日本で云う「国民健康保険」に当たるのが、豪州では 「メディケアー」Medicareと呼ばれています。
働く国民の殆どがMedicare Cardを保有していますが、給与所得者は課税対象額の1.5%(高額所得者は2.5%)を毎月天引きされます。
メディケアーカードがあれば、基本的には豪州政府が医療費(治療費)のほぼ全額を負担してくれる安心医療システムだからです。
プライベート保険は経済的に余裕のある層が加入します。 日本では高齢者になると強制的に加入させられる「介護保険制度」がありますが、豪州ではありません。但し、公立病院は常に混んでいてなかなか予約が取れないので、プライベート保険加入者は 民間病院にて診察を受ける場合も多くみられます。
Medicare Card 保持者は、身体の具合が悪くなれば まず「掛かりつけの医者」GP(ジーピーと呼ぶ) General Practice に予備診察を受けて、その先生の進めるスペシャリストに精密検査をしてもらうことになります。
歯科・耳鼻科・眼科・皮膚科・泌尿器科・脳外科・脳神経外科・精神科・産婦人科・小児科・消化器科など各種窓口。したがって、日本のように直接、みずから選んだ病院に通院することはありません。
GPに相談する際に、知り合いの口コミなどで予め評判を聞いておれば「○○病院の○○先生に紹介状を書いて欲しい」と言えば希望は叶います。
私事ですが、日本に住んでいた頃より今日まで、日頃から健康で かなり体力に自信を持っていたのですが・・・・・先日、シドニー・テリーヒルを散歩中に突然、両ひざがシビレて歩行困難に陥り、その場に座り込みました。
自力で立つことができない状態となり、救急車で Royal North Shore Hospital (関西で言う阪大、京大病院のような権威のある病院)
に運ばれました。 脳外科の先生、神経外科の先生と両窓口にお世話になり、MRI 3回、CT Scan 1回、合計4回精密検査をしたのですが脳のマヒ、神経のマヒも画像に現れず、両ひざの痺れの原因が特定できませんでした。
精密検査の結果、両先生方の推定は・・・後頭部から背中にかけて毛細血管の血流がわるくなってしびれた・・・Thiamineチアミン(ビタミンB1)不足。
専門用語: 後部循環発作 Posterior circulation stroke という病気。(但し、断定できず)アルコールを呑むとチアミンが減少するとか・・・
または、血管のつまり small Bessel disease という診断で、結局10泊11日間入院しました。
入院中は、24時間心電図チェックの他に、2-3時間おきに、血圧、脈拍、体温の3種目の測定、加えて、アスピリン、チアミン(ビタミンB1)の薬が提供されました。
病院での食事は想像以上によくて朝、昼、晩とも Congee(おかゆさん)が提供されましたが、洋食が主流、当然、和食はまったく期待できません。食事の間、午前と午後2回、コーヒー、紅茶など喫茶の注文(無料)があります。プライベート保険に加入していたので、毎日献立表が届けられて食事内容、希望のメニューが選択できる良心的な病院でした。
シドニーで入院すると、1泊につき300ドル~500ドルが相場なので、宿泊代10泊3,000ドル、MRI、CTスキャンなどの検査費用、お医者さん・看護師の診察費、救急車の費用を含むと 約8,000ドル前後は掛かったと思うのですが、退院時の請求額は なんと~無料! ゼロ円でした。
Medicare Card(日本の国民健康保険のような制度)+任意保険 Private保険(Medibank, Bupa, HCFなど)に加入していれば 最低総費用の30%ですむと覚悟していたのですが予想外のよい待遇にビックリしました。
加えて、退院後、自宅に無料看護師が出張に2週間毎日、健康度のチェック、私の場合はThiamine チアミンの注射があるので、その指導に来てくれます。
私の管轄地区は Ku-ring-gai クーリンガイ地区・市役所所属の約20名の看護師がフルタイム勤務、近隣地区の患者さんを一人当たり1日約10軒の個人宅を訪問介護するシステムがあります。 各地区により出張看護師の人数は異なりますが、個別訪問ケアーはオーストラリアの無料医療制度の一環です。
そして、2週間が過ぎると、今度は地域の病院( 私の周辺では Macquarie Hospital )から無料長期ケアー介護士が 在宅看護をしてくれます。
個人の病状によって1年から2年以上ケアーする場合もあります。 何れにしても早く退院させて 国民の税金負担額をより低く抑えるシステムなのです。