『しのゼミ』 -80ページ目

『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

子どもたちの短い冬休みもそろそろ終わり.

始業式が近づくと,我が家はがぜん急がしくなる.

「いっ君,とにかくはやくして・・・」

妻の悲痛な叫びが聞こえる.

「ん~あとちょっとで漢字が終わる」

いっ君の宿題ラストスパートである.



おそい夕食をとっていると,妻が食卓に習字道具を用意し始めた.

「なにしとんの?」

「いっ君の書き初めの用意」

「そんな準備なんて,やらせって」

「もう時間ないし・・・・しょうがないわ・・・・」

すずりに墨汁をいれ,筆をおろし,文鎮の汚れを落とす母.

「いっ君,どういう字を書くんだっけ?」

「希望!」

習字紙に丁寧に折り目をつけた母は,自ら「希望」と書き始めた.

いちおう昔とった杵柄でそこそこの「希望」を書き上げ,本人も出来栄えに満更でもなさそう.

まさか・・・・ゴーストライター・・・・?

「なにしとんの?」

「見本!」

「はっ?」

「見本を書いてあげてんの!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

そこまでせんといかんのか~叫び・・・・・


そうこうするうちに真打いっ君の登場だ.

いっ君はたっぷり墨をつけて「えいや」っと豪快にいくのだが,習字独特の「はね」とか「とめ」にはお構いなし.

自然,母はあれやこれや言いたくなる.

「・・・・そこ,とめてとめて・・・・・・あ~あ,もう・・・」っと,うるさく口を出す.

「しっかりこうハネて,ここしっかりトメて・・・もう」っとなんべんも言うのだが,そんなにうまくコトは運ばない.

「・・・・しょうがない,いっ君・・・・一回,一緒に書いてあげるから・・・・」と言った母は,いっ君の真後ろに陣取って,二人して筆を持ち,「希望」と書き始めた.

まさに「手取り足取り」である.

「ここはこうハネて・・・」二人して持った筆だが,よく見るとほとんど母が動かしている.

ついには「いっ君,もっと力抜いて!」などと言っている.

「で~きた~,まぁこれでいいや」

って,ほとんど母が書いただろうがっ!


「さぁ,いっ君,つぎつぎ・・・」

書き初めを終えたいっ君は勉強机に移動し,習字道具の後片付けは母の仕事となった.

こんなんじゃアカンわなぁ・・・・・・・・

長男いっ君の調子が悪いようだ。

夜中寝ている最中に咳がひっきりなしだったらしい。


「・・・ちょっと,くだらないブログなんかしてないで,すぐにいっ君を病院に連れてってョ」

「ハイハイ」

「忘れずに薬をたくさんもらってきてね,いっ君は咳き込むと大変なんだから」

「ハイハイ」


ご機嫌斜めの妻からの早速の先制ブローだが,軽くかわして病院に出かける準備を始める。

おっと,そういえばいっ君に年賀状が来てたっけ。

返事書かなくていいのかなぁ・・・・?


「いっ君,○○さんに年賀状出してないんじゃない?返事書く?」

「う~ん,面倒くさい・・・・」

「おまえなぁ・・・,年賀状っちゅうもんは・・・・(2分くらい説教中)・・・・わかったか?」

「わかったわかったうるさいねぇ」


いっ君は5年生で生意気盛り。

父親の言うことにはまず「いいえ」という年頃である。


「・・・・じゃあ,住所書いてみな・・・」

「んなもん,わからん」

「来た年賀状に書いてあるじゃない?なんで・・・」

おっとっとっと,もうやめとこ。


そうこうしていると,「はぁめんどくせ,できたぁ~」とようやく完成したらしい。

どれどれと見てみると・・・・・

住所は書けているのだが,なっなんと年賀はがきが上下逆


「・・・くわぉらぁっ・・・なめとんかぁ・・・○△×?○△×!・・・」「・・・そんなモン知るかぁ~・・・」「・・・常識からすると・・・」「・・・しらんっちゅうねん・・・」「・・・△×?○・・・」「・・・△×!○・・・」


どうもハガキの住所の書き方をホントに知らなんだらしい・・・シンジラレン。

親の顔が見てみたい!

それを聞きつけた妻も参戦してきて・・・「・・・なっ情けない・・・そんなこと常識でしょうが・・・○△×?○△×!・・・」・・・・・・・・少し経つとどこをどうなったのかわからないが・・・・・・・・「・・・だいたいお父さんが悪いんや・・・もう早よ連れてって・・・出てって・・・」っと多方向性にブチキレて終息。

ちょっとまってよなんでオレのせーやねん

「だいたい」って言われても,あんたのお子さんでもあるわけで・・・・・・・とんだとばっちりだ。


一度火がついた妻の怒りが静まるのに時間がかかるのは痛いほど経験済み。

そそくさと外出準備を終えると,逃げるようにいっ君と二人してラン(同級生の外科医)のクリニックへ向かう。

そういえば,長男には手をかけすぎて,何にもやらせてこなかった気がするなぁ・・・こんな常識知らずに親がしたワケだし・・・子供にはいろんな経験をさせなきゃなぁ・・・よーし!


