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微笑みながら話し掛けてきた神威。
神威が微笑んでるのはいつものことで、むしろ微笑んでない方が珍しい。
そういったイメージが、転校してきて一日で神威にはつけられていた。
もちろん、神威の笑みには悪意があるわけでもないのだが、今の総悟にとってその笑みは不快極まりないもの。
総悟は肩に置かれた相手の肩を振り払い、敵意を剥き出しにする。
「…だったら何だってんでィ。
何か用でもあるのかィ?」
鋭い目で睨む総悟に対し、神威はやはり微笑みを絶やさない。
「酷いなぁ、そんなにつんけんしなくたっていいじゃないか。ちょっとね、君と話がしたいんだよ」
今日転校してきたばかりの神威。
接点といえば同じクラスだけってことだし、特に2人に共通点がありそうには未だ見えない。
なんてったって転校してきたばっかりだし、喋ったのだって今が初めてなのだから。
それなのに話がしたいというものだから、総語は少し混乱して思わず聞き返す。
「話?俺と?」
「そう。神楽のこととかで…」
「兄ちゃん!何してるアル?」
神威が総悟の問いかけに答えようとしたとき、神楽が丁度割り込んできた…というか、状況に気づかない神楽がドアの近くからコッチに呼びかけてきたのだ。
どうやら神楽の位置からだと、神威が誰と話しているかなど見えないらしい。
神楽は何となく相手を確認するためか、神威たちの元へ走り寄った。
「げ。兄ちゃん、何でこんな奴と一緒にいるアル!?こんな奴と一緒にいたら、ただのサドの仲間になってしまうヨ!」
神楽は総悟の顔を見た瞬間、明らかに顔を歪ませる。
そして神威の袖を掴むと総悟を指差し、勢いに任せ総悟を罵った。
既に神威はどっちかっつったらサドもしくは鬼畜っぽいのだけどね。
さて―言われて黙っちゃいないのがやっぱり沖田総悟。
神楽に告白すると決めていた心はどこへいったのやら、売られた喧嘩は買うという精神か。
やはり相手に暴言を浴びせてしまった。
「何がサドの仲間でィ。オイ兄さん、こんな馬鹿でわがままで大食いで凶暴な妹がいて大変ですねィ。俺だったらこんな妹、即行川にポイッでさァ」
「………」
「何だとぉ!?」
神威は神楽と総悟のやり取りを黙ってみている。
が…気のせいだろうか。さっき総悟が神楽を罵ったときに、眉がピクッと動いたのは。
気のせいだろう。っていうか、ここは気のせいにしといた方がいい気がする。
神楽と総悟はといえば、互いに睨みあい、今にも暴力に発展しそうだ。
「ほあたァァァ!」
っていうか、もう発展している。
神楽が総悟に飛び蹴りを喰らわそうと机に飛び乗り、ジャンプしようとする。
それに合わせて総悟も身構える。が…
「ちょっとストップね。」
神威が神楽の頭に手をおき、総悟の肩に手をおいた。
そして神楽をなだめるように頭を撫で、
「駄目だよ、机に乗っちゃぁ。
第一、ズボン履いてるときだったらいいけど神楽今スカートだろ。
漫画とかだといい具合に見えないようになってるけど、実際だったら見えちゃうよ?」
そうそう。
ToLOVEるとかもよくなってる。
パンツぐらいだとToLOVEとかネギまは見えちゃってたりするけど、
ちゃんとそれ以上は湯気とか布きれとか髪とか人とか障害物によって隠れてるもんね。
実際は見えちゃってるけど。
く~、実際が羨ましいぜ。
「う……」
神威の言い分に納得したのか、少し内股気味になり、唸る。
大人しくなった神楽を見ると神威は満足したのか、一度頷いた。
そして総悟も神楽同様なだめる。
「君もガキの挑発にはノらないんだよ。
じゃないと君もガキに見えちゃうから」
「…っ」
総悟は自分がガキ扱いされることが嫌なのか、押し黙る。
そして肩にのせられた神威の手を振り払わずに下ろすと、そっぽを向いた。
その光景を見て、一段落したと思ったのか、神楽は机から飛び降りると神威の腕を掴む。
「兄ちゃん、早く帰るアル。新八や姉御も待ってるネ」
「あ~…ごめん神楽、先に帰ってくれる?
