(『新・人間革命』第8巻より編集)
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〈布陣〉 3
山本会長の初の海外訪問から二年半、世界広布は夢から現実となり、眼前にその姿が展開されているのである。
学会には勢いがあった。勝利の喜びが、次の勝利を生む。
この日の人事で、女子部長であった谷時枝が婦人部に進出し、これまで女子部の企画部長を務めてきた渡道代が、新女子部長となった。
女子部長となった渡道代は、学生部長の渡の妻であり、夫妻ともに、山本伸一が手塩にかけて育ててきた人材であった。
道代は、大学在学中の昭和二十七年に入会した。・・・ 。
・・・ 道代は、女子部の企画部長となり、女子部長の谷時枝のもとで、大きな力を発揮していった。
彼女の発想は斬新であった。しかし、それゆえに、婦人部や女子部の先輩たちには、受け入れないこともあった。
行き詰った道代は、山本伸一に、指導を求めに来ることがあった。彼は、道代の資質を女子部のためにも生かしたいと思い、時には、あえて厳しい指導もした。
ある時、自信をもって出した提案が通らず、気落ちして相談に来た彼女に、伸一は言った。
「広宣流布とは、人びとの幸福と平和を築く、無血革命ともいえる。
社会主義の革命家だって、弾圧に次ぐ弾圧のなかで、信念を曲げず、命がけで戦ってきたではないか。
周囲が自分の意見を聞き入れてくれないからといって、弱気になってしまうような人間には、広宣流布をしていく資格などない」
それで決意を新たにし、なりふり構わず、懸命に活動に励んでいる道代の姿を見ると、彼は言った。
「女性として、身だしなみや服装は気を使い、いつも、きちんとしていなくてはならない。世界の一流のリーダーというのは、その点にも心を配っているものだ。
心のゆとりのないリーダーには、人はついてこない」