「おい,いっ君,今日のラン先生のとこ,自分ひとりで行ってみな」

「え~っ」

「もう5年生だし,お父さんはひとりで行ってたよ(ウソも方便?)」

「・・・・・・わかった・・・」

「保険証持った?」

「うん大丈夫」

「あとお金は?」

「1000円しか持ってない」

「よし,そんなら2000円あげとくから,これで最初の受付から最後の会計までひとりでやってみな・・・」


いっ君の病院デビューである。

ランのクリニックは毎週のように家族の誰かが世話になっている。

いわば行きつけ。

ここならデビューにうってつけ,何とか行けるだろう。

少し待たされて診察を受け,最後の会計も無事に済んだらしいことを確認して,玄関の外で待っていると・・・・・・


「お父さん,おまたせ」

「どうだった?カゼだって言われた?」

「う~ん大したことないって」

「自分の症状を説明できた?」

「まあまあかな」

「お金足りた?」

「安かった」

「・・・オマケでもしてくれたか?まぁでもよかった」


お昼過ぎのランのクリニック前。

診療時間を過ぎて空っぽになった待合室の外に出てきたいっ君は,デビューをつつがなくこなした誇らしさに満ちている。

父親としても,ほんの少し教育義務を果たせた喜びに浸りつつ,二人して家路についた。

・・・やっぱなんでも経験させなきゃなぁ・・・ハガキの書き方もしっかりと教えてやるか・・・拝啓とか敬具とか御中とか,それに草々なんてよくわからんのもあるし・・・今日は息子と触れあって父親らしいことでもしてみるか・・・


「・・・そう言えばいっ君,薬は何日分もらった?」

「うんにゃ」

「は?」

「もらってない」

「・・・・・・・・」

「たいしたカゼじゃないから,薬は要らないって言った・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・

「お金もあまりないのでいらないですって・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・おまえなぁ・・・病院に行って「病気だけどお金ないし薬いりません」なんて報告しに行くやつがあるか~・・・・・・・このまま帰ったらお母さんが鬼のような顔してと~んでもないことに・・・・・

すぐさまドラッグストアに直行し市販の風邪薬を購入して,ランのクリニックは早めに閉まってた?・・・ということにしておいた。

ふぅ~・・・ヘタな尻拭いばっかり教えるダメ親デシタ・・・
今日は大学病院の仕事始め.

自宅では朝遅くまでみんな寝静まってるし,予想されたように30分ほど寝坊してしまうし,通勤道路は空き空きだし,世間様はまだまだお正月である.

7日の月曜始まりのほうが区切りがいいっていうか・・・やっぱちょっと早すぎるんちゃう?.

しかし・・・・・

大学病院には朝も早よからたくさん並んでるんだなぁ,患者さんって(当り前か?).

いちおう頼りにされ,働かせてもらってるうちが華と思わなきゃ.



っで,病理の部屋はってぇ~と,今日は見るべき標本もあまりなく,かかってくる電話も少なくって,静か~な始まりを迎えたワケで.

これはチャンスとばかりに,コロコロで年末にできなかった部屋掃除をしたり,カレンダーを付替えたり,PCのチェックをしたり,新手帳に個人情報を写し書きしたり,やりたいことがたくさんできて満足しているところへ.

「ちわ~,シノ先生」っと,後輩クンのお出ましである.

「これっ,年賀状っす.今年もお願いしまっす」

・・・・オイオイ年賀状を手渡すんじゃネーっつーの・・・・

「イヤッ,わざわざ郵便局に頼むよりも,この方が早いんで」

おまえなぁ,元旦の朝に「あっ年賀状が来た!」っていうあの雰囲気が大事でしょうがっ

もぅ調子乱されるなぁ・・・・いちおう郵便局経由でくれっちゅうねん.

そうこうしていると,秘書さんが年末年始に溜まっていた郵便物を持ってきてくれた.

この中にもあるわあるわ,宛先が「西日本大学病院病理」となった年賀状.

近隣のお世話になってる病院や出入りの業者さんやあれやこれやで,まぁおつきあいというか慣習なのでよしとするけれども.

そんな中に,なんと「病院内の某臨床科」からのものが2通もある.

やっぱ変だよなぁ.

宛先が「西日本大学病院病理」で差出人が「西日本大学○○外科」なんて・・・ちょっと他人行儀すぎっていうかなんちゅうか,ねぇ?

「お返しはどうしましょう?」っと聞く秘書さんに,まぁこれはいいんじゃない・・・っと言っておいた.

