(『新・人間革命』第6巻より編集)
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〈若鷲〉 3
「諸君は、自己の使命にめざめ、信心強盛に、いまの学業こそ、おのおのの生活であると励んで、将来の固い基礎をつくることが、広宣流布に通ずることを確信されたい。
学問は知識の蓄積であり、知恵にはいる道程である。仏法は知恵であり、生活の原理である。
いっさいの知識は、仏法の知恵によって、初めて社会のために最高に生かされることを知らねばならない」
最後に彼は、若い逸材の前途を祝福して、こう結んでいる。
「青年部の諸君は、ともに次代を担うべき地涌の菩薩であるが、学問を身につけて世に出る諸君は、いわゆる知識階級の指導者としての使命を担っているのである。
諸君よ、願わくは次の学会の骨髄となり、日本の大指導者となって、世界に貢献しうる大人材に育たれんことを」
この「学生部に与う」を目にした学生部員の衝撃は大きかった。
山本会長の、自分たちへの限りない期待と、かけがえのない自己の使命を、皆、改めて知ったのである。
メンバーは、皆で何度も、これを朗読し合った。
「ぼくらが広宣流布の先駆となるのだ!」
若き俊英たちの胸に、歓喜の火が燃え上がった。
使命の自覚は、人間を変え、無限の力を引き出していくものだ。
このころ、学生部は部員一万人の達成をめざしていたが、青春の歓喜の火は、向学心と弘教への情熱となって爆発していった。
それから間もない、四月半ばのある日、学生部長の渡吾郎が、顔中に喜びをたたえて、山本伸一のところに報告に来た。
「先生! 学生部は昨晩の報告で、遂に、部員一万名を突破しました」