逆効果の催促 | 『しのゼミ』

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日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

「プルルルルル・・・・・・・・プルルルルル・・・・・・・・」

「・・・ちょっとお待ちください・・・・・しの先生,電話です」

はぁ~,また電話か・・・・.でも,仕事仕事!.

しかし今日のある電話は,神経を逆なでするような内容であった.

「・・・・・っということでですね,なんとか早めに結果の方をお願いします.」

病理結果の催促の電話である.



病理の診断は「最終診断」として使われることが多い.

言い換えれば,病理の結果が出ない=最終診断がつかない=治療が始められない・・・となる.

よって治療担当の先生ひいては患者さんからすれば,できるだけ急いでほしいという気持になるのは当然であるし,それらの事情は自分も重々承知である.

提出してもらった病理検体には,全力を尽くして診断をつけるのは病理医の基本である.

病理診断が何かによってぶれてしまうことはあってはならない.

そのためには,ある程度じっくり考えてコトに当たる必要があり,したがってある程度は時間がかかってしまう.

それに患者さんみんなが待っているワケだから,診断はある程度(提出された)順番通りにやっていかざるを得ない.

そんな事情をすべて承知のうえで催促してくるわけなので,ちょっと性質悪く思えてしまう.



振り返ってみると,催促の理由としては,

1)やむを得ない場合(状態が悪い・手術が間近に迫っている・治療を急ぎたい・外来予約に間に合わせたい・・・などなど)
2)それ以外の(説得力のない?)理由

に分けられると思う.

1)は納得がいくので,できるだけのことをしようと思う.

問題なのは2)であり,その理由の具体例としては,「○○先生の知り合いなので・・・」とか「△△先生のお母上で・・・」などが含まれる.

若かりし頃,自分的には2)の理由が許せなかった.

なんで○○先生の知り合いだったら,他の患者さんより優先させねばならないのか??? (純粋だねぇ)」

しかし最近は少し年をとってきたこともあって,ちょっと違うように思っている.

冷静になって考えてみると,2)の中にも2種類あるように思える.

それは・・・

2)の1:「我田引水ロビー活動」タイプ ~ 「○○先生の知り合い」ということを強調することで圧力をかけ,コトを速やか且つ排他的?に運ばせようとするもの(ある意味とても政治的)

2)の2:「礼節気利かせ」タイプ ~ たとえばしのの父が手術を受けると仮定すると,一般常識として外科医に「父をお願いします」とあいさつをすると思うが,そういった常識の延長線上にあるもの(たとえば「しの先生のお父さんらしいので急いでやってほしい」とか「・・・それなら急いであげよう」・・・など)

2)の1は誰もが不愉快に感じるものだろうが,2)の2は許してあげなきゃいけないように思う.



しかし実際に「ロビー活動」に対して腹を立てて不愉快になる前に,「ロビー活動」か「礼節気利かせ」かの区別をしっかりつける必要がある.

問題なのは,まずは詳しい事情を聞きださなければならないし,これら2つがオーバーラップするケースもあるようで,区別がつけにくいときている.

ということで,結局は面倒なので「えーいはい,わかりましたくっそー」と言って(素直な返事は取り柄かな),何も考えずそそくさとこなしていく毎日なのである.

ここで蛇足ながら「病理医」という人種について一言.

「病理医」は結構「偏屈」で「頑固」で「意地っ張り」で「御しにくい」ヒトが多いので,催促するという行為が逆効果を生む場合がある(多い?ほとんど?).

下手に「ロビー活動」をした場合,「○○先生の名前を出せばみんな言うことを聞いてくれると思ったら大間違いじゃ~」と吠えられる・・・・とか,よ~し一日遅らせて?やるか・・・とか,「ささやかなうっ憤晴らし」をされるのがオチかもしれん.

経験者は語る?か.