(『新・人間革命』第2巻より編集)
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〈民衆の旗〉 12
「年末、年始は、特に火災や交通事故などに、くれぐれも注意を払い、無事故で有意義な一年の総仕上げと、新年の出発をしていただきたいと思います。
どうか、よいお正月をお迎えください。
そして、来年の十二月の本部幹部会の時には、また、『こんなに一年間で成長いたしました』『こんなに功徳をいただきました』
『家庭革命ができました』と、互いに喜んで報告できる大飛躍の一年にしてまいろうではありませんか」
これで、この年の主要行事は、すべて終了したことになる。
しかし、翌日から、伸一は、「躍進の年」の助走を全力で開始したのである。
彼は、連日、理事室や各部の代表幹部との懇談を重ねた。そして、時間をかけて、幹部一人ひとりを指導していった。
会合などの終了した年の瀬は、彼にとって個人指導のまたとない好機であった。
中核となる幹部が悩みに負けていたり、行き詰まりを感じて悶々としていれば、力を十分に発揮することはできない。
また、幹部が自分の欠点や誤りに気づかなければ、組織の発展もない。
しかし、幹部になればなるほど、個人指導を受ける機会は少なくなってしまうものだ。
ゆえに彼は、思い切って、そのための時間を割いたのである。
さらに、最高幹部と、各部や各地の組織の実情を詳細に分析して、それぞれの課題と目標を明確にしていった。
全体的には大勝利であっても、組織を細かく、個別的に見ていけば、さまざまな問題がある。
もし、全体の勝利に酔い、その検討を怠るならば、既に、慢心と油断が兆している証拠である。
そして、そこにこそ、次の敗因が潜んでいる。