米国の金融危機の影響を受けて世界的な景気低迷に突入した中でドミニカでも2009年
は厳しい年になることが予想されます。ドミニカでビジネスコンサルタントCXOとして
活躍されるDavid Fernandez ( City GroupやGrupo Moyaなどの専属コンサルタント)
も2009年はアグレッシブな投資は避けてダウンサイジング、リストラクチャリングなどの
企業としてLiquidacionを推奨するという見解を示しています。

そんな中でドミニカ共和国でも密かに注目を集めてきているのがキャッシュフロー経営。
日本では連結キャッシュフロー計算書が導入された2000年以降から既に
定着しているキャッシュフローによる経営。
ドミニカでも低成長と銀行による貸し渋り、金利上昇などにより銀行からの
借り入れが非常に難しくなっている状況下で再度、各企業でもキャッシュフローを
見直すための経営努力に力を入れている企業が増えている。

ドミニカ共和国では業種にもよりますがIndustry系の
輸入業者などは自分が知る限り
P/Lとキャッシュフローのズレがかなり大きいのではないかと思います。
日本でも独特な慣習として手形取引がありますがドミニカでも
掛けによる取引は常識で中堅企業などはこの掛けの期間が半年などかなり
長く設けている企業もあります。黒字倒産をする企業も割りといます。

キャッシュフローには
①営業活動によるキャッシュフロー
②投資活動によるキャッシュフロー
③財務活動によるキャッシュフロー
④フリーキャッシュフロー
の4種類があります。ドミニカの多くの企業の場合は③はあまり関係ないので
①、②、④が対象になるのですが
ドミニカ人の経営者の場合(全員ではないです。特にBクラスから下の企業)
一番の問題は①、②、④が全て一緒になってしまうことかと。
分けて考えている経営者は少ないというより極端な話、借りたお金を返す前に
自分の高級車を購入してしまったり店舗を拡大する資金に使ってしまうドミニカ人を
何人も見てきています。
ここの国の人達はそういう意味ではキャッシュフローの管理はズサンです。

ドミニカの客は儲かりだすとまず最初に①施設を増設、②高級車を買うの
順番に資金を投入します。①は投資活動、②はフリーキャッシュフローから
まかなうべきですが一番の問題は全て営業活動のキャッシュフローをすぐに
あてがうこと。というよりその場にお金があればすぐに使ってしまう傾向がある。
年間のキャッシュフローを予測して設備投資上限を設けるという発想もない客も多い。
一番酷い例はビジネスをひたすら拡大路線にさせて店舗を増設、敷地を際限なく拡張
させて資金が回らなくなり多額の負債を抱えて倒産した例を4,5回見たことがあります。
そのうちの一人は負債を5千万抱えた状態でもこちらがその客を訪問したら高級バーのような場所に
連れて行かれたりとにかく派手な金使いをしていました。


ただこのキャッシュフロー、手元にあるフリーキャッシュフローが多ければ
良いというものではないのが難しい所です。こんな例がありました。
ある企業で資金5億円の借り入れに成功しました。掛け商売がほとんどを占めるこの
企業では新たに5億円の資金を調達したことは喜ばしいことで会社の指揮もあがり気味。
ただその数ヶ月後、すぐに資金をまわすために支払い期日がせまった客先からの取立てを
速やかに行うようにとの会社からの大号令。そんな時に数名の営業社員からは
「何故5億円の資金を新たに借り入れることに成功したのにまた資金を回すのに
困っているのか」と困惑気味。

ここで問題なのは5億円の資金を借りてもただ寝かせているだけでは効率的な事業への
投資を怠っているということになりアル意味、財務部としては常にギリギリの資金を
持つような努力を求められていたわけです。つまり5億円の資金調達に成功したから
手元のキャッシュが常に潤っているわけではなく財務部として営業部に求めるのは
期日前倒しの回収をすることで営業キャッシュフローを確定させておくことが重要という
判断でしたが営業部との間に認識の差異があったという例。(どの企業でもありがち??)
理想なのは営業キャッシュフローが黒字でその何割かが投資キャッシュフローに
まわされている形態ですが理想と現実を近づけるのはどんな時も
難しいですね。。。。



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(株)リクルート / AB-ROADで
ドミニカ共和国、カリブ海のABガイドとして記事を書かせて
もらっています。
ブログでは書かれない観光情報等、内容が満載なのでぜひ


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