(『新・人間革命』第7巻より編集)
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〈萌芽〉 9
(つづき)
さて、布教は、友の幸福を念じ、自分の信ずる最高の教えを、最高の生き方を教えていく、崇高な慈悲の行為です。
ゆえに、布教していけば、真の友情と信頼が生まれます。
さらに布教のなかにこそ、真実の仏道修行があり、人間革命がある。
なぜならば布教は、自分の臆病な心や生命の弱さを打ち破るという、自己自身との戦いから始まるからです。
懸命に、わが友に仏法を語り抜いていくならば、歓喜がみなぎり、自身の境涯が開かれていきます。
その時に、地涌の菩薩の大生命が、わが胸中に脈打っていくからです。
この弘教のなかにこそ、自らの人間革命があり、自身の、さらに社会の宿命を転換し、永遠の幸福と平和を築きゆく直道があります。
ゆえに、私は、ハワイに弘教の大法旗よ翻れと、訴えたいんです」
その指導を、皆は心躍る思いで聞いた。ハワイの同志は今、地涌の菩薩としての、尊い使命に生き抜こうとしていたのである。
伸一は、さらに言った。
「そして、拡大の要諦は団結です。今日、ミツル・カワカミさんが支部長となりましたが、この人にはついていけないという方は、手をあげてください」
手をあげる人は、誰もいなかった。
「これで安心しました。大聖人は『法によって、人に依らざれ』との経文を通して、信心の在り方を指導されています。
私どもの信心は、どこまでも『法』が根本です。
広宣流布という崇高な大目的を成就するために、みんなが心を合わせ、団結して活動を進めていく必要があるのです。
(つづく)