『しのゼミ』 -83ページ目

『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

「プルルルルル・・・・・・・・プルルルルル・・・・・・・・」

「・・・ちょっとお待ちください・・・・・しの先生,電話です」

はぁ~,また電話か・・・・.でも,仕事仕事!.

しかし今日のある電話は,神経を逆なでするような内容であった.

「・・・・・っということでですね,なんとか早めに結果の方をお願いします.」

病理結果の催促の電話である.



病理の診断は「最終診断」として使われることが多い.

言い換えれば,病理の結果が出ない=最終診断がつかない=治療が始められない・・・となる.

よって治療担当の先生ひいては患者さんからすれば,できるだけ急いでほしいという気持になるのは当然であるし,それらの事情は自分も重々承知である.

提出してもらった病理検体には,全力を尽くして診断をつけるのは病理医の基本である.

病理診断が何かによってぶれてしまうことはあってはならない.

そのためには,ある程度じっくり考えてコトに当たる必要があり,したがってある程度は時間がかかってしまう.

それに患者さんみんなが待っているワケだから,診断はある程度(提出された)順番通りにやっていかざるを得ない.

そんな事情をすべて承知のうえで催促してくるわけなので,ちょっと性質悪く思えてしまう.



振り返ってみると,催促の理由としては,

1)やむを得ない場合(状態が悪い・手術が間近に迫っている・治療を急ぎたい・外来予約に間に合わせたい・・・などなど)
2)それ以外の(説得力のない?)理由

に分けられると思う.

1)は納得がいくので,できるだけのことをしようと思う.

問題なのは2)であり,その理由の具体例としては,「○○先生の知り合いなので・・・」とか「△△先生のお母上で・・・」などが含まれる.

若かりし頃,自分的には2)の理由が許せなかった.

なんで○○先生の知り合いだったら,他の患者さんより優先させねばならないのか??? (純粋だねぇ)」

しかし最近は少し年をとってきたこともあって,ちょっと違うように思っている.

冷静になって考えてみると,2)の中にも2種類あるように思える.

それは・・・

2)の1:「我田引水ロビー活動」タイプ ~ 「○○先生の知り合い」ということを強調することで圧力をかけ,コトを速やか且つ排他的?に運ばせようとするもの(ある意味とても政治的)

2)の2:「礼節気利かせ」タイプ ~ たとえばしのの父が手術を受けると仮定すると,一般常識として外科医に「父をお願いします」とあいさつをすると思うが,そういった常識の延長線上にあるもの(たとえば「しの先生のお父さんらしいので急いでやってほしい」とか「・・・それなら急いであげよう」・・・など)

2)の1は誰もが不愉快に感じるものだろうが,2)の2は許してあげなきゃいけないように思う.



しかし実際に「ロビー活動」に対して腹を立てて不愉快になる前に,「ロビー活動」か「礼節気利かせ」かの区別をしっかりつける必要がある.

問題なのは,まずは詳しい事情を聞きださなければならないし,これら2つがオーバーラップするケースもあるようで,区別がつけにくいときている.

ということで,結局は面倒なので「えーいはい,わかりましたくっそー」と言って(素直な返事は取り柄かな),何も考えずそそくさとこなしていく毎日なのである.

ここで蛇足ながら「病理医」という人種について一言.

「病理医」は結構「偏屈」で「頑固」で「意地っ張り」で「御しにくい」ヒトが多いので,催促するという行為が逆効果を生む場合がある(多い?ほとんど?).

下手に「ロビー活動」をした場合,「○○先生の名前を出せばみんな言うことを聞いてくれると思ったら大間違いじゃ~」と吠えられる・・・・とか,よ~し一日遅らせて?やるか・・・とか,「ささやかなうっ憤晴らし」をされるのがオチかもしれん.

経験者は語る?か.

自分の職場は大学病院の「病理」である.

「病理」って言っても「何それ?」と言われるのがオチで,一般には馴染みがあまりない.

まぁ簡単に言えば,病院の中の検査を受け持つ部門の一つとでも言っておけばいいか.

難しく言うなら,患者さんの病変から取ってきた細胞を顕微鏡でのぞいて病変の診断を行う部門,とでもなる.

患者さんには直接お目にかかることはないけれど,病気の診断を行っているとても重要な部門だ.



たとえば初対面のヒトに自己紹介する時は,

「・・・内科ですか,外科ですか?」とまず聞かれるので,

「病理っていうところにいます」と答えると,

「ふーん,病理って?」と続くので,

「病理とは,病院の中で診断を受け持つ部門であり,病変から採取されてきた細胞を染色ののち顕微鏡でのぞいて,形の異常からガンかどうかを・・・・」ってな感じの説明となる.

