(『新・人間革命』第7巻より編集)
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〈萌芽〉 13
一行はホテルに着くと、早速、ロサンゼルス支部の組織の検討を行った。
メンバーの増加にともない、組織を整備し、かなり多くの地区を新設する必要があったのである。
未来の発展の布石になるだけに、人事は、深夜までかかって、慎重に、真剣に検討された。
一人ひとりの信心、人格はもとより、仕事や家庭の状況なども考慮し、あらゆる観点から検討が加えられていった。
翌十一日の午前中、山本伸一は、人事の面接を行うことになっていた。会場はロサンゼルス支部の婦人部長のキヨコ・クワノの家であった。
面接に向かう途中、伸一は、ロサンゼルスの会館の候補にあげられていた建物を視察した。
それは、イースト・ロサンゼルスにあり、郵便局として使われていた、五百三十平方メートルほどの一階建ての建物であった。
彼は、交通の便や環境、建物の間取りなどを確認すると、ここを借りて会館にすることにした。
伸一は、同行していた正木永安に言った。
「最初は、これだけの建物があれば十分だろう。ここの名称は、ロサンゼルス会館としよう。
やがて”出張御受戒”が行われることになれば、その会場として使っていこう。また、聖教新聞の支局も、ここに置くことにしたいと思う」
それから、中原雄治に語りかけた。
「会館ができると、管理人も必要になる。中原君、君がここに住むようにしたらどうかね。管理者としての手当ても考えるが・・・」
中原は、ここに住めば、部屋代を払わなくてすむ。伸一は、留学生である中原の生活のことも心配していたのだ。