です。
シミュレーションの結果、数字の上では「掛捨て+投資」が魅力的ですが、
経営には「数字の効率」だけでなく、「社長の安心感」や「本業への集中度」も大切です。
・投資の増減に一喜一憂せず、確実に6,000万円を確保して本業に100%集中したい
→積立保険が向いています
・元本割れリスクを理解した上で、1円でも多く会社のキャッシュを最大化したい
→掛捨て+投資の組み合わせが向いています
金利のない世界では、「保険積立」という考え方が主流でした。
しかし金利のある世界となった今「掛捨て+投資」という考え方も出てきました。
お金の貯め方について世の中の常識が変わってきてると感じています。
担当:中瀬 拓哉

