すゑよしのすみよし | 古代文化研究所

古代文化研究所

古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

○ブログ『日向國式内社:江田神社』から『江田神社考』、『阿波岐原の住吉神社』、『住吉神考』、『諸県君:古代日向の王』、『諸県の起源と住吉神』と続けて来た。今回お話しするのは『末吉の住吉』についてである。

○住吉神がどういう神様であるのか。諸本を見ても、何も教えてはくれない。実際、住吉大社などへお参りしても、同じである。住吉神がどういう時に、何処で誕生し、誰がそれを信奉し、全国に広がったか。案内するものが何もない。

○そういう意味で、日向国の住吉山は気になる。ここが諸県氏の誕生地であることは、「二之方」と言う地名からしてもはっきりしている。『もろかた』と言う不思議な地名の発祥はここから始まっている。

○住吉神が水神であることも、そのことをここではよく説明できる。住吉山は標高わずか267mしかないのに、立派な分水嶺となっている。それが「二之方」地名の由来ともなっている。そういう意味では、住吉神は水分(みくまり)神でもある。

○一般に、住吉神は底筒男命・中筒男命・表筒男命だとされる。では、実際、底筒男命・中筒男命・表筒男命の内実とは、何なのだろうか? 『つつ』が星を意味すると言う珍説などがあるけれども、正直、満足に納得できる説明は無い。

○日向国で、底筒男命・中筒男命・表筒男命を考えると、それは上水流男神・中水流男神・下水流男神だとするしかない。水流は『つる』と呼ぶ。日向国では普通に存在する地名であり、人の姓でもある。水流さんや上水流さん、中水流さんなどが居る。

○水神信仰は、全国何処でも見ることができる。多くは名も無い小さな祠であることが多い。前回写真では、鹿児島県高隅山御岳山頂の高隅竜王大権現と、中国湖北省武漢漢口の漢口龍王廟と、大阪の住吉大社を紹介した。

○こういうふうに、水神信仰の在り様を見て来ると、底筒男命・中筒男命・表筒男命が上水流男神・中水流男神・下水流男神であることが容易に想像される。水神信仰ならではの独特の形態である。それを一つにまとめて祀っているのが住吉神社なのではないか。

○前回、こういう話を補足したかったのだが、字数制限でできなかった。したがって、ここで説明補足しておきたい。たぶん、住吉神の起源は、此処住吉山だとするしかない。現住所で言えば、鹿児島県曽於市末吉町二之方住吉山になる。

○この現住所を見ると、地名の面白さが凝縮されたものとなっているところが何とも楽しい。曽於郡は古い地名だが、東漸し続け、とうとうここまで進出して来ている。二之方は諸県地名の発祥の地である。したがって、ここは、本来、日向国であって、大隅国ではない。

○もっと面白いのが鹿児島地名であり、末吉地名である。鹿児島地名は面白過ぎる。ただ、話が長くなるので、次のブログを参照していただくしかない。

  ・テーマ「鹿児島はなぜ鹿児島と言う?」:10個のブログ

  https://ameblo.jp/sisiza1949/theme-10110399742.html

○最後に残ったのが末吉地名である。『すえよし』とは、どういう地名か? そう問われたら、それは枕詞だと答えるしかない。「すゑよしのすみのえ」、もしくは「すゑよしのすみよし」が正式の呼称であったことが判る。そう考えると、末吉地名の凄さが伝わって来る。

○蛇足ながら、鹿児島にも枕詞が存在する。それは「天降り付く」と言う。したがって、鹿児島は正式には「あもりつくかごしま」と呼ぶのが正しい。詳しくは次に書いている。

  ・テーマ「日向国の万葉学」:ブログ『天降付く天の香具山の風景』

  https://ameblo.jp/sisiza1949/entry-12519980569.html

  ・テーマ「日向国の万葉学」:ブログ『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』

  https://ameblo.jp/sisiza1949/entry-12519981336.html

  ・テーマ「日向国の万葉学」:ブログ『ダイヤモンド桜島』

  https://ameblo.jp/sisiza1949/entry-12519982009.html