結局,自分が何者であるかを理解してもらうのに5分程度を要するが,まぁ仕方がないし慣れてしまった.

ちなみに自分が医学部を卒業する時はさらに大変だった.

特に親戚一同が会するような盆・正月の集まりは「最悪!」.

「何科をやるの?」と聞いてくるおじさんおばさんに,「病理」の説明と志望動機をえんえんと説明し続けなければならず,「もうカンベンしてや~」という気分に陥った.



さて,病院の「病理部門」には,診断を行う「病理医」と,その診断の補助的業務を行う「検査技師」がいて,共同して働いている.

病理医の仕事と言えば,「この細胞はガンである」とか「ガンが疑わしいが再検が必要である」とかえらそうなことを言えばよく,責任は重いがある意味「単純」である.

しかし,それを支える技師さんの仕事は多岐にわたる.

たとえば・・・・・・

・採取された組織を蝋漬けにする
・蝋漬けの組織をパラフィンブロックに加工する
・パラフィンブロックを薄く切る
・薄く切った組織を染色する
・特殊な染色をして細胞を染め分ける
・細胞を見てガンかそうじゃないかをスクリーニングする
・病理解剖の補助をする

などなど.

この中で「細胞をみてスクリーニングする」というのがちょっと面倒で,細胞を見る「目」と「知識」を要するので,「細胞診スクリーナー試験」をパスして「細胞診検査士」の免許をもらう仕組みになっている.

もっとも検査技師さんの仕事にもいろいろあって,このように細胞を顕微鏡でのぞいたり細胞をカラフルに染色するようなチマチマしたものばかりでなく,患者さん相手に心電図・脳波・エコーなどで検査したり,血液を測定器にかけたり,細菌や輸血を扱ったりで・・・・,とにかくべらぼうな種類がある.

そんな中で.細胞を見たり染色したりしてくれる「病理」の技師さんは,どちらかと言えば少数派だ.

苦労をして勉強しなおして「細胞診検査士」の試験を受けて,さらに細胞を見る目を日夜養っていくのは,「言うは易く行うは難し」である.



長ーい前置きはさておき,今日の外勤先でのこと.

いつも外勤でお邪魔している,近くの市中病院の病理検査室では,女性検査技師(推定30歳)さんがほとんど一人で仕事を切り盛りしている.

明るい性格とてきぱきとしてこだわった仕事っぷりで,なかなかの「やり手」である.

そのうえ病理の仕事が「大好き!」ときている.

「好きこそものの上手なれ」で,こんな「病理の技師さん」は探しても多くはいない.

しかしそんな技師さんが悩んでいた.

いわく,「あたしは細胞診の免許がないので,病理の仕事から外されそう.齢30になり試験を受けるには遅すぎる・・・・・どうしよう・・・・・」とのこと.


こんな話をきいてしまったら,「しの魂」が着火である.

・・・勉学は年齢を問わず
情熱に縛りはない
古より賢者は挑戦しており
いずくんぞ夢追いをあきらめんや・・・

まるで李白を彷彿とさせる「五言絶句バリ」の「ペップトーク」をかましてしまう.



それにしても年を重ねて中間管理職的な身分になると,若手への話し方が自然に「説教口調」になってしまう.

本人は「ペップトーク」なんていい気になっているかもしれないが,「気をつけた方がいいよ」っとは妻の弁.


言われた側はどう感じただろう?.「なるほど・・・じゃあやってみよう・・・・・」と思わせるような「語り」になっていたのかなぁ?.

「またか・・・」なんて思われてたら,結構へこむなぁ.

まぁ「本音」は聞いても答えてくれないだろうから,これから細胞診免許の試験を受けるのかどうかで判断させてもらおうっと.

今日の午前中は標本読み,午後はメールやりとりを数件・来客・学生と後輩クンの相手をして,それから3時からは会議で,夕にはカンファと・・・・・.まったく,大学病院は人使いが荒い!.

そんな午後の会議の真最中.

“ブーン・・・・・・・・”

マナーモードのPHSが「ワン切り」された.

大学病院教員には,個々人にPHSが配られている.

PHSは,病院と医学部の敷地内に居れば,繋がるようになっている.

自分の居室の固定電話にかかったものも,PHSに転送されるようにしているので,一日に少なくとも5回(下手すると10回以上)はかかってくる.

個人的には電話は大嫌い

しかし,仕事上の問い合わせや緊急呼出しのこともあるし,まぁ仕方がない.

我慢である.



“ブーン・・・・・・・・” 

立て続きにまたワン切り?

誰だろう?

しょうがないので表示された電話番号を見ると,どうも妻の携帯かららしい.

何だろう?

