現在のドミニカ共和国。米国の金融危機の影響もありお金回りが極端に悪くなっています。
つまり景気が悪い状態です。
数ヶ月前にドミニカの中央銀行が市場への資金注入をしました。

http://blogs.yahoo.co.jp/skpanic/54058965.html

ただ経済効果として全く現れずベースマネーを増やしただけでマネーサプライに
現れていません。ベースマネーとは簡単に言うと中央銀行の当座預金にある
負債全額です。(中央銀行は資金注入として紙幣を発行した形ですが当行の
バランスシート上では負債にあたる。反対に資産に当たるのは例えば国債などです)

資金注入をしたのでベースマネーは増えた、ただしマネーサプライに
反映されていないので市場にお金がなかなかまわっていきません。
これは夏場に大幅に金利上昇させたこととも大いに関係している。
借り手がいないのです。それならマネーは今後誰のために使われるもしくは
既に使われているのか?
ドミニカはまた債務が増えて電力会社からの電力がストップされたりして
停電が増えているのですが背後にはやはりあの国の力があるわけです。

ちなみに中央銀行の当座預金というのは一般のドミニカ人は持てず銀行が口座を持つための
もの。日本で言う所の日銀の当座預金と同じ役目です。
これは準備金の意味もあり銀行は一般のドミニカ人から預金を預かったら
何%かの準備金を中央銀行に預ける義務があります。これも日本と同じ
システムです。

本来はベースマネーが増えると信用創造というメカニズムを経て
マネーサプライも増えるのです。そうなるとドミニカの景気もまた上向きます。
信用創造を説明するとドミニカの一般人が例えばBHD銀行に100万円を預金したとします。
(BHDはドミニカの主要銀行の一つ)
BHDそのうち10%を準備預金におかなくてはいけない。残りの90%である
90万円を企業などの貸付にまわします。
貸付を受けた企業、例えばレオングループに借入金が振り込まれる。
レオングループが石油を買うためにPetroleo Dominicanoに払うと今度は
そのPetroleo Dominicanoの口座の残高が増える。その口座はレオンと
同じBHD銀行の口座かもしれないしもしかしたら異なるPopular銀行の
口座かもしれませんがでもどこかの銀行の銀行預金がまた増えるわけです。

こうするとお金の一部である銀行預金の残高はどんどん増えていく。
最初に預けた100万円がどうなるかと言うと

(BHD銀行)
預金100万
準備金10万
貸付90万

(Popular銀行)
預金90万
準備金9万
貸付81万(90万の10%)

(Scotia銀行)
預金81万
準備金8万1千
貸付72万9千

以下、繰り返し
貸付金の金額は
90万+81万+72万9千・・・・・・合計で1,000万。

となり理論上は100万の預かり金で1,000万のマネーサプライを
生むことができるわけです。計算式だと

ベースマネーの増加 x 1/準備率 = マネーサプライの増加
となる。
通常は100万預かり金を入れれば、もしくは100万分の
ベースマネーが増えれば市中に貸し出されるお金(つまり企業などに
貸し出されるお金)も100万増えると考えますが
政府側のカラクリとしてはこの信用創造があるためその10倍にも
マネーと言うのは増えるもの。
ただし現在のドミニカではこのメカニズムは働いていません。
銀行が貸し出し可能金額のすべてを貸付にまわさないからです。また
金利が高いため資金需要はあるのですがどの企業もお金を借りることが
できません。どの企業も年末の決算まではとにかく返済することに必死の状況です。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(株)リクルート / AB-ROADで
ドミニカ共和国、カリブ海のABガイドとして記事を書かせて
もらっています。
ブログでは書かれない観光情報等、内容が満載なのでぜひ


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー