(『新・人間革命』第7巻より編集)
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〈文化の華〉 6
そして、その教育を実現していくには、教育法や教育学の改革はもとより、教育者自身の人間革命がなければならない。
子どもたちにとって、最大の教育環境は教師自身である。それゆえに、教師自身がたゆまず自己を教育していくことが
不可欠となるからだ。
教師は「教育技師」であると主張する牧口は、「教育は最優最良の人材にあらざれば成功することの出来ぬ人生最高至難の技術であり芸術である。
これは世上の何物にも替え難き生命という無上宝珠を対象とするに基づく」と述べている。
さらに、教師たるものの姿を、こう論じる。
「悪人の敵になり得る勇者でなければ善人の友とはなり得ない。利害の打算に目が暗んで、善悪の識別のできないものに教育者の資格はない。
その識別ができていながら、その実現力のないものは教育者の価値はない」
牧口が提唱した、創価教育の精神を、現実に、縦横無尽に実践したのが、若き戸田城聖であった。
彼の私塾・時習学館からは、人間性豊かな、実に多彩な人材が育っている。
山本伸一は、教育部員に、この先師・牧口常三郎、恩師・戸田城聖の志を受け継いでほしかった。
彼は、混迷の度を深める社会の動向に、鋭い目を注ぎながら、教育部の使命の重大さを痛感していた。
前年の教育部の誕生から一年有余、学会員の教育者は三千人になんなんとし、その代表一千人が、この八月一日の、初の教育部の全国大会に集ったのである。
それは「創価教育」の実現への、教育部の新たな門出の集いとなった。