俺、ちょっと総悟に町案内してもらう約束があってさ」
「は!?」
実際、神威と総悟はそんな約束はしていない。
さっき神威が総悟に「話したい」と言っただけだ。
だが、ここで馬鹿正直に神楽に
「ちょっと総悟と話がしたい」
と言っても怪しまれてしまうだろうし、他に適当な理由も思い浮かばない。
この理由が一番妥当だろう。
それに、神威も総悟をさっさと呼び捨てにしたことでちょっと仲良さげ感が出てるし。
神楽は神威の言うことだから、信用したのだろう。
頷くと
「それじゃ、先に帰ってるアル。
気をつけて行ってきてネ!」
と言って教室を出ていき、総悟にはあっかんべーをしていった。
そして神楽や新八の足音が遠ざかっていくのを待ってから、神威は口を開いた。
「というわけで、話もしたいし…丁度いいし、街案内してくれる?少しおなかも減ったし」
「何の話だィ?」
「神楽の話とか。色々だよ。さぁ、行こう」
神威はさっさと総悟に伝えると、机においたあった鞄を持つとドアの方へ歩いていく。
総悟はついていくしかないと判断し、自分も鞄を持つと神威の後を追いかけた。
続く――
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気に入らねェ。気に入らねェ。気に入らねェ。
総悟の眉根にはシワが刻まれており、どこかからか黒いオーラが発せられている。
今は昼休みで、大概の人間は楽しそうに食事をしているのだが…総悟は明らかにご機嫌ななめだ。
昼休みということもアリ、個々が好きな場所で食事をしている。
総悟は周りの人間に気づかれないよう、チラリと目だけで横を見た。
総悟の視線の先には……
「ホラ神楽、こぼしてるよ。しょうがないなー」
と、神楽が零したごはん粒をふき取ってあげる神威。
「あ、ありがとアル兄ちゃん」
どこか恥ずかしそうだが嬉しそうな神楽。
「とか言いつつ、神威さんもこぼしてますよ?」
人のことを言えない神威を見て朗らかに笑う妙。
「あはは、やぱり兄妹ですね~」
2人の似たような行動に、思わず声をあげて笑う新八。
どこの高校にもありがちな、平和な光景だ。
結構微笑ましいと思うのだが……
「……チッ」
総悟はそう思わない。
微笑ましい光景を見て、つられて笑うどころか嫌悪感丸出しで舌打ちをしている。
彼がここまで不機嫌さを露にするのは珍しいんじゃないだろうか。
誰かを怒らせるというか、誰かを不機嫌にさせることはよくあるし好んでやっているが、不機嫌になることは少ないと思う。
しかし、総悟は不機嫌…。
今適当なことを言って少しでも総悟の感に障ることを言ったなら、その場で拷問道具の実験台にされているだろう。
それも、蝋燭とかムチとかといった殺傷力の低いものではなく、それこそ頭蓋骨粉砕機とかの殺傷力の高いもの。
それほど、今の総悟は不機嫌だった。
「………何が、兄ちゃん、でィ」
総悟が不機嫌な原因。
それは、きっと…
「神楽、今日から俺も神楽と同じ家に住むつもりなんだけど、大丈夫?」
「本当アルか!?勿論大丈夫アル!部屋だってちゃんとあるネ!」
神威。なんだろうね。
神楽の兄である神威。
自分よりも神楽に…好きな人に近い神威を嫌うのは必然といえば必然だろう。
好きな奴の隣はいつだって自分でありたい。
好きな奴に一番違い人物は自分でありたい。
だが……今隣にいるのは神威だ。
いや、兄妹なんだし当たり前だろうが……総悟はどうしても嫉妬してしまう。
別に総悟は神楽と付き合っているわけでもないし、自分から何かしらアプローチをしたわけでもない。
寧ろ総悟と神楽は顔をつきあわせれば喧嘩ばかりだ。
だから総悟は、ときおり思うことがある。
神楽は…自分を嫌っているかもしれない。
不安なんだ。
神楽は自分と顔をつき合わせることも嫌なのかもしれない。
もし…もし、告白などしたら、もう今のように喧嘩さえできないかもしれない。
この関係が壊れて、もう神楽と喧嘩さえできなくなってしまうのなら…ならいっそ、このままでいたい。
総悟はそう思っていた。
だからこそ神威が羨ましかった。
兄であり、神楽の隣にいれる神威が。
神楽の頭を撫でてやれる神威が。
「………クソッ」
悶々と一人で考えていたら余計不安になってきた。
総悟はわしゃわしゃと自分の髪をかきあげると、そのまま机に突っ伏した。
どうしたら、どうしたら……。
「……?」
総悟は机に突っ伏して物思いにふけっていると、何か視線を感じた。
不思議に思って顔をあげ、周りを見てみる。
しかし誰とも目は……
「……」
屁怒呂と目が合う。屁怒呂は総悟と目があったことに気づいたのか、ニコッと微笑んだ。
キーンコーンカーンコーン
「はい、それじゃお前等、気ィつけて帰れよ」
放課後である。
総悟は相変わらず不機嫌…というわけではないようだ。
まだ少し不機嫌オーラが出ているものの、その意識は神威への嫉妬ではなく、何か違う考え事に向いているようだ。
総悟は、5時間目と6時間目考えて考えて……決めていた。
神楽に、告白すると。
自分は結構な期間神楽を想ってきたと思う。
これからだって想い続ける。
だが、今まで神楽に想いを伝えたことはない…。だから、このまま神威を羨ましがっているなら、想いを伝えて、それでフラれたならフラれたで、級友として神楽を見守ればいい。
成功したら、神楽を誰よりも近い位置で護る。
そう思ったのだ。
覚悟はできた。心だって落ち着いている。
いつだって、想いを伝える準備はできている。
が…問題は、告白の方法だった。
総悟は何度か告白をされたことがある。その方法といえば、裏庭だの音楽室だのに呼び出し、面と向かって告白するか手紙による告白だった。
自分も神楽を呼び出して、面と向かって告白するか?
「好きだ。付き合ってくれ」
と?
「ッ…」
総悟は想像してスグ首をブンブンと振った。無理だ。できるわけがない。
どんな顔して「好きだ」と伝えればいいんだ。
それなら、手紙はどうだ。
下駄箱とか机の中にいれといて……
いや待てよ?もし、もしも神楽より先に誰かがその手紙を見つけ、中を見てしまったら……。
無理だ。これもできない。
他には……電話か?
電話で伝えろと?いや、でも神楽の家には神威も……。
「あークソッ」
総悟は中々告白案が思い浮かばないことに苛立ちを覚え、思わず舌打ちをした。
「どうすりゃいいってんでィ……」
はぁ、と総悟は大きく溜め息をつき、肩を落とした。
すると、突如その肩に、ポンと手が置かれる。
何だと思い総悟は振り返る。そこには・・・
「やぁ。沖田総悟くん、だよね?」
微笑んでいる神威がいた。
続く――
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