山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

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○2018年12月13日夕方、鹿児島MBC南日本放送で、『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』と言う番組が放送された。たまたま、番組を見た。インターネットで検索すると、鹿児島MBC南日本放送のHPにも、掲載されていた。
      山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」[12/13 19:24]
   霧島市では、桜島の山頂に夕日が重なる「ダイヤモンド桜島」が眺められるシーズンを迎えていま
  す。桜島の山頂のくぼみに夕日がゆっくりと落ちていく神秘的な光景。「ダイヤモンド桜島」です。
   「ダイヤモンド桜島」は、沈む太陽が桜島の山頂に重なる現象で、毎年11月下旬から1月中旬ま
  で、天候が良ければ霧島市から眺めることができます。展望スポットとなっている霧島市福山町の
  「中茶屋公園」では鹿児島県内外から集まった多くの人が、撮影に訪れていました。
   霧島市は絶景ポイントとして「ダイヤモンド桜島」を眺めるツアーも検討しているということです。
  https://www.mbc.co.jp/news/mbc_news.php?ibocd=2018121300033608&ap=

○2018年12月14日付の朝日新聞、25面の「青鉛筆」コーナーにも、同じような記事が掲載されていた。
  ▼夕日と桜島の山頂がわずかな時間重なり、宝石のように輝く「ダイヤモンド桜島」。そう呼ばれる
  鹿児島の冬の風物詩が、訪れた人たちを楽しませている。   
  ▼12日、山頂中央のくぼみに夕日が落ちる絶景が、鹿児島県霧島市の中茶屋公園から見られた。午
  後5時前、約一分間の天体ショーに大きな歓声が上がった。
  ▼桜島を南西に望む同公園から見れば、桜島山頂の稜線は右肩上がり。そこで輝く夕日は「まさに縁
  起物です」と市の担当者。一月中旬まで見られるという。(大久保忠夫撮影)

●昨日、2018年12月14日に、鹿児島県霧島市の中茶屋公園を訪れ、実際、『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』を見て来た。「百聞は一見に如かず」と言うように、見るに及ぶものは無いと判断したからである。

●午後4時ころには、中茶屋公園へ到着した。これまで、ここは何度も訪れている場所である。本ブログでは、次のブログを書いている。
  ・書庫「日州街道」:ブログ『中茶屋公園』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/36197480.html

●ここは日州街道最大の難所であった。何しろ、標高差400メートルを一気に登るところである。一回、ここを牧之原から福山まで下ったことがある。
  ・書庫「日州街道」:ブログ『日州街道を歩く~福山から牧之原まで~』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1203825.html

●また、此処は歴史的にも重要な場所で、中茶屋公園のすぐ上には島津忠将公供養塔や、右馬頭石塔碑が存在する。これらについても、以下のブログで触れている。
  ・書庫「日州街道」:ブログ『島津忠将公供養塔』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/36199732.html
  ・書庫「日州街道」:ブログ『右馬頭石塔碑』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/36202895.html

●中茶屋公園には、すでに10人以上の人が居て、三脚を設置して日没を待っている状況であった。駐車場も狭いので、満杯であった。幸い、右隅に一カ所、スペースがあって、何とか駐車できた。

●しかし、日没は午後5時前後だから、まだ相当時間がある。車に乗って、日没の時間を待つ。ショーが始まったのは、午後4時40分くらいからであった。

●少し雲が出ているが、何とか、日没を見ることはできそうであった。午後4時40分になると、随分、太陽が落ちて、桜島山頂に近づく。皆が息を呑んで、静かに、その情景を待っていた。

●太陽は、見る見るうちに沈んで行く。43分ころに桜島山頂のすぐ上まで、太陽が達した。太陽が山に掛かったのは49分ころだった。それからおよそ一分くらいで、太陽は山に隠れた。それでも残光があるので、まだ空は明るい。完全に光が失われたのは54分ころだった。感動の時間は10分ほどであった。

◎これを、テレビや新聞では、『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』と呼び称して喧伝して止まない。鹿児島では、13日の新聞の一面に載っていたと、中茶屋公園に来ていた鹿児島の方から、うかがった。何とも、寂しい話である。

◎すでに「万葉集」に、この情景は記録されている。そういうことを学習し、案内するのが新聞やテレビの責務ではないか。上記の記事にもあるように、行政も、この『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』に、大いに関心を示しているようだが、行政もしっかり学習すべきだろう。

◎「万葉集」には、枕詞「天降付く」と言うのがある。辞書にもちゃんと載っている。大野晋の岩波古語辞典には、次のように説明している。
      天降りつく
   [枕詞]香具山が天から降下したという伝説によって、「香具山」にかかる。
  「天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば」(万葉二五七)

◎つまり、枕詞「天降付く」は、香具山に掛かる枕詞であることが判る。しかし、それがどういうことを意味する表現であるかを、これまで、誰も確かめた人が居ない。辞書でも、上記のように説明するだけで、何の根拠も持ち合わせていないのである。

◎もちろん、香具山は奈良県橿原市に存在する大和三山の一つである。誰もがそう思っている。文部科学省や文化庁がそう判断しているくらいだから、そのことを誰も疑わない。しかし、本当の香具山は日向国に存在する。

◎当古代文化研究所では、そういうことを研究している。大和三山にも、何回も登り、検証を加えている。そのあらましは、以下のブログに書いている。
  ・書庫「大和三山」:119個のブログ
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1201946.html?m=l&p=1

◎枕詞「天降付く」についても、同様である。奈良県橿原市に存在する香具山で、枕詞「天降付く」を説明することは誰にもできない。もともと、枕詞「天降付く」は、日向国のものである。

◎当古代文化研究所では、枕詞「天降付く」をすでに解明済みである。それらは、以下のブログに、これまで何度も書いている。
  ・書庫「竹島・硫黄島・黒島:ブログ『天降付く天の香具山』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/37128661.html
  ・書庫「竹島・硫黄島・黒島:ブログ『枕詞「天降り付く」の真実』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/37290249.html
  ・書庫「天孫降臨の世界山」:ブログ『中西進名誉教授に聞く~其の七~』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38430690.html
  ・書庫「天孫降臨の世界山」:ブログ『天降付く天の香具山の風景』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38467251.html
  ・書庫「邪馬台国三山」:ブログ『天降付く天の香具山』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/39404361.html
  ・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『枕詞「天降付く」』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40513610.html
  ・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『天降付く天の香具山の風景』
  https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/41571088.html

◎『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』と、テレビや新聞が大騒ぎをしている。もう笑うしかない話である。少なくとも、日本文学では、枕詞「天降付く」として、「万葉集」に記録している話である。何を今更、と思う次第である。

◎大事なのは、そういう文化を継承することだろう。当古代文化研究所は、そういうことを大事にしている。目の前の桜島山が香具山である。そういうことも知らないで、『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」で、大騒ぎするテレビや新聞とは、何なのだろう。もう少し、学習して欲しいと願わずにはいられない。

◎『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』を見る感動は、何も私たち現代人だけのものではない。それを、枕詞「天降付く」と表現する古代人の文化の高さに、敬服する。『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』と喜んでいる現代人の文化程度は、それには到底、及ばない。

◎まずは、何より、鹿児島県霧島市の中茶屋公園を訪れ、実際、『山頂に沈む夕日 「ダイヤモンド桜島」』を見ることだろう。そこから、古代人の感性の高さを感じることができる。そういうことが真に「万葉集」を読むと言うことである。机上の空論は虚しい。