白居易:大林寺桃花 | 古代文化研究所

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古代文化には、多くの疑問や問題が存在する。そういうものを日向国から検証していきたい。

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○白居易の廬山作品をもう一つ。

  【原文】
      大林寺桃花
        白居易
    人間四月芳菲盡
    山寺桃花始盛開
    長恨春歸無覓處
    不知轉入此中來

  【書き下し文】
      大林寺の桃花
         白居易
    人間は四月に、芳菲の盡くるに、
    山寺の桃花の、始めて盛んに開く。
    長恨す、春歸つて、覓むる處無きを、
    知らず、轉じて此の中に入り來たりしを。

  【我が儘勝手な私訳】
    世の中では、およそ桃花は初夏(四月)になるとお仕舞いだと決まっているが、
    廬山山上、西谷の大林寺では、桃花は初夏になって始めて盛んに咲き始める。
    長い間、春が去ってしまい、何処にも春の気配が無いことを残念に思っていたが、
    全然知らなかった、何と、春は廬山山上、西谷の大林寺へ移り入っていたではないか。

○2013年6月12日、廬山山上、牯嶺街にある廬山鑫締賓館ホテルに宿泊した。牯嶺街は、標高1167辰紡減澆垢誚山山上の町である。

○現在、廬山山上、牯嶺街一帯は、中国でも著名な避暑地であり、別荘地帯となっていて、瀟洒な西洋建築の別荘が建ち並んでいる。

○6月12日、朝の散歩に出掛けたのが廬山西谷であった。ホテルから1劼曚鼻△劼燭垢蕾爾辰胴圓と、西谷の中心、如琴湖に出る。湖の中に九琴亭が浮かんでいた。

○その如琴湖の湖畔に花径公園がある「花径」案内板には、次のようにあった。(原文は簡体字)

      廬山:花径
     花径公園簡介
   花径公園是廬山主要景点之一。這里相伝為唐代詩人白居易詠詩「大林寺桃花」的地方。
  白居易時任江州(今九江)司馬、此地因詩而得名。故又称白司馬花径。現園内有景白亭、
  白居易草堂、覓春園、湖心島、孔雀館等名勝景点。是集山水、人文為一体的総合性公園。

○つまり、白居易の「大林寺桃花」詩に拠って作られたのが、如琴湖湖畔の花径公園と言うことになる。公園内の白亭や白居易草堂、覓春園なども、「大林寺桃花」詩に拠るものと思われた。

○それほど、白居易の「大林寺桃花」詩は、中国では著名なのであろう。個人的好みでは、前回案内した「遺愛寺」の方が遙かに好きであるが。私には、「大林寺桃花」詩は、理が勝っているように感じられてならない。

○おそらく、廬山:花径あたりの標高は1100辰らいであろう。6月でも、朝の散歩は涼しいより、冷たい空気の感があった。朝6時前にホテルを出たが、ちょうど、如琴湖あたりで、日の出が見られた。

○私は、仙人洞や御碑亭なども見たかったので、時間が無く、花径公園は入り口付近を歩いただけだった。案内板に拠れば、湖心島まで歩いて行けるようである。

○白居易が草堂を結んだ香炉峰は、西谷の下、廬山の麓付近に存在する。直線距離で5劼らいだろうか。更にそこから直線距離で5劼曚廟召法陶淵明記念館が存在する。その辺りが6月12日の散歩中、御碑亭で一望された。

○上天気なのに、残念ながら、靄っていて、十分に見ることは適わなかった。本当は、廬山の麓付近に香炉峰や西林寺、東林寺が存在し、その先に陶淵明記念館、更に先に揚子江が流れているはずである。前日に、九江县沙河街镇の陶淵明記念館から、きれいに廬山は望見出来たのだったが。

○如琴湖湖畔の「花径」案内板が、
  是集山水、人文為一体的総合性公園。
と案内するように、まさしく、廬山は自然と人文とが一体化したところである。廬山自然の風景美は申し分ないし、人間文化もまた素晴らしい。それを味わうのが廬山観光なのだろう。

○惜しむらくは、大林寺が完全に喪失してしまっていることである。また、廬山には多くの道士が存在した。そういう人々の営みが現在の廬山には、ほとんど感じられない。観光地としては、見事に整備されているけれども。