だれか熱でも出したのかなぁ?

でも,今朝は子どもたちみんな元気だったし.

ひょっとしてまた息子の怪我?

学校への呼びだし?

この前も,息子が机の上に乗ってふざけていたら,滑り落ちて顔面強打のうえ,数針縫った事件が起こったようで,先生に大変なご迷惑をかけたが,またか?

それとも,最近自転車の遠乗りに目覚めた娘が,調子に乗ってドブにでも突っ込んだのか?

ひょっとして,最近物騒な話題が続いてるし・・・・・

まさかねぇ・・・・・?

とにかく,気になる・・・



そうなるといてもたってもいられない.

会議はちょっと置いといて,なにはともあれすぐにコール・バックじゃーーー

トイレに行くふりをして会議を抜け出し,妻の携帯にすぐに連絡する.

「(プルルルル,プチッ)・・・あっ,なんかあったん?」

「もしもし,あっ,お父さん,僕○○・・・」

「・・・・・・(なんだ,息子じゃねーか)・・・・・・・・・・・・」

「サンタさんに頼んだゲームソフトだけど,やっぱり△△じゃなくて,□□に変えることにするね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「それじゃあね,バイバイ(ブチッ)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


こんな電話ばかりならいいのにネ.

図書館で見つけた本『会議で事件を起こせ(山田豊著)』を読んだ.

「会議」で「事件」とは物々しいタイトルである.経験的に言えば,扇動的あるいは奇抜なタイトルがついた本で良書は少ないように思う.そういう意味で,通常ならば個人的には手に取らないような本なのだが,「はじめに」を斜め読みすると結構よさそう・・・・・ということで借りてきた.

日常おこなわれている「会議」を取り上げて,「きちんとはじめ」て「どんどんもりあげ」,「しっかりまとめ」て本来あるべき意義深い会議にしていこう・・・・・というような内容.

具体的には,デザイン(マクロとミクロ)を共有,会議における発言の使い分け,「書き出す」作業の重要性,確認してまとめる・・・・・などなど,うまくいく会議ですべきこと・その目的・具体的方法についてわかりやすく書かれている.

また,こういった会議の前提として,参加者である「あなた」の主観的な「関わり」が大事で,そのためにちょっとした「勇気」が必要であるという点も強調されている.

本書で言っていることは,ビジネスにおける会議はもとより,ヒトが集まるいろいろな場(研究会・勉強会・集会・発表会など)に幅広く応用可能である.

総じて切り口が冴えていて,小気味よくまとまった良書である.本書のアイデアの一つ二つでも試してみれば,確かに会議はいい方向に変わるだろうな.


しの的読後感:やるやらないは別として,いいこと言ってるなぁ(タイトルは変えたほうが・・・?)

こんなヒトにお薦め:日本人すべて,特にヒトが集まる場を取り仕切る立場にあるヒト


会議で事件を起こせ (新潮新書)/山田 豊

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本屋にて気に入って購入した『読書の腕前』を読んだ.

しのは1週間に1-2冊の本を読む.年間にすると60-70冊程度になる(これには医学系の専門書やジャーナルは含まれていない).ジャンルとしては,ビジネス書(経営論・リーダーシップ論・教育論など),自己啓発関係,論語などの古典関係,小説を少々で,ちょっと偏っているかなぁ.まぁ興味のある領域だけ乱読するタイプである.

いわゆる「本好き」を「mild・moderate・severe」の3段階に分類したとすると,こんなしのはまだまだ「mild」な段階かなぁ.(自分に強いているため)冊数はそこそこ(moderate?)かもしれないが,本なしでも生きてはいけるので,スピリットの面で「mild」を抜けきれていない・・・というのが自己評価.

本書は,「超heavyな本好き」の筆者が,「本を読む」ことへのこだわり・スタイルについて書いていったら,一冊の本になってしまった・・・・・・・という本である.

よくある肩肘張った「読書論」ではまったくない.むしろ,オレはこんな読書へのハマり方をしているけど・・・・・,まぁついてこれなきゃ,それでもいいョ・・・・・ってな感じで語られている.

「本が背表紙を上にして,床一面に並んでいる」とか「電車でぶらり読書旅」など,面白い話題が満載である.

これを読んだら,あなたも本書に書いてあることをマネしたくなるし,取り上げられている本を読んでみたくなるハズ.ちなみにしのは,読後に読書量が倍増!.影響受けやすいタイプなだけなのか?それともそれほど強烈な本なのか?


しの的読後感:ハハハハハッ

こんなヒトにお薦め:本読みのチョイ好き程度の方からOK!ハマります


読書の腕前 (光文社新書 294)/岡崎 武志

¥819
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