リーダーは、皆の心を察知して、とっさの機転が大事 | くにまさのブログ

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    (『新・人間革命』第7巻より編集)

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 さらに、皆が社会で力をつけ、どんな一流ホテルであろうが、自由自在に使えるような、堂々たる境涯になってほしいとの願いも込められていた

 

 大会には、三十五人が集った。開会を待つメンバーは、クリヨン・ホテルの荘重さに気おくれして、幾分、硬くなっていた

 

 やがて、伸一が会場に姿を現した。

 

 彼は、部屋に入った瞬間に、皆が緊張していることを察知すると、少しおどけながら言った。

 

 「ボンジュール(こんにちは)!

 フランスに来たら、やはりフランス語であいさつしないと失礼ですから。

 

 そうだ、今日はドイツの人もいたんだね。グーテンターク(こんにちは)!

 

 儲かりまっか! これは”関西語”です。今日は、私と一緒に、大阪の人も来ているんです」

 

 山本伸一の言葉で、参加者の緊張は、次第に解けていった。

 

 彼は、席に着くと、笑みを浮かべながら語り始めた。

 

 「今回は、たくさんお土産を用意したんです。ところが、ここにいる副理事長の十条さんは、自分が持って来るのが重たいものだから、アメリカで全部、配っちゃったんですよ。

 

 私が『ヨーロッパの分はどうするんだ』って聞きましたら、『向こうで買えばいいですよ』って言うんです。

 

 でも、フランスの人がフランスのお土産をもらっても、あまり嬉しくないでしょ。

 

 きっと、こういうこともあると思い、私が皆さんのお土産として、メダルや袱紗(ふくさ、数珠を包む布)などを残しておきましたので、後ほど、差し上げたいと思います。

 

 周りの幹部がこういう調子だから、私も苦労が絶えないんですよ

 

 笑いが広がった。

 

 これで完全に、会場の空気は和らいだ。