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この記事の最後の方で日本語の漢字の習得においては「概念」
の理解がとても重要だという話をしました。
漢字に必要というよりもおそらく日本語、もしくはどのような語学
においてもレベルが上がるほど「概念」の理解度が
全ての土台になると感じています。
例えばですが4年生の漢字で「季節」という漢字の習得があります。
ただ海外に住んでいる日本の子供においてはまず「季節」という
言葉が何を意味するか分かっていないといくら「季節」の漢字勉強を
しても次の日には忘れてしまう可能性が高いのです。
ただここでまず考えて欲しいこと、それは「季節」という言葉は
いきなり教えるのがとても難しいのです。そもそも「季節」を
理解するには「春」「夏」「秋」「冬」の概念を理解してないと
いけません。夏と冬は比較的教えやすくても春や秋の概念はどうか
、また日本にはこれら4つの季節移り変わりがある、その時期は
何月か、などの小さい頃からの様々な「概念」の積み重ねがあり、
ようやく「季節」を理解できるのです。
これらの記事でも「概念」の話は書きましたが「共通」「多数決」なども
「共通」、「多数決」の
意味が分からない状態(概念が頭にない状態)
で漢字の書き取りをするのは
あまり意味がないですし、仮にその場で書けるように
なってもすぐに忘れてしまいます。
中室牧子氏が書いた書籍「学力の経済学」という本があり個人的には
子育て本の中で数少ない名著と思う書籍の一つです。
この中で「教育投資のリターン曲線」という統計資料があるのですが
これは0歳−20歳の間でどの時期に子供に投資すると効果が
高いかを世界的な統計で測ったものです。
結論としては年齢0歳が最も投資効果が高い、小学校に
上がる前で投資リターンの期待値の半数を切り、そこから
20歳にいくに従い投資リターンは更に下降していくと
いう綺麗な反比例の曲線を描くというものですが
これは海外において日本語の継承教育に携わると
まさのこの曲線が当てはまるなと感じます。
上記に書いたように小学4年(9−10歳前後)で出てくる
「季節」という漢字を突然頑張って教えることはできないのです。
その前の2年生(7−8歳)の時点で春、夏、秋、冬の漢字を
よく教えることが重要です。ただその春、夏などを教えるためには
その前に日本ではそのような暑い季節、寒い季節があるという
概念を教える必要があります。また小学一年以前に
「暑い、寒い」の日本語を理解しなくてはいけませんし、
同時に5、6歳でひらがなを教えないと
漢字を突然教えれない、など日本語継承の学びは
小さい頃から教えてきた「概念」の積み重ねでしかないな、
と感じるわけです。
最近、家族で夏休みで日本に帰国した際に子供に一生懸命
教えていたのが子供の行動範囲を広げるために
一人で東京の電車に乗り移動するやり方です。
東京の電車網はご存知のように網の目を張り巡らせたような
複雑な電車網なわけですがまずは東京の中心である
山手線から中心に駅名を覚えさせて
SUICA のチャージの仕方を教えて、などを教えていくわけです。
これらもチャージを教えるにも駅名を漢字で読ませる必要、
1000円−10000円の計算方法、乗り換えの概念、
地下鉄の概念、SUICAとは何か(切符とは何か)
などそもそも電車の乗り方を教える以前として
覚えておかないといけない概念の土台が多く存在し、
それらができてようやくスタートできます。
子供は吸収力が非常に早いので最初の概念の土台ができていれば
あとは、ドミニカ共和国では治安の問題でなかなか子供1人で
動き回れないですが東京なら一人で動けるという喜びなどもあり、
真綿が水を吸収するように覚えていき、原宿まで一人で
遊びに行ってみたいとなったりしましたが、その時
思ったのが中室牧子の教育の投資リターン曲線の話で、日本で
海外在住の子供に電車の乗り方を教える、単純なその
行為一つとってもそれ以前の様々な概念の土台が必要に
なるなと感じました。