それから,なつかしい友人からのものが一通.

引っ越して住所が変わっている.

どれどれ・・・・・ん~っ!・・・・・アパート名が変ちゅ~か・・・・・

「・・・○○町2-5-88ハイツ・ウエスト西?」(ダブってるって!)
図書館で借りてきた『リアル・リーダーシップ 成功のための五原則』を読んだ.

しのは図書館でぶらぶらとほっつきまわり,「タイトル」で立ち止まり「はじめに」のナナメ読みで悩んで,おもしろそうなものを「手当たり次第」に借りるようにしている.選ぶ際にとくに頼っている書評・広告・宣伝媒体などはない.そんな選び方をしているので,借りた本が自分にとって難解なもの・興味対象外のもの・あきらかな悪本など,とても全部は読めない場合が少なくない.本ブログで紹介してきたものは,ブッチャケ借りてきたもののうち1/4程度かなぁ.

こんなやり方をしているのは,「本くらいは・・・・ねぇ・・・・勝手に選ばせてくれって・・・・」と言い訳する元来「へそまがり」な性格によるところが大かなぁ・・・・・

それに加えて,偶然「スゲェ~」本・「巨人」の書に出会うことができる楽しみも理由のひとつ.自分にとっては,たとえば「7つの習慣(スティーブン・コヴィー著)や「ハイエストゴール(マイケル・レイ著)」などがそれにあたる.

本書はそんな「スゲェ~」本に分類されると思う.自分の求めていたことに限りなく近いって言ったらいいか・・・

まず表紙を見ると威風堂々とした白髪の東欧系ジェントルマンが,腕を組んで自信ありげに立っている・・・・・.「ドナルド・トランプみたいなヒトの立志伝か?」と,あまり期待もせず「まぁ読んでみよっか」程度だったのだが・・・・・・・・

読んでみると,本書は一般にはビジネス書にカテゴライズされるのであろうが,そんな分類を超越してしまうような重厚かつ深遠な内容を持つ.「人生の指南書」って言ったらいいか・・・・そんな側面にまで踏み込んでいる.

「供給過剰」とか「資本主義衰退」とか,現代を形容する言葉がはじめに出てくる.畑違いのことなのでどれくらい「卓見」なのかはわからないが,すくなくとも個人的にはこんな見識は初めてで新鮮に聞こえる.

そんな近未来のビジネス社会ひいてはグローバル化した社会をサバイブするための「5つの原則」を,実体験や現代企業の例示とともに説明されている.IBM社ガースナーの例などはよく聞くが,ベライゾン社サイデンバーグなどの例も感動的に触れられている.それに文章がわかりやすく書かれていて,訳であることを意識させなかったことも特筆すべき.

とにかく著者の「誠実さ」「正直さ」が至る所ににじみ出ていて,その「人生感」「職業感」には個人的にとても共感できる.こんな本はビジネス関係でよく出会うのだが,教育関係であまり出会わないのがちと残念!.まさに「巨人」の書であり,一読をお薦めする.


しの的読後感:久っしぶりにきたなぁ~

こんなヒトにお薦め:次世代を担うビジネスパーソンすべて


リアル・リーダーシップ―成功のための五原則/ピーター・ジョージェスク

¥2,100
Amazon.co.jp

図書館にて借りてきた『サーバントリーダーシップ論』を読んだ.ちょっと古い本で2004年2月第一刷発行とある.

「リーダーシップ」関係の本はよく読む.自分が中間管理職の立場にあるし,あるべき「リーダー理想像」・「尊敬されるリーダー」に単純にあこがれるからだ.それに常日頃から中間管理職って下僕だなぁ・・・・って感じているので,このタイトルには自然に目が止まってしまった.

「サーバント」なんて難しい言葉が使ってあるが,ようは「リーダーの仕事はサービス業である」と定義して,「リーダーは部下の成功に奉仕すべき」とする考え方のこと.

読んでみると,ひょっとしてこれってしののために書いてくれたの?っと思ってしまった.

そもそもしのの場合,カリスマなしの小心者ときているので,中間管理職として頑張ってやっていくには自然にサーバントにならざるを得ない.言われたからでなし,しょうがなく「サーバント」してるのだが,そんな自分の現状を少し肯定してもらったような気持ちと言ったらいいか・・・・.

内容的に目新しいところはそんなにないようだが,「普通のヒト」が管理職として成功する一助にはなるはず.後半の「M&A関係」については個人的に例が特殊すぎ?るように感じて読めなかった.また「東洋思想」は蛇足.このネタで一冊の本が書けるのに・・・.


しの的読後感:おっしゃるようにやってますョ~

こんなヒトにお薦め:中間管理職になって早く楽になりたいと思って(誤解して)いるヒト


サーバント リーダーシップ論/高橋 佳哉

¥1,575
Amazon.co.jp